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【うつ病】大阪府、30代、男性、鍼灸治療のケース

2018年12月10日5:33 PM カテゴリー:うつ病,症例

大阪府の患者様:うつ病を改善して、元気になり仕事や遊びがしたい

社会問題ともなっているうつ病が今回の症例となります。
うつ病と一括りにいっても、子供から大人まで、また様々な原因やタイプなどがあります。
今回は30代の働き盛りの男性がうつ病にかかり、仕事を休むまでになったケース。

うつ病を改善するため、まずはうつ病になった経緯をお聞かせいただきました。
2年ぐらい前に、会社でプロジェクトチームに入り、企画を任された
仕事にやりがいを感じ、充実感があったが、忙しく、会社に泊まることもあった
最後の方は、疲れからか、朝方に目が覚めることがよくあった
寝ていなくても、気持ちで忙しさを乗り越えていた
プロジェクトが成功し、みんなでお祝いをした後、家に帰ると急に虚しくなった
明日から、また、あの単調な仕事に戻るのかと思うと、憂鬱にもなった
翌朝、起きるのがつらく、何とか起きて、会社に向かったが、からだが重い感じだった
お昼も、晩になっても、全くお腹が空かず、無理に食べたが、味がしなかった
その後、空腹感がなく、好物を食べても砂をかむような感じが続いている
不眠が続き、眠りが浅い感じで、寝ても、疲れが取れていない感じ
仕事だけでなく、友人と遊びに行っても楽しくなくなってきた
仕事で単純なミスをすることが多くなり、落ち込むようになった
また、失敗をしたらと思うと何もできなくなり、励まされるとよけいに辛い
上司の判断で心療内科を受診し、薬を飲んでいるが、あまり効果はない
上司に迷惑をかけたのでは思い、出勤するのが辛くなってきた
1か月前より、朝、ほとんど起きれなくなり、起きても、会社に行けなくなり、現在は休職している
薬の量が増え、眠れるようにはなったが、からだが重くて耐えられない
このまま治らないのかと思うとどうしてよいか分からなくなる
来院当日は何もやる気が起きないので、治療を受けると決断するまで、時間がかかったようです。
またどうしていいのか、全く分からないということでした
その為当院まで来るのもやっと、という感じでm食事を摂られてないせいか、少しやつれた感じでした。
触診などでお腹を触ると緊張感はありますが、少し押さえるとフニャフニャした感じでした。
手足の冷えがあり、足の付け根に、暗い色のした毛細血管が多く浮いていました

初回治療の方法と効果

初回の治療ではまず、首、肩、腰の筋肉の凝りを取る鍼をしました。

直径0.20ミリ、長さ48ミリの鍼を、首、肩、腰の凝りのあるところ、左右合計20か所に刺し、約20分間そのままの状態で寝てもらいました。
その後、すべての鍼を抜き、仰向けで、手足のツボ4か所に、直径0.16ミリ、長さ15ミリの鍼を刺し、気(エネルギー)を充実させる操作をして、約30分そのままの状態で寝てもらいました。
途中、1度、気の状態を確認し、それに応じてまた、鍼を操作しました。

治療後は首、肩、腰の凝り感はかなり改善され、頭が少しすっきりした感じになったようです
手足の冷えもかなり解消されていました。空腹感が出て、少し食べてみようという気になっておられました。
なんとなく、気分が落ち着いた様子でした。
ある程度、方向性が見えたので、最初は、週に2回のペースで通院してもらうことにしました。

その後の施術と経過

2回目~5回目の治療

前回の治療後、凝り感が戻ってきたとのことでしたので、初回と同じ治療をしました。

・治療後
回を増すごとに、凝り感が軽くなってきて、寝つきが良くなったとようです。
食欲も少し出てきて、食べ物の味が分かるようになってきました。
手足の冷えもあまり感じなくなったようです
良い方向に向かっていますので、治療のペースを週1回にしました。
その際に、うつ病の治療は、一直線上に良くなっていくことはなく、途中、必ず、揺り戻しのようなことが起こるが、心配はないと伝えました。

6回目~11回目の治療

肩や腰の凝り感、重だるさが改善されてきましたので、鍼を刺す本数を減らしました。
からだの調整、「気」の流れを良くする治療に重点を置くように変更しました。使用した鍼の種類は、初回と同じです。

・治療後
足に在った暗い色をした毛細血管が浮いてる数が減り、足自体もつやがあり、力強い感じの色になってきました。
食欲はかなり改善され、空腹感も出てきました。
睡眠は、寝つきは良くなったようですが、朝方になると目を覚ますようでした。

12回目~16回目の治療

12回目の来院時に、2,3日前より、また、体調が悪くなり、良くなってきたのに、元に戻るのではと、不安な様子でした。
凝り感が強くなり、からだが重く、だるいとのことでした。
ここ数日、急に気温が下がり、からだが付いていけず、体調が悪くなったようです。
治療の途中で、体調が悪くなることはあると、説明はしていましたが、不安感が勝ったようです。凝り感を改善する治療を初回の感じに戻しました。
また、来院のペースを週2回に戻しました。

・治療後
からだの凝り感、重く、だるい感じが解消され、安心されたようです。週2回のペースの戻し、間を詰めて治療することにより、からだの症状が早く取れ、そのことが、うつ状態も改善につながり、良い方向に戻りました。

