ダイエットが妊活に役立ちそうなのは分かっているけど
こんにちは、大阪市心斎橋の「鍼灸院 天空」の冨田です。
あなたもダイエットが、何となく妊活の役に立ちそうなことは分かっていても、中々実行に移すのは至難の業ですよね?
かくいう私も、食べることは大好きですので、ダイエットしろと言われても、辛いところがあります。
ただそれが、産まれてくる赤ちゃんのためにもなると言われればどうでしょうか?
ダイエットは本当に必要でしょうか?
ダイエットは、太り気味の方にとっては、何よりも妊活に役立つと言われています。
海外でも多くのメディアに取り上げられており、太り気味の人にとってダイエットは、妊活の第一選択と言っても良いほどのものです。
皮下脂肪の脂肪細胞からは、レプチンというホルモンが分泌されています。
このレプチンというホルモンは、生理周期とも関係するホルモンであるため、適切な量で分泌されていることが重要です。
太ることで皮下脂肪が増えると、皮下脂肪から分泌される過剰なレプチンが、脳の視床下部に働き、生理周期を乱す恐れがあります。
また糖質の摂り過ぎなどにより、肝臓に脂肪がたまる脂肪肝になると、体内でのホルモン代謝にも影響を与え、不妊傾向が出ることがあります。
これは男女ともに起こりますので、もし太り気味であれば、ご夫婦ともにダイエットが妊活の第一選択になります。
ダイエットが逆にストレスにならないかな…
患者さまからの声でよく聞くのが、「○○をしたいのですが、返ってストレスになってしまわないか心配で…。」という声です。
確かにストレスは、妊活にとって大きな障害になります。そのため、できるだけストレスを溜めない生活や、ストレス解消することが、妊活には重要なことは確かです。
これは、過剰な飲酒や喫煙を止めるようにお話しても、同様のお話が話題になります。ではストレスと養生のどちらを取れば良いのでしょうか?
妊活に一番大事なのは生命力
妊活において、最も大事なことは、その人の生命力に対する影響です。例えば、好きなものを楽しんで食べることがストレス解消になっていたとしましょう。
では、甘いケーキや、脂でギトギトの食事をしていて、どんどん太っている人は、本当に健康的だと思いますか?
太っている方全てを否定する訳ではありませんが、それが本当に健康的な姿であるならば、太ることが不妊の原因になることはありません。
しかし、いくら精神的に健康でも、明らかに自分の寿命を短くするような生活習慣なら、やはり妊活にとっては障害になると言わざるを得ません。
さて、あなたにとって、ダイエットは必要なことでしょうか?
肥満は排卵障害の原因になります
排卵障害の原因として、世界各国で治療対象になっているPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)は、肥満と密接な関係があります。
特に海外では、不妊を訴える肥満女性の多くが、PCOSに苦しんでいます。
日本国内では、極端な肥満の方が少ないため、肥満と密接だという認識は薄いようです。
ところが日本人は、遺伝的に耐糖能異常という特徴を持つ方が多いため、軽度の肥満でも、排卵や生殖に影響が出る可能性があります。
耐糖能異常とは、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの働きが弱いことを言います。耐糖能異常がある方では、糖質を摂取した時に、インスリンが働きにくいため、血糖値が下がりません。
そのため、血糖値を下げるために、インスリンが更に大量に分泌されます。高すぎるインスリンは、脳の視床下部に働いて、(FSHとLHの)ホルモンバランスを乱す元になります。
また元々耐糖能異常が無い人でも、食事量が多く、血糖値が高い状態を保てば、インスリンは大量に分泌されて、ホルモン分泌を乱します。
すると生理不順や排卵障害、そして無月経などのPCOS症状に繋がります。
肥満が精液の質を劣化させていた
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30171757
これは中国の河北省で行われた、不妊男性に対する精液と肥満の関係を調べた研究論文です。この研究では、138人の男性不妊患者を集めて、血清中の
・卵胞刺激ホルモン(FSH)
・黄体刺激ホルモン(LH)
・プロラクチン(PRL)
・テストステロン(T)
・エストラジオール(E2)
並びに、精液中の
・スーパーオキシドジスムターゼ精巣血漿中のS-トランスフェラーゼ(GST)
・活性酸素種(ROS)
・マロンジアルデヒド(MDA)
・精液量、精子濃度、全精子数、および進行性運動精子のパーセンテージ(PMS)
を調べたものです。
その結果、肥満男性では精液中の液体成分である、精漿の酸化が酷く、精子の質の劣化が見られたそうです。活性酸素による参加は、精子の劣化に密接な関係があります。
肥満が、精漿の酸化や精子の劣化に密接な関係があったのです。
鍼灸治療と栄養指導で肥満を改善
肥満が、男女ともに不妊の原因になることは、最早疑う余地がない事実です。この肥満を改善して、男女ともに妊娠に近付く為には、適切な食事の摂取と、運動が欠かせません。
そして、そうした努力を後押しするのが、鍼灸治療なのです。鍼灸治療は、中国ではダイエットのために病院でも行われています。
私たちは、ダイエットだけの目的では行うことはありませんが、妊活とセットで食事指導や鍼灸治療を行うことはあります。
適切な食事と運動、そしてホルモン分泌を調節する鍼灸治療で、あなたのダイエットと妊活をサポートします。
writer
院長 冨田 秀洋
業界歴25年。国家資格、鍼灸師、柔道整復師免許を所持。平成13年鍼灸陽和堂開業以来、15年間以上院長として不妊鍼灸、眼科鍼灸の研究を重ねてきたが、平成28年に師匠である卯野代表の下で、鍼灸院 天空の一員となる。現在は、鍼灸院 天空の院長として、かつての不妊鍼灸や眼科鍼灸だけではなく、広く痛みの鍼灸治療や自律神経失調症、精神科疾患の鍼灸治療の研究に取り組んでいる。
全日本鍼灸学会所属、日本カウンセラー学会所属、日本生殖医学会正会員。