片頭痛は女性に多い病気です。
思春期までは、男女差がありませんが、その後は、男性の約4倍とされています。
そしてそのキッカケの一つに女性ホルモンのエストロゲンが、関係があるのではないかと考えられています。
まず女性のライフスタイルと片頭痛は以下のような関係にあるとされています。
―女性のライフスタイルと片頭痛―
1.初潮前後に初めて、片頭痛になることが多い
2.発作は生理に関係して起こる
3.妊娠中は発作が減る
4.出産後、再発する
5.更年期前まで続くことがある
6.閉経後は、発作が減少する
これらは、エストロゲンの分泌量と関係がると、推定されています。
エストロゲンと片頭痛の関係性
血液中のエストロゲンの濃度が高い時、片頭痛の発作が少なく、エストロゲンが低い時は片頭痛の発作が多いことがわかっています。
妊娠中に発作が減るのは、妊娠中は生理がなく、エストロゲンの数値が高いまま続くからと、考えれています。
初潮がきっかけになるのは、生理によるエストロゲンの減少を、初めて経験することによります。
更年期は、エストロゲンの分泌が不安定になるためとされています。
実際、イギリスにおける臨床研究で、以下のようなことが報告されています。
1.片頭痛の発生率が最も高い時期
生理開始前、3日間および、1日中出血があった最初の日
2.片頭痛が発生する時期
エストロゲンの濃度が減少している時期
女性の生理周期と片頭痛には関係がある?
これまでの研究では、生理周期を卵胞期、排卵期、黄体期という標準的に3つの期間に分けて研究されてきました。
これらの研究では、なかなかこの時期に発作が多いと、断定はできませんでした。
しかし、イギリスでの研究では、エストロゲンの上昇期と下降期に分けて研究されています。
その結果、
エストロゲン下降期に、片頭痛の発生率が高いことが、分かりました。
また、エストロゲンの上昇期、下降期は、生理の周期それぞれにある可能性が、考えらています。
すなわち、どの周期であれ、エストロゲンの濃度が、下降すると片頭痛になりやすいということです。
時期的には、1日中出血があった最初の日と、その前日が、発生のピークのようです。
この
エストロゲン濃度の下降に伴った片頭痛の発作は、他の時期の発作より重症ということです。
そして、吐き気やおう吐を伴うことが、多くあるそうです。
エストロゲンの濃度が上昇し始めると、片頭痛の発生率も減り始めるという、傾向もあるそうです。
このことを裏付ける臨床試験もあります。
臨床試験で分かった片頭痛発生率の低下
生理時に片頭痛のになる患者さんを、エストロゲンを補うエストラジオールという薬を飲む群と、黄体ホルモンを飲む群に分けて観察しています。
生理前に、それぞれの薬を、飲んだところエストラジオールを飲んだ群は、片頭痛を予防できたとあります。
ここから、生理前にエストロゲンを補うと、片頭痛になる可能性が低くなることが、考えられます。
ただ、この2つの研究から、生理前はエストロゲンが下降期にあることは、分かりますが、それ以外の時期は、はっきりしません。
個人差もあると考えられますので、自分で判断するのではなく、婦人科専門医に相談するのがベストです。
もう少し詳しいことが知りたい方は、是非当院へお問い合わせください。