3.前回に引き続き、簡単な症例を紹介します。
13.30代 女性
これまでの経過
・1年半前から妊活を始める
・半年前から通院し、タイミング3回、人工授精5回試す
・AMHの値が2くらいで低めと言われた
・卵管のつまりがあった(FT済)
・PMSによる吐き気があった。たばこをやめたらましになった
・生理の経血の量が減っている気がする
・肩こりからの頭痛が良く起こる
〇鍼灸内容
【初回】
<うつ伏せ>
首、肩、の緊張を取り除き、交感神経の緊張をゆるめるための鍼をしました。
腰回りに鍼をして子宮、卵巣の血流を良くすることを目的に鍼をしました。
長さ30㎜ 太さ0.18mmの使い捨て鍼使用
<仰向け>
ストレスを軽減し、子宮卵巣へ良い血液が送られるようツボを選び鍼をしました。
長さ30㎜ 太さ0.18mmの使い捨て鍼使用
【2~7回】
人工授精をしたけどだめだったそうで、体外に進み、採卵をされています。
胚盤胞が2個、初期胚が1個、取れたが、お腹の張り、卵巣の腫れがあったそうです。
【8~15回】
移植をしたけどだめだったそうで、その際に銅―亜鉛テストで銅の値が高かったとのことです。
人工授精を試したけれどだめだったが、銅の値が下がったので、次の周期移植をする予定とのことでした。
【16~30回】
移植後、陽性判定、胎嚢と心拍確認もでき、安心されていましたが、つわりの症状が生じたとのことでした。
胸の気持ち悪さ、喉のつまりがあったそうですが、13週ごろには落ち着いてきたとのことです。
20週頃には食欲もでてきて、おなかもだいぶ大きくなってきておられました。
この後、鍼灸は中断されましたが、先日、LINEで無事、女の子を出産し、すくすくと育っているとうれしい報告を頂きました。
14.30代 女性
〇これまでの経過
・4か月前から本格的に妊活始めた。
・検査では卵子の数が少ないといわれて、焦りがある。
・タイミングはご主人がプレッシャーを感じ、うまくいかないことも。
・人工授精をしようとして排卵誘発剤を使うと卵胞育たず、ピルを飲んでリセットした。
その後、吐き気を催した。
・ストレスや冷え症が気になり、身体つくりを考えるように。
・共働きで忙しい。
・足先の冷えあり
・疲れやすい
・生理前の胸の張りが強い、イライラや気分の落ち込みもある
〇鍼灸内容
【初回】
<うつ伏せ>
首、肩、の緊張を取り除き、交感神経の緊張を緩める目的の鍼をしました。
腰回りに鍼をして子宮、卵巣の血流を良くするようにしました。
長さ30㎜ 太さ0.18mmの使い捨て鍼使用
<仰向け>
冷えを改善させ、身体全体の血流を良くし、子宮卵巣へ良い血液が送られるようツボを選び鍼をしました。
長さ30㎜ 太さ0.18mmの使い捨て鍼使用
【2~6回】
鍼をした後、身体が楽でリラックスできるとのことでした。
ため息をよくついていたのが無くなったそうです。
生理前の症状がなく、元気に過ごしているが、クロミッドを処方され、人工授精をしたけどダメだったそうです。
<うつ伏せ>
初回と同じ
<仰向け>
初回に加えてストレスに強くなるようにツボを追加
【7~14回】
3回、人工授精したけどダメで、落ち込んで3カ月ほどお休みされています。
その後、タイミングをとったら妊娠して心拍確認でき喜んでおられました。
お腹がすくと、気持ち悪くなり、便秘気味になっているそうです。
【15~17回】
鍼をしたら気持ち悪さマシになったそうですが、流産になったとありました。
専門医から心臓が小さくどうかなとあり、その後、心拍確認できず流産となったそうです。
出血も止まり、調子がよくなったので、またタイミングから始めるつもりとのことでした。
15.40代女性
これまでの経過
・産婦人科でタイミングをとったがうまくいかず
・不妊専門の病院で人工授精2回ためしたがだめだった
・ステップアップ考えている
・社会人になってから生理周期が長くなり、30~40日周期
・生理の経血に赤い塊が出る
・肩こり、頭痛ときどき感じる
・仕事が忙しく、ストレス感じる
〇鍼灸内容
【初回】
<うつ伏せ>
首、肩、の緊張を取り除き、交感神経の緊張をゆるめるための鍼をしました。
腰回りに鍼をして子宮、卵巣の血流を良くする鍼をしました。
長さ30㎜ 太さ0.18mmの使い捨て鍼(首肩)使用
長さ40㎜ 太さ0.2mmの使い捨て鍼(腰回り)使用
<仰向け>
身体の血流を良くして、冷え、むくみを改善させるようにツボを選び鍼をしました。
長さ30㎜ 太さ0.18mmの使い捨て鍼使用
【2~15回】
鍼後、頭痛がましになり、足のむくみを自覚できるようになったそうです。
仕事が忙しい時期は、生理痛で腰が痛くなる、血の塊が出るが、どちらも以前よりましになったそうです。
人工授精を2回、タイミング1回を試みたが、だめだったそうです。
<うつ伏せ>初回と同じ
<仰向け>
状態が良くなってきたので、血液の巡りを良くするツボを選び鍼をしています。
長さ30㎜ 太さ0.18mmの使い捨て鍼使用
【16~30回】
採卵して顕微授精するも胚盤胞までいかず、少し時間を置いてタイミングとりつつ採卵に備えることにされたそうです。
