PAGE TOP


【年末年始のお休みについて】

当院の年末年始の休みは12月30日(日)から1月4日(金)までになります。

予めご了承ください。

(公社)全日本鍼灸学会近畿支部学術大会参加のご報告

2018年11月24日2:01 PM カテゴリー:うつ病,不妊鍼灸,学会・勉強会,男性不妊

神農さんの参拝から始まりました

 

こんにちは大阪市東心斎橋「鍼灸院 天空」の冨田です。

11月23日(金・祝)は、全日本鍼灸学会近畿支部学術大会の開催日でした。

朝10時から、道修町にある、医学(お薬)の神様、神農さん(少彦名神社)を全員でお参りし、

その後、近畿支部学術大会が開催されている、明治東洋医学院専門学校に向かいました。

この明治東洋医学院専門学校は、日本最古の鍼灸学校で、代表である卯野先生と、私の母校でもあります。

すっかり通学路すら忘れている私に比べて、夘野代表はしっかりみんなを先導して案内しながら、懐かしの母校にたどり着きました。

 

EDに対する鍼灸治療

 

演題の中で興味をひかれた内容は、2つでした。

1つは、午後からの一般演題で行われた、「勃起障害に対する中髎穴と陰部神経鍼通電刺激の併用効果」です。

中髎穴刺鍼は、骨盤の中心にある、仙骨という骨から出る仙骨神経を刺激する施術です。


中髎穴や次髎穴という、仙骨後面にある経穴を使用した鍼治療は、以前から、夜尿症や頻尿の鍼治療として、研究されていたものでした。

その後、不妊鍼灸の卵巣に対する刺激法として、中髎穴や陰部神経刺鍼が取り上げられ、さらに男性不妊にも応用が進み、今回の発表となりました。

全て同じグループの発表ですので、この明治国際医療大学を中心とするグループは、中髎穴刺鍼と陰部神経刺鍼をとことん研究しているようです。

勃起障害に対する今回の症例では、脳から勃起するための指令を伝える、陰茎海綿体神経(遠心路)と、陰茎の刺激を脳に伝える陰部神経(求心路)の両方を刺激するために、手技による刺激とパルス通電を併用したとのことでした。

遠心路である陰茎海綿体神経では、神経を促通するために、あえて手技での刺激を行い、ポリモーダル受容器を刺激して、C線維を介して脳へ刺激を与えたそうです。

この時にパルス通電を使用すると、色々な受容体や神経線維を刺激することで、返って神経ブロック作用が起こる可能性があるとのことでした。

パルス通電を使用した陰部神経に対するアプローチでは、陰茎の知覚が落ちていることから、強い刺激で感覚神経を活性化したそうです。

こうした科学的な考察に基いた方法も、大いに研究する価値があり、再現性という面からも、多くの鍼灸師の役に立つ研究だと思います。

 

ストレス反応・疾患(心の病)に対する鍼灸刺激の効果

 

2つ目は、明治国際医療大学教授の福田文彦先生が公演された、「ストレス反応・疾患(心の病)に対する鍼灸刺激の効果」です。

福田教授は、普段から癌患者の心のケアをされていて、痛みや将来に対する不安感を抱えた患者さまに対して、鍼灸治療をされている先生です。

普段、線維筋痛症や慢性疼痛などの鍼灸治療をしている私たちにとって、非常に参考になる内容でした。

特にその中でも、少しずつ分かってきた、脳の中の仕組みと、鍼灸治療の働きについては、多くの鍼灸師が認識するべき内容でした。

以下にご紹介するのは、昨日の福田教授の講演内容に注釈を加えたものです。

 

注目すべき働き<HPA系とセロトニン系>

 

ヒトは、肉体的や先進的なストレスを受けると、脳の視床下部が反応して、ストレスに対する防御反応を取ります。

それが視床下部‐下垂体‐副腎系あるいは、それぞれの頭文字を取ってHPA系と呼ばれる働きです。


ストレスに対抗して、HPA系の反応が起こると、最終的にコルチゾールというホルモンが、副腎から分泌されます。

ストレスが長期に渡り、コルチゾールの分泌が長引くと、脳内では、BDNF(脳由来神経栄養因子)という物質の分泌が減ることが、最近の研究で分かってきました。

BFNFが減ってしまうと、脳の働きが悪くなり、合理的な判断ができなくなったり、前向きな考えができなくなるだけではなく、認知症の症状も出ることが分かっています。


心の病であるうつ病では、このBDNFが少なくなっていることが分かっています。

また、脳内物質であるセロトニンには、このBDNFの働きを活性化する作用があることが分かっており、うつ病では、このセロトニンも分泌が減っています。

そのため、投薬で脳内のセロトニン分泌量を増やすと、うつ病の改善が見られます。

セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は、セロトニンの再吸収を阻害することで、脳内のセロトニン量を増やし、BDNFの働きを助けることで、うつ病の症状を改善すると考えられています。

 

前向きな考えに関係する前頭前野を含む報酬系

 

もう1つ、うつ病に関連する重要なものに、前頭前野が関係する報酬系と言われる仕組みがあります。

報酬系とは、前向きな考え方に関係する働きで、脳の扁桃体から前頭前野に及ぶ神経回路が関係します。


うつ病の方は、報酬系が上手く働かない為、前向きな考え方ができなくなり、果てしない絶望感に襲われます。

その絶望感から脱するために、自殺を企図することもあり、報酬系の回復は、うつ病患者にとって、命に関わる非常に大事なものです。

扁桃体情動に関わる部分で、前頭前野は、人間が人間らしく生きていくための知的な部分ですので、この2つが結びつくことで、負の感情を論理的に理解し、昇華(解消)することにも繋がります。

