PAGE TOP

子宮内フローラ(乳酸菌)が体外受精を妊娠に導く?

2018年8月24日9:54 AM カテゴリー:不妊症

子宮内フローラを整えて妊活を成功させる

 

【膣内の酸性環境と殺菌作用】

 

女性の膣の中には、乳酸菌を中心とする細菌叢があることが知られていました。細菌叢とは、フローラとも言われ、大腸内の腸内フローラが有名です。

大腸内では、特定の細菌が住み着くことで、腸内環境を整え、便通や免疫などに影響を与えていると言われています。

こうした細菌叢が膣内にもあり、乳酸菌が出す乳酸の働きにより酸性環境を保ち、この酸性環境が雑菌の繁殖を防ぐ殺菌作用があるそうです。

この膣内に乳酸菌が住み着いていることは、以前から知られていましたが、この乳酸菌が子宮内にも住み着いていることが、徐々に分かってきました。

以前子宮内の乳酸菌により、慢性子宮内膜炎が防ぐことができるという記事を書きましたが、この子宮内フローラと、体外受精の成功率についての研究論文がありました。

 

【子宮内膜に乳酸菌が多いと妊娠率が高い】

 

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27717732

この研究では、子宮内膜に住む微生物を確認し、その内容を解析することで、体外受精の成功率を比べるというものです。

また膣内の微生物と、子宮内の微生物の違いも比較したとあります。

その結果、子宮内に微生物の内、ラクトバチラス(乳酸菌)が全体の9割を超えると、優位に体外授精の妊娠率が高まるという結果が得られました。

これは、子宮内でも膣内と同様に、乳酸菌が出す乳酸の働きで、子宮内に酸性環境が保たれ、その結果、雑菌などが繁殖しないせいではないでしょうか。

体外受精などの胚移植時に、良好な状態の胚を移植しても、複数回移植が失敗する人の内、かなりの割合で、子宮内に雑菌が繁殖する、慢性子宮内膜炎を発症していると言います。

慢性子宮内膜炎は、着床障害の中でも、大きな割合を閉めるということです。

子宮内で9割以上が乳酸菌ということは、逆に言うなら、それ以外の雑菌が繁殖していないということでもあります。つまり、慢性子宮内膜炎になりにくい状態ということです。

子宮内に乳酸菌が繁殖しているため、雑菌が繁殖しにくいことが、移植率の向上に働いているとすると、子宮内に乳酸菌を増やすことが、あなたの妊娠率を上げることに繋がるというわけです。

 

【子宮内の乳酸菌を増やしましょう】

 

現在は、病院での検査で慢性子宮内膜炎が分かると、抗生物質で雑菌を除菌する方法が取られます。これは、胃潰瘍や胃癌の原因である、ピロリ菌の除菌に似ています。

雑菌を殺すために抗生物質を飲むことは、一見合理的に思えますが、雑菌を殺すということは、善玉菌である乳酸菌も殺すことになります。

つまり、一旦子宮内フローラを壊してしまうということですから、その後、善玉菌が増えなければ元も状態に戻る可能性も考えられます。

慢性子宮内膜炎が治り難いのは、こうしたことも理由として挙げられます。確実に効果を挙げるためには、除菌だけではなく、菌を育成することも考えなくてはいけません。

また除菌されるのは、子宮内だけではありません。あなたが飲んだ抗生物質は、血液に載って全身を巡ることになりますので、ありとあらゆる場所の菌が影響を受けます。

先程出てきた、腸内細菌も同様に影響を受けます。抗生物質を飲んだ後に、お腹を下したり、逆に便秘になったりするのは、そのせいです。

そのため、腸内の乳酸菌も同様に、もう一度復活させる必要が出てきます。

 

細菌たちはどこから来たのか?

 

ここで、腸内フローラや子宮内フローラの元になった、細菌のことを考えてみましょう。こうした細菌たちは、一体どこから来たのでしょうか?

あなたの腸や子宮に住んでいた乳酸菌たちは、実はあなたのお母さんから貰ったものが元になっています。あなたがお母さんから菌を貰ったのは、あなたが産道を通ってくる時だとされています。

赤ちゃんは、子宮の中にいる時には、無菌状態の羊水の中で育ちます。当然、赤ちゃんのからだの中にも、細菌たちは侵入できません。

それが初めて細菌に出会う(感染する)のが、母親の産道を通った時なのです。つまり、母親の子宮や膣に居る細菌によって、産まれてくる赤ちゃんの貰う細菌が違うということです。

良い細菌を子宮に持っていて、妊娠しやすい状態であれば、良い細菌を赤ちゃんにも与えられるということになりますので、これから母親を目指すあたなは、自分の子宮内フローラを整えておく必要があるということが分かります。

 

腸内フローラと子宮内フローラの関係

 

子宮内フローラは、どのように整えれば良いのでしょうか?子宮の構造を考えてみましょう。


子宮には3ヶ所の出入り口があります。1つは、膣と繋がる子宮口側です。後の2ヶ所が、卵巣に向かう卵管采側です。

子宮口側は、膣と繋がり外界と通じていますが、卵管側は卵巣とは繋がらず、腹腔内に広がっています。この構造だけ見ると、膣側からしか乳酸菌の侵入経路はないように思います。

ところが実際には、血液を通じて全身と繋がっているとも言われています。特に、近い場所にある大腸とは、血液を介して細菌の交通があるそうです。

つまり大腸の腸内フローラが、子宮内フローラに影響を与えている可能性が高いのです。実際に、乳酸菌飲料を摂ることで、子宮内フローラが改善するということがあります。

つまり、腸内フローラを整えることが、子宮内フローラを整えることに繋がるのです。そこで、腸内フローラを整える方法をご紹介します。

 

