不妊治療に大きく関わる、「着床の窓」というものがあります。着床の窓とは、子宮内膜が受精卵を受け入れる期間のことです。
この「着床の窓」が閉じていれば、いくら受精卵が良いものでも、妊娠には至りません。
鍼灸治療は、この「着床の窓」を大きく開く効果があることが分かってきました。
着床の窓とは
排卵の2日前は、最もタイミングが成功しやすい日です。あなたがタイミングよく排卵できれば、2日前から卵管で待ち構えている精子が、ピックアップされた卵子に向かって泳ぎだします。
無事に受精した卵は、4~5日かけて卵管の中を移動します。そして、子宮内膜の「着床の窓」が開いている時期であれば、受精卵は子宮内膜に受け入れられて妊娠が成立します。
<不妊治療ガイダンス 医学書院より>
もし「着床の窓」が開いていなければ、妊娠が成立しないか、成立してもそのまま化学流産となります。
着床の窓が開いている時期とは
「着床の窓」が開いている時期というのは、厳密には分かりません。病院では、最近「着床の窓」を予測するためのERA検査というものがありますが、そのERA検査でも、「着床の窓」が開いている時期は予測できないそうです。
「着床の窓」が開いている時間も、分かりません。「着床の窓」が開いている時間は、かなり個人差もあるようで、かなり短い時間のから、2~3日程度まで様々だと言われています。
この着床時間や時期の違いが、着床率や妊娠率に影響するということです。
毎月必ず、排卵時期から数日間「着床の窓」が開いてくれれば、妊娠率が高くなります。ところが「着床の窓」が開いている期間が排卵時期とずれていたり、開いている時間が短ければ、妊娠は難しいものになります。
「着床の窓」を大きく広げる鍼灸
鍼灸治療の効果の中には、着床率がupするというものがあります。これは子宮筋の運動性が増すことで、精子や受精卵の移動を助けたり、子宮内膜の血流が良くなることで、着床しやすい状態を作るからです。
また子宮内膜で働いている、免疫の働きを緩和するためでもあります。子宮内は異物を除去するために、常に強い免疫が働いています。
この免疫の働きを抑え、免疫寛容という働きが起こると、妊娠がしやすくなります。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24396391
(鍼灸が子宮内膜の免疫環境を整え妊娠率を上げることが判明)
鍼灸ではこの免疫寛容を起こすことでも、妊娠しやすい状態を作ります。こうした妊娠しやすい状態こそ、「着床の窓」が開いている状態だと言えます。
「着床の窓」が大きく開けば、タイミング法や人工授精だけでなく、体外受精においても妊娠率は上がるはずです。
鍼灸治療で妊娠率が上がるという論文は沢山ありますが、黄体期に受けて頂く鍼灸治療や、胚盤胞移植当日の鍼灸治療で妊娠率が上がるのも、実はこうした働きのお陰かもしれません。
【まとめ】
・「着床の窓」はいつ開くのか、どのくらいの時間開くのかは誰にも分からない
・「着床の窓」は鍼灸治療で大きく開く