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不眠に悩む現代日本人:睡眠時無呼吸症候群とは?

2017年9月12日9:24 AM カテゴリー:不眠症

睡眠時無呼吸症候群は、交通事故の原因の一つともされ、最近、何かと話題を提供しています。

近年、増加傾向にもあり、関心も高くなってきていますので、少し詳しく、ご紹介します。

睡眠時無呼吸症候群とは?

睡眠時無呼吸症候群→睡眠中に呼吸が止まる無呼吸、あるいは、喉の空気の流れが低下する低呼吸の状態が、1時間のうちに何回も起きる

また、睡眠時無呼吸症候群と生活習慣病との相関性が認められています。

高血圧、高脂血症、糖尿病、心筋梗塞、脳卒中など引き起こすとされ、注意が必要な疾患でもあります。

 

睡眠時無呼吸症候群の定義

1.1時間に10秒以上続く、無呼吸もしくは低呼吸が5回以上ある

2.一晩の睡眠中(7時間)のうち、無呼吸か低呼吸が30回以上ある

3.無呼吸、低呼吸時に、一部は脳波上ノンレム睡眠を認める

1あるいは2のどちらかと3を満足すると、睡眠時無呼吸症候群とされます。

また、1時間当たりの無呼吸、低呼吸の回数を無呼吸低呼吸指数(AHI)と呼び、重症度を判定するのに用いられています。

 

―睡眠時無呼吸症候群の重症度分類―

・軽症:5≦AHI<15

・中等度:15≦AHI<30

・重症:30≦AHI

 

この睡眠時無呼吸症候群は大きく2種類あります。

1.中枢型睡眠時無呼吸症候群→呼吸指令を出す脳の障害によるもの

2.閉塞型睡眠時無呼吸症候群→上気道が閉塞して呼吸ができなくなるもの

このうち、無呼吸の原因の95%が、閉塞型睡眠時無呼吸症候群とされています。

以下、ここでは、セルフケアや鍼灸治療の対象にもなる閉塞型睡眠時無呼吸症候群について述べていきます。

閉塞型睡眠時無呼吸症候群とは?

1.閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の原因

・肥満のために首が太く、気道を塞いでしまう

・舌が大きく、喉を塞いでしまう

・鼻と喉の境の部分に在る軟口蓋が垂れ下がる

・顎が小さく、後退しており、気道の断面積がもともと小さい

・鼻の空気の通り道が曲がっている

・扁桃が大きかったり、咽頭扁桃肥大症(アデノイド)がある

・寝ている時に咽喉が塞がりやすい体質

2.閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の症状

・睡眠中に呼吸が止まり、呼吸が再開する際に大きないびきを伴う

・昼間に眠くなる

・熟睡感がない

・記憶力が低下する

・起床時に頭痛がする

・夜間に何回もトイレに行く

・インポテンツ(ED)

これらのことにより、閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSAS)が長引きますと、知性の低下や性格の変化をもたらすことが知られています。

また、無呼吸や低呼吸による低酸素血症、高炭酸ガス血症と、それによる血液の酸性化が、生活習慣病を含めたさまざまな病気を引き起こすとされています。

3.閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSAS)と関連する症状

⑴高血圧

無呼吸により、全身の動脈の緊張が強くなり、血圧が上昇します。

OSASのうち約40~70%に高血圧の合併があるとされています。

特に、睡眠時に血圧の下がらないタイプの高血圧の一つとされ、心血管系への負荷が高まり、心不全、心筋梗塞、脳卒中などを引き起こします。

 

⑵糖尿病

睡眠不足は血糖を下げる作用のあるホルモンであるインスリンの効果を下げることが知られています。

これにより、糖脂質の代謝を阻害し、糖尿病になりやすくなります。

また、肥満は高脂血症、糖尿病の要因であるとともに、咽頭の軟部組織への脂肪を沈着させ、気道の閉塞を引き起こします。

近年の研究では、睡眠不足により、胃の活動が異常になり食べ過ぎや、運動への意欲を失わせ、肥満を引き起こすとも分かってきています。

すなわち、不眠と糖尿病の間に関係があることになります。

 

⑶虚血性心疾患

無呼吸により心臓と関係の深い冠動脈の緊張を高め、夜間の狭心症発作や心筋梗塞を引き起こすことがあります。

 

⑷不整脈

無呼吸により、低酸素血症、高炭酸ガス血症を引き起こしますと、血液が酸性化し、心臓にとって不整脈になりやすい状況を作ります。

 

⑸多血症

OSASにより赤血球を多くつくるような刺激が生じ、多血症を引き起こします。

これにより血液の粘度が高まり、末梢循環が悪くなります。

 

⑹肺高血圧症

肺動脈の緊張の高まりや、上気道が閉塞して胸腔内の働きが乱れることにより、肺動脈圧が上昇します。

これを肺高血圧症と呼んでいます。

これにより、心臓の右心不全を合併し、むくみや運動時に呼吸困難が生じることが知られています。

これらの病気を健康な方と比較して中等度以上の閉塞型睡眠時無呼吸症候群の方とでは、どれくらい発症率が高いかを調べた研究があります。それによりますと。

・高血圧症→健常者の約2倍

・冠動脈疾患→健常者の約3倍

・脳卒中→健常者の約4倍

・糖尿病→健常者の約1.5倍

閉塞型睡眠時無呼吸症候群の治療とセルケア

中等度以上のOSASの予後はあまり良いものではありません。

ある疫学調査で、閉塞型睡眠時無呼吸症候群の軽症群と中等度群以上を、無治療のまま8年間追跡調査しています。

その結果は。

軽症群→生存率ほぼ100%

中等度以上の群→約63%

しかし、鼻CPAP療法(経鼻的持続陽圧呼吸療法)という気道内に圧力をかけて気道を広げることにより無呼吸をなくすという治療法があります。

それを実施することにより、中途度以上でも、生存率を健常者とほぼ同じにできるという、報告があります。

現在では、この鼻CPAP療法(経鼻的持続陽圧呼吸療法)が睡眠時無呼吸症候群には、有効な治療法として確立されています。

ほかには、歯科装具であるスリープスプリントを睡眠中に装着することにより、舌の後方の気道スペースを広げ、気道の閉塞を防ぐ方法があります。

これらの治療法が上手くいかない時には、手術が必要な場合があります。

閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の治療には、生活習慣の改善も大切とされています。

以下にセルフケアについて紹介します。

 

―閉塞型睡眠時無呼吸症候群へのセルケア―

⑴減量

OSASは肥満を伴っていることが多く、ダイエットにより症状が改善することがあります。

 

⑵飲酒の制限

アルコールは、気道の筋肉を弛緩させ、気道を狭くすることがあります。

飲酒後、仮眠をするとイビキをかくことが多いのは、このせいです。

就寝前少なくとも4時間は、飲酒を避けることが大切になります。

 

⑶精神安定剤の服用の制限

精神安定剤や睡眠薬の中にも、気道の筋肉を弛緩させ、無呼吸を悪化させるものがあります。

主治医とよく相談することが重要になります。

 

⑷禁煙

喫煙は血中の酸素量を低下させます。

また、咽喉頭の炎症を引き起こして、睡眠中の無呼吸に悪影響を与えるとされています。

 

⑸睡眠中の身体の姿勢の工夫

仰向けに寝ますと、重力により舌根が沈下しやすくなり、気道を狭くすることがあります。

横向きに寝る、背中にテニスボールを張る、枕に高さを変えるなどで、症状が改善されることもあります。

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