PAGE TOP

お腹の中を温める鍼とは

2018年8月17日2:38 PM カテゴリー:不妊症

【お腹の状態と妊娠しやすさ】

 

お腹の皮膚温は、子宮や卵巣などの生殖器の血流状態を表すことがあります。鍼灸の古典書の中では、ふくよかで温かいお腹(下腹)は、妊娠をしやすいお腹だとされています。

解剖学的にも、脊髄から分岐した脊髄神経は、同じ高さの内臓や筋肉、皮膚を支配するため、内臓器の状態は、同じ高さにある皮膚や筋肉の状態に反映されることが証明されています。

これは内臓体性反射とも言われています。例えば、生理痛の時に腹部や腰、お尻の筋肉が異常に凝ったり、痛んだりする現象だと言えば、女性には分かりやすいかもしれません。

不妊傾向の強い人では、こうしたお腹の変化が起こりやすく、タイプによって様々な様相を呈します。

 

➀ 下腹部が冷たい

② 下腹部が固い

➂ 下腹部に力がない

④ 下腹部を押すと痛い


 

➀下腹部が冷たい

 

下腹部が冷たい人は、子宮や卵巣の血流が悪く、上手く生殖器に、栄養やホルモンが届けられていない可能性があります。こうした人は、卵胞が上手く成長し辛かったり、排卵が上手くできない、子宮内膜が上手く育たない可能性があります。

鍼灸治療で、下腹部や子宮・卵巣に関係するツボをを中心に施術すると、お腹の温度が上がり、自覚的にも温かみを感じるようになります。

 

②下腹部が固い

 

下腹部が固い人には、大きく2種類あります。一つは、血行障害から、瘀血(おけつ)という固まりができている場合です。瘀血には、実際に血の固まりがある場合と、そうではない場合があります。血の固まりが実際にあるものとしては、子宮筋腫やチョコレート嚢胞などがあります。そうではない場合には、卵巣機能低下や子宮機能低下があります。

もう1つの場合は、ガスが溜まっている場合です。これを東洋医学では、気滞(きたい)と言います。気滞はガスですので、叩くと太鼓のようにポンポンと軽い音がします。

同じお腹が固い人でも、瘀血の場合には、こうした軽い音はしません。むしろ、中身が詰まった音のすることが多いようです。

お腹が固い場合の鍼灸治療は、瘀血と気滞で大きく違います。瘀血の場合には、比較的強めに深く鍼をする場合が多いですが、気滞であれば鍼を刺さなくても治る場合があります。

鍼を腹部に当てるだけでも、グルグルという腸の蠕動運動と共に、ガスの塊は無くなります。気滞の治療は、非常に即効性がありますが、不妊の原因になることは少ないように思います。

どちらかというと、治り難く厄介な瘀血の方が、不妊の原因としては多い傾向があります。

 

➂下腹部に力がない

 

下腹部に力がない場合には、婦人科能力が低下していることを示します。下腹部に力のない人は、男女ともに不妊傾向が強く、治り難いことが多いようです。

東洋医学では、腎虚(腎精不足)の人に多いとされており、性欲があまり無く、生殖能力がかなり低下している状態の人に多いようです。

但し、こうした下腹部に力が無い人でも、経産婦は除外します。経産婦の下腹部は、力が無く感じることが普通ですから、あまり生殖能力とは関係がありません。

下腹部に力が無い方の鍼灸治療は、下腹部に対する直接的な施術がメインになります。鍼の深さも比較的深く、お灸の据え方も、多壮灸と呼ばれる、一か所に数多く据える方法が取られます。

 

④下腹部を押すと痛い

 

下腹部を押して痛みがある場合には、②のような気滞や瘀血の方が多く見られます。また、表面上は柔らかく、一見すると➂のような方でも、お腹の奥深くに痛みが出る場合もあります。

鍼灸治療は、その原因と病の深さによって鍼灸治療を変えることになります。痛みが深い部位にある場合には、鍼を刺す深さも、お腹の奥深く差す必要があります。

表面だけの痛みであれば、鍼を刺さずに施術することもあります。

 

【理想的なお腹になると妊娠しやすくなる】

 

理想的なお腹とは、下腹部が柔らかく、ふくよかで温かいお腹です。そういう意味では、最近TVで見かけるような、腹筋が割れたようなお腹ではありませんし、下腹部がスッキリしすぎているのも良くありません。

下腹部が、ふっくらと膨らんでいるくらいが丁度良いお腹です。ただしくびれはしっかりあった方が、妊娠する力は高くなります。

世界共通して言えるのは、ウエストとヒップのサイズ差があるほど、妊娠がしやすいということです。くびれがある女性は、妊娠する力が強いのです。

逆にウエストのくびれがない女性は、排卵障害の一種である多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)になりやすい傾向があるとされています。

PCOSは、肥満やインスリン耐性とも関連が深いため、ウエストサイズが大きくなるほどに、PCOSになりやすいということになります。

理想的なお腹を作るためには、鍼灸治療が最も効果的ではないかと思いますので、冷たいお腹や固いお腹をお持ちの方は、鍼灸治療を受けてみて下さい。

宜しければ記事のシェアをお願い致します。

診療時間のご案内 トップページへ戻る
2022/12/9
2021年 妊活鍼灸の振り返り ー症例と総括ー
2022/12/3
2021年妊活鍼灸の振り返り4 ―症例―
2022/9/23
2021年妊活鍼灸の振り返り3 ―症例を中心に―
2022/4/17
2021年妊活鍼灸の振り返り2 -症例を中心に-
2022/2/14
2021年妊活鍼灸の振り返り1 -緒言と症例-
2021/11/30
2020年 妊活鍼灸の振り返り -症例と総括-
2021/4/21
2020年妊活鍼灸の振り返り ―症例を中心に―
2021/2/12
2020年妊活鍼灸の振り返りー緒言と症例ー
2020/1/7
2019年 妊活鍼灸の振り返り ―その3― (症例とまとめ)
2020/1/5
2019年 妊活鍼灸の振り返り ―その2―(症例を中心に)
>>もっと記事を読む
診療時間のご案内 当院アクセスマップ
トップページへ戻る

カテゴリ別記事

過去の記事

※免責事項:掲載された事例や患者様の体験談は個人の感想や成果によるものなので、全ての人への効果を保証するものではないことと御理解ください。施術による効果には個人差があります。