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【不眠症】大阪市在住、40代、女性  鍼灸治療のケース

2016年4月6日4:44 PM カテゴリー:不眠症,症例

不眠症への鍼灸治療:患者さまの感想「すっかり良くなり、よく眠れるようになりました。」

 

ストレス社会といわれる現在、不眠症は年々増加しています。

厚生労働省の疫学調査で、5人に1人が、慢性の不眠症ということが推定されています。

大阪 心斎橋の鍼灸院 天空にも何らかの形で不眠症を訴えられ通院される方が、増えてきています。

不眠症は、不眠だけで止まらず、肩こり・腰痛や胃腸症状などのさまざまな症状を引き起こします。

また、糖尿病、認知症を悪化させることも知られており、体温、血圧、呼吸数に次ぐ、生命に関する重要な指標と、考えられようになってきています。

今回は、強いストレスから不眠症になり、自律神経失調を引き起こされた患者さまが、鍼灸治療で改善されたケースを、ご紹介します。

 

○今までの経過

・以前より、右の腰の痛みがあった

・2か月ほど前に、当時、付き合っていた男性と別れ、肩こりを感じだした

・しばらくしたら治るかと思っていたが、不眠になった

・心療内科で入眠導入剤と抗不安薬を処方され、服薬している

・入眠導入剤は必要な時だけ服用している

・抗不安薬は副作用が出たので、飲んでいない

・以前より、明日の仕事が大変と思った時は、睡眠薬を飲んでいた

・別れた後、数日間はショックで微熱があった

・食欲もなかったが、今は戻った

・喉が乾燥する

・頭がボーとし、歩いている時にふらつくことがある

・できるだけ歩くようにしている、スポーツクラブにも通っている

・最近は、入眠障害があり、熟睡感がない、中途覚醒もある

・神経質なところがある

・鍼治療は初めてなので、少し不安感と緊張感がある

 

初診時は、気持ち的には、前向きになろうとしているの感じられ、上手くいきそうな印象でした。

不眠に対する不安が強く、このままならどうしようと悩んでおられました。

 

不眠症への鍼灸治療と施術後の状態について

 

初回の鍼治療

肩こりと腰痛を訴えておられましたので、まず、うつぶせの状態で、肩・首と腰のツボ、左右合計で14か所に鍼を刺し、15分ほど、そのままの状態でいてもらいました。

使用した鍼は、直径0.18ミリ、長さ40ミリです。鍼を刺した深さは約5ミリと浅めでした。

鍼治療が初めてということもありましたが、肩・首を触りますとこり感がなく、逆に力がない感じだったからです。

ストレスから肩こり、不眠症へと進行していますので、筋肉の問題というより、交感神経が興奮し、筋肉のコリ感をつくったようです。

このような場合は、鍼を深く刺したり、強い刺激を与えますと、逆に悪化します。

ごく軽い刺激で治療することがポイントになります。

その後、すべての鍼を抜き、特に力がない処に、鍼を刺し、力が充実するようにしました。

次に、仰向けの状態で、不眠を解消するツボや呼吸をしっかりとできるツボを6か所選択し、鍼を刺し、20分ほど、そのまま、寝てもらいました。

使用した鍼は、直径0.16ミリ、長さ15ミリです。

鍼を刺した後に、交感神経の興奮を抑えるように工夫しました。

鍼治療の後は、呼吸が深くなった感じで、肩こり・腰痛も感じなく、身体がしっかりしてきたとありました。

 

2回目の鍼治療

脳に何かあるのではと、不安だったので、脳MRIを撮ったが、血管性の異常はないと診断された。

不眠は徐々に改善されてきているとのことでした。腰痛はすっかり良くなったようです。

鍼治療は、初回とほぼ同じですが、元気が出るツボを加えました。

鍼治療後は、こり感もなく、いい感じとのことでした。

 

3回目の鍼治療

睡眠の質が良くなり、中途覚醒がなくなった、熟睡感はもう少しという感じとありました。

鍼治療は、初回とほぼ同じですが、呼吸の働きを助けるツボを新たに加えました。

 

4回目の鍼治療

前回の鍼治療の後、忙しい日が続き、不眠が悪化し、やる気が出ないとありました。

うつぶせの状態で、やる気が出るツボや気力が増すツボを加えました。

また、力が充実するよな工夫をしました。

仰向けの状態では、からだ全体にエネルギーを行き渡せるツボを加え、十分に行き渡るよう工夫を加えました。

 

5回目の鍼治療

前回の鍼治療の後、睡眠が完全に安定化し、中途覚醒もなく、熟睡感があり、毎日、生き生きと生活できるとありました。

鍼治療は、4回目と同じです。

鍼治療の後、からだ全体に気力が漲っている感じとありました。

先週、1週間、睡眠の質が改善されていたので、今回で一旦、終了としました。

 

施術者の感想

今回の症例では、5回の鍼治療で不眠症が改善されています。

これは早く治ったケースといえます。

理由としましては、以下のようなことが考えられます。

・患者さまが、「治す」ことに意欲的であった

・不眠症になってから2か月と、あまり時間が経過していなかった

・ショックの後、肩こり感という、心の状態より筋肉の問題が生じた

・鍼刺激に対して身体の反応が良かった

・肩こり・腰痛などの身体の症状が、早く改善し、そのことにより、「負のスパイラル」が断ち切られ、精神的に安定した

 