腸内フローラを整える方法

 

腸内フローラを整える方法は、主に2種類です。1つが乳酸菌を摂取することで、もう1つが乳酸菌のエサになる食品を選んで摂ることです。

この2つをご紹介させて頂きます。

 

1.乳酸菌飲料やヨーグルトを定期的に摂取する

 

乳酸菌飲料やヨーグルトを摂取すると、腸内フローラが整います。ただし、乳酸菌は胃酸に弱いため、摂ったものが全て、大腸に辿り着くわけではありません。

そのため最近では、胃では溶けないカプセルに入った乳酸菌を使用したヨーグルトなども販売されています。

乳酸菌を口から摂る場合、あなたの腸に住み続けてくれるかどうかという問題があります。腸内細菌は、同じ乳酸菌でも、人により微妙に種類が違います。

あなたに合った乳酸菌を摂らなければ、あなたの腸内には住んでくれません。あなたに合う乳酸菌が何なのかは、あなたにしか分かりません。

複数の製品を使用して、腸の働きを観察すると、あなたに合った腸内細菌が分かるようなります。

 

2.オリゴ糖を摂取する

 

また乳酸菌飲料やヨーグルトの摂取以外にも、乳酸菌を育てる方法はあります。それが、乳酸菌のエサになるものを摂ることで、乳酸菌を増やす方法です。

乳酸菌は、食物繊維をエサにしています。その中でも、比較的短い分子構造のオリゴ糖(オリゴは短いという意味)を摂取すると、乳酸菌を増やすことができます。

オリゴ糖は様々な会社から、様々な種類のオリゴ糖が販売されています。これも、自分に合うものを選べば良いと思います。

ただオリゴ糖を食べることで、下痢やお腹の張りが不愉快なほど出る方には、あまりオリゴ糖の摂取はお勧めできません。

特に、過敏性腸症候群(IBS)のガス型と言われたことがある方などは、オリゴ糖を食べると、IBSが悪化することがありますので、注意が必要です。

 

腸内フローラが整った時の変化

 

腸内細菌の変化は幾つかの変化で知ることができます。1つは、便の変化です。乳酸菌は、エサを食べることで繁殖し、乳酸や酪酸という酸を作ります。

この乳酸をエネルギーにして、大腸は蠕動運動を行います。そのため、乳酸菌が育った腸では、蠕動運動が強く起こります。

これが、便秘の解消に働きます。人によっては、蠕動運動が激しくなりすぎて、下痢に近い状態になることもあります。

また乳酸菌が出すガスのせいで、お腹の張りを感じたり、ガスがでるようになります。バランスが取れてくると、このガスが便に混じることで、便が軽くなり、便器の水に浮くようになります。

腸内細菌が整っている人の便は、水に浮くということです。小さい健康なお子さんの便は、黄色くて焼き芋のようなほくほくした状態で、水に浮くのはそのためです。

また腸内フローラは、免疫を整える作用があるとされています。そのため、アレルギー症状が改善することもあります。

 

【子宮内フローラを安定化ために鍼灸治療を】

 

子宮内フローラを安定化させるためには、子宮内に乳酸菌のエサを供給する必要があります。そうしなければ、せっかく育った乳酸菌が安定して生きていくことができません。

子宮内の乳酸菌は、大腸の乳酸菌と違い、食物からの栄養を摂取することができません。その代わりに、子宮内膜に蓄えられたグリコーゲンを分解して、ブドウ糖に変えているそうです。

グリコーゲンからブドウ糖を作るためには、女性ホルモンであるエストロゲンが必要だとされています。

エストロゲンは、卵巣内の卵胞で主に作られます。卵胞では、LHとFSHの働きで、血中のコレステロールを変化させて、エストロゲンを作り出します。

これは、生理周期を作る働きと同じですので、生理周期が整っていることは、子宮内フローラを守るためにも大事だということが言えます。

鍼灸治療は、LHとFSHのバランスを整え、生理周期を正しくする作用がありますので、子宮内フローラを安定化させ、慢性子宮内膜炎などの慢性感染症を防ぐためにも、有効な可能性があります。

 

 


お名前
フリガナ
電話番号
メールアドレス
希望鍼灸師(施術者)  
ご予約希望日時
  • 第一希望日
  • 第二希望日
  • 第三希望日 例:○月○日 ○時頃 30分単位での指定も可能です。
お問い合わせ内容
決定日時に関しましては、当院スタッフが折り返しご連絡を致します。

宜しければ記事のシェアをお願い致します。

診療時間のご案内 トップページへ戻る
2022/12/9
2021年 妊活鍼灸の振り返り ー症例と総括ー
2022/12/3
2021年妊活鍼灸の振り返り4 ―症例―
2022/9/23
2021年妊活鍼灸の振り返り3 ―症例を中心に―
2022/4/17
2021年妊活鍼灸の振り返り2 -症例を中心に-
2022/2/14
2021年妊活鍼灸の振り返り1 -緒言と症例-
2021/11/30
2020年 妊活鍼灸の振り返り -症例と総括-
2021/4/21
2020年妊活鍼灸の振り返り ―症例を中心に―
2021/2/12
2020年妊活鍼灸の振り返りー緒言と症例ー
2020/1/7
2019年 妊活鍼灸の振り返り ―その3― (症例とまとめ)
2020/1/5
2019年 妊活鍼灸の振り返り ―その2―(症例を中心に)
>>もっと記事を読む
診療時間のご案内 当院アクセスマップ
トップページへ戻る

カテゴリ別記事

過去の記事

※免責事項:掲載された事例や患者様の体験談は個人の感想や成果によるものなので、全ての人への効果を保証するものではないことと御理解ください。施術による効果には個人差があります。