17回目~21回目の治療

ご本人の要望もあり、からだの凝りを取り除く治療を減らさないようにしました。
そのほかの治療は、同じですが、「気」の流れをより多く、強くするような操作を加えました。

・治療後
睡眠をしっかりとれるようなり、朝、起きると、元気を感じるとのことでした。
19回目の治療後、会社に行けるようになり、少しずつ仕事をしているとのことでした。食欲も回復し、ご飯がおいしく感じられるようでした。
お腹、特に、下腹が力強くなっていました。
休日に繁華街へ友人と遊びに出かけられるようになっていました。
日常生活にほぼ問題が無くなりましたので、21回目で、一旦、終了としました。

施術者の感想

うつ病と不眠は関係が深いものがあります。うつ状態なる前に不眠になる傾向にあります。

特に、朝早く目が覚めるという特徴があります。朝早く目覚める日が続くと危険信号と考え、リラックスする時間を作ることが大切です。
今回の事例でも、最初に、朝早く目が覚めることから始まっています。

食欲との関係も深いです。空腹感が無くなり、食べ物の味がしなくなります。この患者さまのように、「味がなく、砂をかんでいるよう」という表現をよくされます。

最近は、この患者さまのように、「燃え尽き症候群」から、うつ病という傾向がよく見られます。

やる気満々で仕事をし、オーバーワーク状態になり、からだのエネルギーを使い果たし、ふと、我に返ったところ、虚無感に襲われるという感じです。
からだに「気(エネルギー)」が残っている状態であれば、対処のしようもあります。
しかし、エネルギーがないため、虚無感に対しどうにもできなくなり、その状態が続きます。

寝ることや、食べることには、エネルギーが必要です。それがないため、不眠、食欲不振になります。
緊張感を保つために神経が興奮しています。この神経の興奮は、筋肉を硬くしたり、血管を締め付けます。

うつ病で、肩こり、腰痛がよくあるのは、このせいです。うつになる前に、からだに凝り感が生じています。
手足の冷え、お腹のフニャフニャ感なども、エネルギー不足といえます。

何もやる気が起きないのは、脳において、神経と神経を伝達し、情報を送るホルモンが少なくなっているからです。
このホルモンは、ストレスや飲酒によって減少するとされています。また、リズミカルな運動で増えるとされています。
この患者さまの場合は、かなりの仕事のストレスにより、急激にホルモンが減り、うつ病になったと考えられます。
このように、うつ病は、心がけの問題でなるのではなく、強いストレスや運動不足から、情報を伝えるホルモンが減少し、生じます。
現代人なら、誰でもなる可能性を秘めているといえます。

東洋医学からの視点

うつ病は現代病としてとらえられていますが、古代にもありました。人類が文明を築いたと同時に存在していました。
古代の医学書にも、「うつ病」とは、書かれていませんが、うつ病の状態は記載されています。
若い時はお昼近くまでも眠れますが、年齢とともに眠れなくなります。眠るのにも体力が要ります。

東洋医学では、起きているときに活動するために必要な「気(エネルギー)」が、からだの奥深くに入り、寝られるとしています。
この患者さまのように、働き過ぎになりますと、活動するために必要な「気」が、常にからだの表面を巡るようになります。
からだの奥深くへ入ることができなくなり、不眠になります。

また、この時に使われる「気」は、「肝」が持っています。
働き過ぎは、「肝」が興奮したままになります。
「肝」は伸び伸びを好みます。興奮することにより伸び伸びできなくなり、憂鬱感を感じます。

これが、東洋医学で言う「うつ病」状態です。このことを「肝うつ」と呼んでいます。
「肝」は、働くのに多くの「血(栄養素)」を必要とします。常に、「胃」や「脾」など消化したり、栄養素を作る臓器に圧迫をかけています。
「肝」が興奮しますと、消化器系に対する圧力を高めます。

うつ病になりますと、食欲が無くなったり、味がしなくなるのは、このことによります。
食べないと、からだに必要な「気(エネルギー)」を作ることができません。やる気が出なくなります。
この状態を「後天の気」の不足と呼んでいます。

人も含め生命体には、もって生まれた「気(エネルギー)」があります。これを「先天の気」と呼んでいます。
今回の事例ように、食べることができなくなり、「後天の気」が不足しますと、「肝」は「先天の気」を多く、使うようになります。
この「先天の気」は、「腎」が持っています。「腎」は生命力の根源ともいえます。
「肝」から「先天の気」を多く要求され、「腎」の働きが衰えます。

生命力が衰えるため、「何もする気が起きない」、「何をしても楽しくない」、「生きているのが辛い」という状態になります。
また、「肝」は筋肉と密接な関係にあります。うつ病で、肩こり、腰痛などのからだの症状を伴うのは、このことによります。
鍼治療では、からだの症状を改善しながら、「肝」の興奮を抑制するという方法を最初にとります。
それにより、不眠、食欲不振などが改善され、「後天の気」を増すことができます。
「後天の気」が増えれば、「先天の気」を多く使う必要がなくなります。

同時に、「腎」働きを改善する鍼治療をして、生命力を強くします。
このような考えでうつ病治療をしていきます。

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