PAGE TOP

全日本鍼灸学会に参加しました。

2018年6月3日7:46 PM カテゴリー:学会・勉強会

こんにちは 鍼灸院 天空の冨田です。


6月2日(土)、3日(日)の両日は、全日本鍼灸学会に参加致しました。

今回は大阪会場ということで、南港にある森之宮医療大学とハイアットリージェンシーホテルの2会場での開催となりました。

両会場が徒歩ではかなりの距離があり、午前の部と午後の部の間は、バスが運行しないということで、炎天下に徒歩での移動が大変でした……。

 

【ジストニアの実技セッション見学】

 

学会では、複数の会場で同時に色々な内容でセッションが行われました。私は、午前の部はジストニアの鍼灸治療についてのセッションに参加しました。

ジストニアは、自分の意志とは関係なく、筋肉が収縮してしまう難治性の疾患です。私たちのからだは、意識してからだを動かすとき、筋肉の収縮や弛緩を全自動で制御しています。

例えば、肘の関節を曲げる時には、上腕二頭筋(二の腕)が収縮して肘を曲げますが、反対側の筋肉(いわゆる振袖の部分)は弛緩しています。また上腕二頭筋は、あまり強く収縮し過ぎないように、制御されています。


こうした制御が無くなれば、筋肉は収縮し過ぎてしまい、肘が強く曲がり過ぎてしまうことや、肘が曲がったままになり、伸ばせなくなってしまいます。

こうした制御は、脳の大脳基底核という部分で行っています。ジストニアは、この大脳基底核の働きが乱れ、筋肉の随意運動(自分の意志でする運動)が制御できなくなる疾患です。

ジストニアは全身に起こる可能性があるのですが、特に有名なものに、痙性斜頸や書痙というものがあります。痙性斜頸は、首の筋肉が勝手に収縮することで、首が曲がったままの状態になってしまうものです。

酷くなると、座位を維持するだけでも困難になりますし、歩いて移動することもかなりの努力を要するようになります。

ジストニアは、随意運動が障害されますので、痙性斜頸の場合には、自分で意志を持って立つ、座る、移動するといった動作の度に、首の筋肉が自分の意志とは関係なく収縮してしまい、横や上を向いた姿勢になってしまいます。

書痙の場合には、字を書こうとすると、手の筋肉が過剰に収縮することで、上手く字を書くことができなくなります。

字を書くお仕事の方に多く、緊張状態で字を書かなければいけない、学校の先生などによく見られます。お仕事柄、次を書かなくてはいけないのに、次を書こうとすると筋肉が強張るため、字が上手く書けません。字を書くお仕事なので字が書けないことで、更にストレスが溜まり、書痙が強くなります。

また一度ジストニアを発症すると、ジストニアで引きつった筋肉の影響により、特定の姿勢を強いられるため、他の筋肉が緊張を強いられることが多くなります。また、こうした一時的な障害の影響で、連鎖的に起こる障害を、二次的障害と言います。

今回のセッションでは、ジストニアの鍼灸治療においては、まず二次的障害を改善してから、一時的障害を治療する必要があると説明されていました。

これは東洋医学の治療法則にある、先表後裏の概念に近いものがあります。先表後裏の概念は、先ず病の勢いの強い表証から改善し、病の勢いを抑えておいて、本当の原因を改善するというものです。

苦痛を感じている方からしても、先に比較的新しい症状や強い症状を改善できるため、非常に患者に優しい施術と言えるのかもしれません。

東洋医学という経験医学は、現代医学の治療概念とも共通する部分が多いことが分かります。

 

【順経取穴とは】

 

今回の「ジストニアの実技セッション」では、特に順経取穴(じゅんけいしゅけつ)というものと、局所の刺激を組み合わせて施術していました。

順経取穴とは、東洋医学独特の概念である、経絡を利用したツボの選択のことを言います。例えば、斜頸の鍼灸治療であれば、外関というツボを使用していました。


外関穴は、手少陽三焦経という経絡のツボです。手少陽三焦経は、手から首の側面を通り、耳の周囲にまで伸びる経絡です。

<移動の日本車 経絡経穴概論より>

この外関に鍼をすることで、首に繋がる経絡を刺激して、首の筋肉の緊張を取り除くということです。現代医学的に言うなら、神経系を刺激して、新たな神経伝達ルートを作るということです。

