鍼灸治療を行うことで現れるからだの変化の中には、最初から狙って起こすことができるからだの変化と、意図せずに起こる変化があります。
狙って起こすことができる変化として、
・痛みやしびれの軽減。
・筋緊張の緩和。
・血流量増加。
・交感神経のブロック。
・副交感神経の活動優位。
・抗ストレス作用。
などがあります。
【変化が更なる変化を呼びます】
鍼灸治療が狙って起こす変化は、一見すると妊活にとって少ないように思いますが、こうした変化が次の変化に繋がっていきます。
例えば、痛みやしびれなどの不快な症状は、非常にストレスのかかる症状です。こうしたストレスのかかる症状を無くすことで、ストレスにより起こる変化を抑えることができます。
ストレス刺激は、副腎から分泌されるコルチゾールというホルモン分泌を増やし、GnRHという視床下部から分泌されるホルモンを減らす働きがあります。
GnRHが分泌されないと、その後次々に連鎖して分泌されるホルモンも分泌されません。
この次々連鎖して分泌されるホルモンの中には、女性ホルモンも含まれますので、ストレスがきっかけになって不妊になることがあるということです。
血流の変化は、卵胞の成長や子宮内膜の肥厚とも繋がりますので、妊娠に直結することになります。
【狙ったわけではないのに起こる変化】
一方で、狙ったわけではないのに起こる変化もあります。15年以上前、知り合いの紹介で来院された女性は、既に妊娠中の方でした。
子宮筋腫がかなり大きく、赤ちゃんの成長と共に子宮筋腫が大きくなり、痛みを伴って辛いということでした。
既に妊娠していることもあり、手術などは危険性がありしたくない。そこで知り合いを通じて、藁をもすがる想いで来院されたそうです。
初診時には、お腹の痛みが辛いと仰っていましたが、施術後はお腹の痛みが無くなり、結局そのまま子宮筋腫は成長を止め、無事ご出産されました。
妊娠中に子宮筋腫が大きくなることは、臨床上よくあることです。鍼灸治療には、エストロゲンとプロゲステロンと言う2種類の女性ホルモンのバランスを取る働きはありますが、子宮筋腫を小さくしたり、成長を止めたりする効果があるかは知りませんでした。
こうした働きを積極的に狙って施術することは難しく、結果的にそうなったということや、理論的には可能だけれど、どの程度の確率で変化を起こすことができるか分からないということもあります。
【治療効果は確実なものを中心に組み立てるべき】
不妊治療に限らず、治療や施術は、確実に効果が高いと思われるものを中心に組み立てるべきです。
原因不明な機能性不妊に対して、人工授精をステップアップで薦めるのは、あまり効果的な方法だとは言えません。
勿論これは、体外受精にも言えることです。体外受精も魔法の治療法ではありませんので、適応となる症状や病気の方がいらっしゃいます。
卵管閉塞などハッキリした原因があれば、体外受精は合理的な治療法になり得ますが、そうでなければタイミング法と大した差は感じません。
しっかり自分の状態を知り、治療法を選択することこそ、不妊治療では最も大事なことです。
意味のないステップアップで傷付くよりも、あなたの状態をしっかり把握する方が大事です。
また最終的には「母体の環境に勝るものはない。」という事実を再確認して、からだ作りに励むべきだと私は思います。
自分に合った方法が分からないという方は、ぜひご相談下さい。