肩こりは、欧米人にはなく、日本人特有のものと、よく言われています。
実際のところは、洋の東西を問わず、肩こりはあります。
確かに、肩こりに相当する英語はありません。
ただ、「肩」という場所の、認識に違いがあります。
日本人の言う「肩」は、西洋では、首あるいは胸郭に含められています。
すなわち、西洋人は、「肩こり」を「首のコリ」(stiff neck)と呼んでいます。
また、日本人の言う「肩こり」という言葉も、古くからあるものではありません。明治時代に、夏目 漱石が、命名したとされています。
肩こりは、人類共通の悩みともいえます。これは、古代ローマ帝国において、すでに、マッサージの仕事があったことからも、窺えます。
肩こりが、人類共通の悩みであるのはヒトが、進化の過程で二足歩行、立って歩くようになったからだといえます。
ご存じのように、ヒトには背骨があり、その背骨が、支柱となって、ヒトは直立することができます。
この背骨は、頭のところからお尻のところまで含めますと、32~35個の小さな骨(椎骨)から成り立っています。
この椎骨(椎体)が、レンガのように積み重なって、背骨を形成しています。そして、上は頭蓋骨(とうがいこつ)、下は骨盤に連動しています。
椎体と椎体を繋ぐものに、椎間板と呼ばれるクッションがあります。このクッションにより、ヒトは背骨を曲げ、上体を動かすことができるわけです。
これらの、からだの構造は、人種によって違いはなく、人類共通のものです。
進化の過程からは、現在の背骨の基本的な構造は、ヒトが直立し、歩く以前に決定されたとしています。
ここに肩こりが、日本人特有のものではなく、西洋人にも、当然ある理由があるわけです。