元々ジストニアには、知覚トリックという特徴があり、軽微な刺激を加えると、脳から筋肉への神経刺激が制御されて、筋収縮が収まるという特徴があります。

例えば、痙性斜頸を起こしている方の肩先に軽く触れると、歪んでいた首が元に戻ることがあります。この知覚トリックに近い働きが、鍼灸刺激にはあるようです。

そのため強刺激は必要なく、鍼を刺すときも、5mm程度の深さで十分効果があるということでした。こうした経絡に浅く刺して効果を出す施術は、経筋治療という施術に似ています。

つまり東洋医学では、昔からあった治療法であるということです。恐らく数千年前から、ジストニアの方には、鍼灸治療で効果を出していたことでしょう。

 

【ジストニアに対する本治法】

 

私たち東洋医学で施術をする鍼灸師は、標治法と本治法を使い分けて施術をします。標治法は、現代医学で言うと、いわゆる対症療法に当たります。本治法は、根治療法に当たる言葉で、東洋医学では非常に重視する施術です。

先ほど出てきた先表後裏の概念というものは、この標治法を先に行い、後に本治法を行うことを指しています。症状の強い疾患では、しばしば先表後裏の概念で施術をします。

ジストニアで言うなら、筋肉の緊張やけいれんが標治法の対象であり、その原因になった精神的ストレスなどが本治法の対象ということになります。


今回のジストニアの実技セッションでは、ストレスに対するツボとして、百会が選択されていました。百会は頭のてっぺんにあるツボです。

この百会はストレスに対するツボとして有名ですが、慢性的なストレスに多用すると、余計に頭に血が上ることがあるため、熟練鍼灸師はあまり続けては使用しません。

また脳に対する効果を考えれば、東洋医学で言うところの本治法により、もう少し手足末梢のツボを使う方法の方が、効果的かもしれません。

今回のジストニアの鍼灸治療を発表されたのは、某鍼灸医療大学の先生でしたが、指導されていたのは、同じ医療大学の理学療法士の先生でした。

理学療法士が指導して作成したため、臨床家の鍼灸師とは少し違った視点で作成されたようです。これからは同じような論文が、鍼灸師目線で出てくれば、また違う感じになると思います。

こうした学会参加は、ただ聞くだけよりも、色々と想像しながら聞くと、新しいアイデアが湧いてきますし、東洋医学を違う面から再認識できるだめ勉強になります。

宜しければ記事のシェアをお願い致します。

診療時間のご案内 トップページへ戻る
2019/1/11
【不眠症】大阪市在住、30代男性、鍼灸治療のケース
2019/1/6
【片頭痛】兵庫県、30代、女性、鍼灸治療のケース
2018/12/24
【片頭痛】大阪府、10代、女性、鍼灸治療のケース
2018/12/10
【うつ病】大阪府、30代、男性、鍼灸治療のケース
2018/11/30
初めての顕微授精で妊娠することができた症例
2018/11/30
【逆流性食道炎】大阪府、20代 女性、鍼灸治療のケース
2018/11/27
今月3人目の妊娠報告を頂きました。
2018/11/20
妊活3年後、8回の鍼灸で妊娠 <兵庫県在住 30代女性>
2018/11/20
【緊張型頭痛】大阪府、20代 女性、鍼灸治療のケース
2018/11/5
【抑うつ症】大阪府在住、30代男性、鍼灸治療のケース
>>もっと記事を読む
診療時間のご案内 当院アクセスマップ
トップページへ戻る

カテゴリ別記事

過去の記事

※免責事項:掲載された事例や患者様の体験談は個人の感想や成果によるものなので、全ての人への効果を保証するものではないことと御理解ください。施術による効果には個人差があります。