今回のケースのように、患者さまご自身が「治す」ことに、前向きであることは大切です。

例えば、うつ病などでも、「現在の環境が変化しない限り治らない」と思い込みながら治療を受けるのと、「早く職場復帰して活動したい」と思いながら治療受けるのでは、後者の患者さまの方が、やはり、早く治っていきます。

これは、鍼治療には、前向き感を出す物質を放出させる働きがありますが、この時に、ご自身に前向き感があれば、その作用は強くなります。

逆に否定的であればバイアスがかかり、放出量が少なくなったり、分泌されるまでに時間がかかったりするからです。

不眠症に限らず、自律神経失調症や抑うつ症、うつ病などでは、肩こり・腰痛などの身体の症状を伴う場合、鍼治療はより効果的なる傾向にあるようです。

これらの「心の病」は、気持ちの問題でなく、身体の症状を伴うことが多くあります。

気持ちの落ち込みと身体の痛みなどの症状を伴うことにより、不快な刺激が持続的に続きます。

身体の症状により落ち込み、その落ち込みにより、また、身体の症状がひどくなるという、「負のスパイラル」が形成されます。

この負のスパイラルが、不眠症、うつ病などを治りにくくしています。

このような病気には、負のスパイラルをどこかで断ち切ることが、大切になります。

あなたもよくご存じのように、鍼治療は肩こり・腰痛などの身体の症状に効果的です。

鍼治療により、これらの症状が改善されますと、負のスパイラルをそこから断ち切ることになります。

実際、肩こり・腰痛を取り除くだけで、自律神経失調症や不眠症、抑うつ症が改善することもあります。

今回の症例でも、初めの2回の鍼治療により、肩こり・腰痛が改善されており、そこから不眠症状も良くなっていっています。

ただ、ご本にも仰っていたように、不眠の原因が「失恋というショック」、また、神経質であり、仕事も忙しくなり、気力が不足していました。

「ショック」が強かったり、神経質なタイプの方は、呼吸が浅くなりがちです。

呼吸が浅くなりますと、残気量が多くなり、酸素と二酸化炭素のガス交換がうまくいきません。

それにより身体の隅々へ酸素が十分に行き渡らなくなり、筋肉の働きや脳の働きが低下します。

このなんとなく「重だるい感じ」がやる気不足や気力の不足につながります。

また、ガス交換が不十分なため、身体が真から休めずに、熟睡感の不足にもつながります。

3回目の鍼治療時に、呼吸の働きを助ける治療を加えたのは、このことによります。

また、元気が出る鍼治療も加えています。

これらのことにより、比較的早く、不眠症が改善したと考えられます。

今回の症例のように、鍼治療には症状を改善するだけでなく、前向き感を出すこともできます。

この前向き感を引き出すことができることにより、不眠症や自律神経失調症、うつ病などの改善が、期待できるわけです。

 

 

東洋医学からの視点

「素問」や「霊枢」という古代の医学書にも、不眠に対する鍼灸治療が記載されています。

そこにはさまざまな種類の不眠症が書かれています。

現代人は、ストレスフルな社会に生き、徐々に睡眠時間が短くなり、不眠症が増えていますが、決して現代病ではなく、古くから不眠に悩まされる方は、多かったことがそこから分かります。

今回の患者さまの場合は、もともと神経質で、仕事も忙しく、プライベートでもかなり、活発に過ごされていたようです。

このタイプの方は、頑張れるときは、行きつくところまで行ってしまいがちです。

ただ、持っているエネルギー量は少ないです。

車に例えますと、「軽自動車」タイプです。

この「軽自動車」で、時速100キロ以上を出し、1000キロを走るというようなことを日常的にしてしまうタイプです。

そのため、結構、仕事はできるのですが、続かず、燃え尽きやすい傾向にあります。

このような症状を古典医学では、「肝血虚」と呼んでいます。

肝臓には血液をどこにどれだけ送るかの働きがあります。

これを肝臓のプルーリング作用と呼んでいます。

古典医学では、肝は「対ストレス臓器」とされています。

肝が働くことにより、仕事や勉強に励むことができるとしています。

今回の症例では、失恋のショック、繁忙などに対応しようと頑張ったため、肝が興奮し、血液を消耗したしたために起きたと、古典医学では考えます。

そのため、脳や筋肉の十分に血液を送り込むことができず、不眠や肩こりなどの症状を引き起こしたわけです。

血液は水分ですので、それが不足しますと、体内での乾燥が激しくなり、熱が作られます。

この「熱」を古典医学では、「虚熱」と呼んでいます。

失恋後の数日間の微熱は、この虚熱が引き起こしたものです。

喉の乾燥も、同様です。

風邪の時の発熱で食欲がなくなるのと同じように、この虚熱でも食欲不振となることがあります。

このように、今回の患者さまの状態を、「肝血虚」という一つの症候に絞り込むことができますと、治療方針も立てやすく、改善も早くなります。

また、今回の患者さまは、早い段階で鍼灸治療を受けに来られましたので、あまり症状も重くなく、早く改善することができました。

早めの治療が症状を早く解消することは、西洋医学でも東洋医学でも、同じです。

 

 

 

 

 

 

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