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卵巣の血流は、体外受精の結果を左右する可能性があります

今回ご紹介する研究は、卵巣や卵胞周囲に発達する血管の血流と、体外受精の結果との関連性をまとめたものです。

こうした研究結果を見ると、卵胞や卵巣の血流が、いかに重要なものか分かります。


【卵胞周囲の血流は体外受精の結果と関連が深い】

一口に血流と言っても、卵巣や卵胞、子宮内膜の血流は、肩や腰のようにマッサージで血行を良くするという分けにはいきません。

骨盤の奥深くにある臓器ですから、外から手を触れることができないため、外側からアプローチするとなると、自律神経の働くを利用するしかありません。

内臓器の血流は、副交感神経を優位にすると、促進することができます。内臓器の血流をピンポイントに改善するには、鍼灸治療のように狙った臓器の血流を良くする治療法が、最も適しています。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27484063

こちらの研究では、卵胞の血流と子宮内膜の血管新生と体外受精の結果を調べています。

卵管に異常のある女性156人を対象に、卵胞や血流子宮内膜での血流、血管新生が良いグループと、そうではないグループに分けました。

両者を比較したところ、血流の良いグループでは、卵母細胞の質、胚の質、臨床妊娠率の全てで、そうではないグループを上回ったとあります。

卵管に異常があるということは、卵管が詰まっているために、排卵した後に卵管で受精ができないということです。そのため体外受精の適応にったということでしょう。

体外受精を成功させるために、最も大事なことは、卵の質をいかに良くするかということと、受精卵(胚盤胞)が子宮内膜に着床できるかどうかです。

この両方の要素が、卵胞や子宮内膜での血管新生と相関性があり、妊娠率にも関連性があったということです。

【卵胞の血流は自然妊娠や人工受精とも関連性が高い】

上でご紹介した研究は、体外受精の方を対象に行った研究でしたが、卵母細胞の質や胚の質、妊娠率と関連性が高いということは、当然体外受精以外の不妊治療とも相関性が高いと言えます。

自然妊娠を望む方の場合でも、卵の質や着床能力は、妊娠を左右する非常に大きな問題です。人工授精の場合にも同様に、卵の質や着床する力は、妊娠には欠かせません。

そうしたことからすると、鍼灸治療はあらゆる不妊治療の形と相性が良いということになります。

当院では、3つの力で妊娠を成功に導くというのをテーマにしていますが、その中の1つである血流というものが、妊娠を左右するという証明がされているということです。


【冷え症や自律神経が失調気味の方はご注意下さい】

血液循環というのは、栄養やホルモン、酸素を血液に載せて運搬し、必要な細胞へ届けるという働きをしています。


血液循環のもう一つの大きな役割は、循環している血液が、からだの中心部で温められ、それが身体の末梢を循環することで、手や足などを温める働きをするということです。

そのため血液循環が悪くなれば、冷え症になりますし、冷え症の人は血液循環が悪いとも言えます。

こうした血液循環は、自律神経が支配しているため、冷え症があるということは、全身的に血行が悪い可能性があります。

また冷え症以外にも、下痢をしやすい、免疫系でトラブルがある、肩こりやその他の体調のトラブルがある方は、自律神経が失調している可能性がありますので、卵巣や子宮などの内臓でも血行障害を起こしやすい傾向があります。

もし妊活中に、冷え症や肩こりなどの不快症状がある方は、できるだけ早く体質改善をしましょう。

【血流を改善すると流産も減る】

妊娠初期の流産は、殆どが染色体異常などの先天的な問題だとされています。卵胞の周囲の血流が豊富だと、卵胞液の中にも十分な栄養や酸素などが届けられるため、卵の質自体も良くなります。

質の良い卵は、受精卵となってからも、胎盤ができて母体から栄養を貰うまでの間、受精卵は自分の中の栄養分で育ちます。

つまり排卵までに栄養を蓄えていなければ、細胞分裂が止まってしまい、育たない胚になるということです。

卵胞の血流を改善すると、卵の内側にまで栄養が行き届くため、妊娠初期の流産を減らす効果があると思われます。

そのため、鍼灸治療を受けた方では、流産率が低くなるとされています。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25854013

上の論文では、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の女性に対して、漢方薬とクロミフェンに鍼灸治療をプラスすると、妊娠率を改善し、排卵日の子宮頸管粘液、子宮内膜の厚さおよび形態を効果的に改善することによって早期流産率が低下するとあります。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25566616

こちらの論文では、卵巣の血流が良くなった結果、卵の質改善だけではなく、OHSS(卵巣過剰刺激症候群)の予防効果もあったとしています。

こうして鍼灸では、様々な妊娠や妊娠継続に対する研究が世界中で行われています。

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