報酬系は、こうした脳の働きの1つで、感情の波に押し流されないように、自分を保つシステムなのです。

扁桃体から前頭前野にまたがる報酬系の働きが活性化すると、前向きな考えが持てるようになるため、徐々にうつ症状が無くなります。

 

鍼灸治療の働きとは

 

鍼灸刺激は、脳の視床というところを通して、脳全体に伝わります。

その中でも、今回のような心の病気を抱えた人にとって重要な、セロトニンの分泌を促し、セロトニンの受容体の感受性を高めることが分かってきました。

また脳の報酬系を活性化し、回復する働きもあることが分かったそうです。

そのことを実証するように、うつ症状を抱えた人に対する臨床試験では、次のような結果が出ました。

うつ症状を抱える患者を、3つのグループにに分けた。

1.SSRIの投薬のみをしたグループ
2.鍼灸治療をしたグループ
3.鍼灸治療とSSRIの投薬を併用したグループ

すると、最も高い臨床効果を示したのは、3のグループ。
1のグループでは、標準治療であるSSRIの投薬により、症状の改善が見られた。
2のグループでは、鍼灸治療にも同様の働きが見られ、うつ症状は改善された。
そして3のグループでは、うつ症状の回復と共に、投薬量が少なくても高い臨床効果が認められた。

つまり、鍼灸治療と投薬を併用すると、少ないお薬でも高い臨床効果が認められたということです。

これは海外での臨床試験の結果ですが、同様の結果は複数の臨床試験で認められています。

投薬が苦手な方は、鍼灸治療を単独で行ってもある程度の働きをしますが、より高い効果を望むなら、投薬をしながら鍼灸治療を受けて頂いた方が良いのかもしれません。

お薬を飲んでいてもあまり症状が変わらない人や、薬の量を減らしたいと望んでいる人にとっても、鍼灸治療を併用することはプラスに働くということですから、新しい希望が見えてくるのではないでしょうか。

 

近畿学術大会を終えて

 

私は、個人開業時代には全く学会活動には参加せず、我が道を行くを通していましたので、今回の参加が2回目の学会参加となりました。

日々臨床をされている先生方が、次の世代に残せる鍼灸治療を模索し、研究されている姿は、敬服に値するものです。

私も学会発表を含めて、鍼灸界に貢献しなくてはと思います。知らぬ間にベテランと言われる年代になってきましたので、後進の育成や鍼灸治療の普及には、積極的に携わっていきたいと思います。

今回の大会では、不妊鍼灸とメンタル系疾患という、当院にも多くの来院患者さまがいらっしゃる疾患について聞けたことは、今後の臨床に大いに役立つものでした。

鍼灸の世界は、医療の中では、まだまだ未開の地とも言える分野です。日々の臨床の中では、素晴らしい結果を感じることも多いですが、誰にでも気軽にできる施術ではありません。

少しでも早く育成の成果が出るようにと思えば、今回の発表のような西洋医学的な理解は欠かせません。

当院でも、西洋医学的な勉強は、院を挙げての課題でもあります。せっかく院を閉めてまで参加していますので、患者さまや後進に還元できるよう、日々の臨床に活かせればと思います。
             writer

院長 冨田 秀洋
業界歴25年。国家資格:鍼灸師、柔道整復師。
平成13年鍼灸陽和堂開業以来、15年間以上院長として不妊鍼灸、眼科鍼灸の研究を重ねてきたが、平成28年に師匠である夘野代表の下で、鍼灸院 天空の一員となる。現在は、鍼灸院 天空の院長として、かつての不妊鍼灸や眼科鍼灸だけではなく、広く痛みの鍼灸治療や自律神経失調症、精神科疾患の鍼灸治療の研究に取り組んでいる。
全日本鍼灸学会所属、日本カウンセラー学会所属、日本生殖医学会正会員。
 

宜しければ記事のシェアをお願い致します。

診療時間のご案内 トップページへ戻る
2018/11/30
初めての顕微授精で妊娠することができた症例
2018/11/27
今月3人目の妊娠報告を頂きました。
2018/11/20
妊活3年後、8回の鍼灸で妊娠 <兵庫県在住 30代女性>
2018/8/7
昨日の鍼灸院日記
2018/7/4
ご夫婦で不妊鍼灸を受けることで胚盤胞移植が成功
2018/6/24
今週は3人の方から妊娠報告を受けました
2018/6/12
多嚢胞性卵巣症候群の鍼灸と投薬併用による妊娠治療
2018/5/15
胚盤胞移植を目指した女性に対する不妊鍼灸の症例
2018/3/27
不妊鍼灸で妊活に前向きになれる理由3つ
2018/3/27
血液検査は注意マークだらけ…でも妊娠できました
>>もっと記事を読む
診療時間のご案内 当院アクセスマップ
トップページへ戻る

カテゴリ別記事

過去の記事

※免責事項:掲載された事例や患者様の体験談は個人の感想や成果によるものなので、全ての人への効果を保証するものではないことと御理解ください。施術による効果には個人差があります。