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肝臓を整えて妊娠しやすいからだを作れること知っていましたか?

2017年9月28日10:22 AM カテゴリー:お勉強,症例

不妊に関係のある臓器(内臓)と言えば、卵巣や子宮、精巣が思い浮かぶ人が殆どではないでしょうか?
それ以前に、卵巣や子宮が内臓という意識自体がないかもしれません。

それなのに、肝臓が妊娠と関係しているなんて、かなり意外ではありませんか?

これは私が臨床で得た経験を元に書いていますので、他ではあまり知られていないことだと思います。

血液検査で肝機能を調べると、その人の妊娠しやすさが分かると言われたらあなたは信じますか?



苦い経験と発見

肝臓が妊娠と深い関係にあると気付いたのは、まだ不妊鍼灸の経験がそう多くは無い頃の、あるご夫婦の治療がきっかけでした。

このご夫婦は、奥様が重度の子宮内膜症でした。この奥さんの内膜症は非常に重く、生理痛以外にも、頭痛や腰痛、腹痛などが常に付きまとう状態でした。

妊娠希望だったご夫婦は、体外受精を希望されていました。私は、その当時習い始めたところだった栄養療法と、鍼灸治療を組み合わせて治療をさせて頂きました。

その時の奥さんの血液検査は、

・強い貧血
・低コレステロール
・低中性脂肪
・低コリンエステラーゼ
・低タンパク質

という内容でした。
あまり血液に元気がなく、肝臓で作られるものが、低い値になっていました。ただ病的な低さではありません。つまり病院でなら全く問題のない健康的な数値と診断される程度でした。

鍼灸治療と栄養療法を始めて3か月後、鍼灸治療と栄養療法は素晴らしい効果を出しました。

血液検査で問題のあった肝機能が全て改善しており、採卵の結果、質のいい卵が10数個採れたのです。

ただ栄養療法は思わぬ副産物を生みました。それは子宮内膜症の悪化でした。当時の栄養療法は、大量のビタミンミネラルをサプリメントで補い、その上高タンパク質の食事を推奨していました。その結果、貧血の改善や内膜の肥厚を始め、大量の採卵などは得られました。ただ内膜の肥厚が非常に活発で、異所性内膜である子宮内膜症まで悪化させたのです。

それでも1回目の移植で妊娠することができました。ただ1回目の妊娠は、残念ながら初期流産となってしまいました。本来は、初期流産は受精卵の問題なのですが、奥さんは内膜症の悪化のこともあり、栄養療法や鍼灸のせいで流産したのではないかと考えました。

その結果、奥さんは鍼灸も栄養療法も中止しました。ただ旦那さんだけは、持病の治療のために通院し続けてくれました。

鍼灸治療と栄養療法を止めた後、この奥さんは漢方薬を飲み始めました。すると子宮内膜症の症状が軽くなり、大変喜んでいたそうです。ところが、数か月が経ったころ、旦那さんから相談を持ち掛けられました。

相談の内容は、「実は、漢方薬を飲み始めてから、内膜症の症状は楽になったのですが、採卵しようにも卵が全く採卵できないんです。」
というものでした。

この症状の変化は、ある意味私が予想した通りではありました。そこでもう一度血液検査を採って頂くと、元の血液検査の状態に戻っていました。

鍼灸と栄養療法を止め、漢方薬を始めたことで、子宮内膜症は非常に楽になったのですが、最も重要な妊娠からは返って遠ざかった状態になってしまいした。

その状況に、奥さんも現状を理解されましたが、前回の内膜症の辛さと、一旦私のせいにされたことを気にして、治療には来院しにくいと仰いました。

そこで前回の治療方針を改め、最低限の栄養療法と漢方薬を受けてもらいました。すると再び肝機能は回復し、採卵ができるようになったのです。今回の最低限の栄養療法では、内膜症の悪化を防ぎながらも採卵に成功し、無事に妊娠されました。

その後、ご出産のご報告も頂きました。この患者さんの症例は、私に大きな経験を与えてくれました。

肝機能が大事な理由

では、なぜ肝機能が妊娠や出産に関係するのでしょうか?それは肝臓の働きを理解すると分かります。肝臓では、大きく二つの仕事をしています。一つは物質を作る仕事で、もう一つが物質を分解する仕事です。

もう少し詳しく説明させて頂きます。口から入って消化吸収された飲食物や、血液循環で体内を巡った血液は、必ず肝臓を通ります。この時、肝臓に運ばれた血液に含まれる様々な物質は、肝臓で分解や合成、再合成を受けて別の物質へと形を変えます。

肝臓で行われる分解には、解毒も含まれます。からだにとって有害な物質を、無害なものに変えるために、肝臓で処理しているのです。この解毒されるものには、不妊治療で使用されている薬剤も含まれます。

つまり肝臓の解毒能力が弱ければ、薬害も出やすいということになります。不妊治療では多くのホルモン剤を使用しますので、肝臓の解毒作用は非常に重要です。

肝臓では解毒と同時に、からだに必要な物質も作られますが、解毒に力を使いすぎると物質を作る能力が低下してきます。そのため先ほどの患者さんでは、ホルモン剤に漢方薬を併せて飲みだしたところ、急激に肝臓で作られる物質が少なくなりました。それがコレステロールや中性脂肪、コリンエステラーゼなどの低数値に繋がったと予想されます。

栄養療法は、内臓機能を高めて、物質代謝を押し上げる作用があります。そのため栄養療法をすると、肝機能が高まり、再び物質を作る能力が高まったようです。

恐らくは解毒能力も上がったと予想されます。鍼灸治療は、その栄養を含んだ血液を、必要な部位に循環させて、更なる効果を挙げるのですが、今回は奥さんのご希望で、それはできませんでした。

この患者さんも、肝機能が上がったことで、様々な物質代謝が増えたため、妊娠や出産に繋がりました。今回の患者さんの場合には、コレステロールや中性脂肪の変化と、採卵数や内膜の肥厚に相関が見られました。

このような、コレステロールや中性脂肪と、産卵数や内膜の肥厚との相関関係は、それから15年以上経つ今でも、臨床上よく見られる現象です。

脂肪が大事な理由

体内に循環しているコレステロールの内、約8割は肝臓で再合成されているものです。つまり食事で摂取しているのは、約2割程度だということです。極端な偏食の方以外は、食事の影響よりも肝機能の影響を強く受けます。

つまりからだがコレステロールの必要量を決めて、肝臓が必要量を作り出すということです。この時に肝臓が元気でないと、必要なコレステロールが作られず、低コレステロールになります。

コレステロールは、体内で様々なものの材料になっています。例えば、ステロイドホルモンはコレステロールからできています。ステロイドホルモンは、抗炎症剤として有名なコルチゾール(副腎皮質ホルモン)が有名ですが、実は女性ホルモンや男性ホルモンもコレステロールでできています。

そのため、低コレステロールでは、十分な性ホルモンを作ることができません。だからといってえホルモン剤で人工的に女性ホルモンを補うと、解毒作業のため肝臓に負担を掛けてしまい、逆に自分では女性ホルモンを作れなくなってしまいます。それでは妊娠が遠のいても仕方ありません。

更に、コレステロールは、全身にある細胞膜の約2分の1を作っています。つまり、低コレステロールでは、新しい細胞を作つ材料が足りなくなるのです。

新しい細胞膜が作られないのですから、新しい命を授かる能力が低くなっても不思議ありません。つまり妊活にコレステロールは欠かせない存在だということです。

中性脂肪は、コレステロールのように、ものを作る働きはありませんが、有酸素運動のエネルギーになっています。有酸素運動は特別な運動ではなく、普段私たちが生きているということ自体が有酸素運動です。

手足を動かし、歩き、座る姿勢を維持している、といのも有酸素運動です。つまり中性脂肪は、そうした日常動作のエネルギーになっているのです。それが低いということは、日常動作のエネルギーが足りないということになります。

中性脂肪は、余った糖を材料に肝臓で作られます。動物性脂肪からできているコレステロールと同様に考えられますが、全く違うものだと思った方が良いと思います。

中性脂肪は食事の影響をかなり受けますので、高炭水化物やアルコールの摂取で数値が跳ね上がります。この辺りもコレステロールとは違います。

それでも数値が低い場合は、コレステロール同様に、肝機能が低い場合が多いようです。そのため、肝臓が弱っている目安にしています。

そこで血液検査などをした後は、是非、肝機能チェックしてみて下さい。妊活のバロメーターになるかもしれません。

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