旦那さんにイライラしてしまい、首肩、腰のコリ感じることが多くなったそうです。
頭痛もたまにあるけど、前ほどではないとのことです。
漢方薬を3種類飲みだしたそうです。
<うつ伏せ>
初回と同じ
<仰向け>
ストレスを軽減させて、良い血液が作れるようにツボを選び鍼をしています。
長さ30㎜ 太さ0.18mmの使い捨て鍼使用
【31~49回】
採卵して卵2個を凍結でき、移植を2回したけどダメだったそうです。
移植の前後仕事が忙しく、体調があまり良くなかったとのことでした。
<うつ伏せ>
初回と同じ
<仰向け>
16~30回目と同じ
【50~66回】
再度、採卵をして3つ取れ、1つが胚盤胞まで育ったとのことでした。
移植前に着床不全検査をしてビタミンDと子宮収縮テストに引っかかったとありました。
1周期間あけて移植して、陽性反応が出て、順調に進み、産院へ転院されたそうです。
つわりは酷い日と楽な日があったようですが、16週に入り、体調がだいぶ落ち着いたとのことでした。
その後、LINEで無事出産したとのうれしい報告を頂きました。
16.40代女性
〇これまでの経過
・籍を入れて少しして妊活をはじめた
・3か月ほどアプリをみつつタイミングを取っていた
・10年前にシェーングレン症候群と診断されて、関節の痛み、朝起きられないなどで当時の仕事は退職。
現在は半年に1回検査をして投薬もなく様子見している
ストレスがかかると症状がでる
・末端冷え症
・肩こりあり
〇鍼灸内容
【初回】
<うつ伏せ>
首、肩、の緊張を取り除き、交感神経の緊張をゆるめるための鍼をしました。
長さ30㎜ 太さ0.18mmの使い捨て鍼(首肩)使用
<仰向け>
身体全体の血流をよくするようにツボを選んで鍼をしています。
長さ30㎜ 太さ0.18mmの使い捨て鍼使用
【2~15回】
冷えの面積が小さくなった気がするとのことでした。
<うつ伏せ>
初回と同じ
腰回りに鍼をして子宮、卵巣の血流を良くする鍼を加えています。
<仰向け>
免疫を整えるためのツボを選び鍼をしています。
長さ30㎜ 太さ0.18mmの使い捨て鍼使用
【16~28回】
体外受精へ進むことになったそうです。
寒くなると関節の痛み出やすいとのことでした。
採卵を3回行い、卵3つ凍結し、移植ヘ進むとのことでした。
<うつ伏せ>
初回と同じ
腰回りに鍼をして子宮、卵巣の血流を良くするようにしています。
長さ30㎜ 太さ0.18mmの使い捨て鍼使用
<仰向け>
免疫を整え、子宮、卵巣の血流を良くするようにツボを選び鍼とお腹と足のツボにお灸をしています。
【29~54回】
子宮内フローラの検査をしたら結果が悪く、サプリや薬を飲みつつ様子を見て、3回目の検査で良くなったそうです。
移植に向けて薬が増え、10種類くらいになり、妊活のストレスを感じるそうです。
肩こりを感じやすいが、鍼をするとマシになるそうです。
鍼は同じです。
【55~73回】
胃カメラで胃が荒れていると言われたそうです。移植を2回したけれどうまくいかず、その後タイミングを取り、2回目で陽性反応がでて、胎嚢が確認できたとのことです。
17.40代女性
〇これまでの経過
・4カ月前から妊活をはじめて、タイミング1回、人工授精3回試した
・粘液がすくないので、人工授精を勧められた
・5年前、卵巣嚢腫の摘出手術をした
・初潮から生理不順で半年来ない事も
・多嚢胞性卵胞症候群といわれた
・生理前の胸の張り、食欲の増減、吐き気がある
・足の冷えあり
・血の塊がたまにでる
〇鍼灸内容
【初回】人工授精後
<うつ伏せ>
刺激を弱めにして首、肩に鍼をしています。
<仰向け>
お腹に酸素、栄養がしっかり行くように手足に鍼をしました。
お腹の血流を良くする為にお腹と足のツボにお灸をしています。
【2~10回】
生理が来てショックな上に、薬ばっかり飲んでいてイライラするので、しばらく病院を休もうかと思っているそうです。
冷えは少しましになってきたが、生理がずっとこず、婦人科でルトラールを処方されたそうです。
その後、生理が来たが転院予定されているとのことで、転院先の相談に乗っています。
<うつ伏せ>
首、肩、の緊張を取り除き、交感神経の緊張をゆるめるための鍼をしています。
腰回りに鍼をして子宮・卵巣の血流を良くするようにしています。
長さ30㎜ 太さ0.18mmの使い捨て鍼使用
<仰向け>
ストレスを軽減し、子宮卵巣へ良い血液が送られるようツボを選び鍼をしました。
長さ30㎜ 太さ0.18mmの使い捨て鍼使用
【11~20回】
体外受精をすることになり、卵胞が20個も見えていて、誘発するとOHSSになりやすいと言われたそうです。
誘発せずに採卵できる方法があるので、それを試されています。
生理前の胸の張りマシだったそうです。
卵が12個取れて、胚盤胞と分割胚、2個凍結できたとのことでした。
鍼灸は前回と同じです。
【21~25回】
子宮内膜を育てるためにユベラとバイアスピリン飲んでいるそうです。
生理痛もなく、血の塊もでないとのことでした。
移植後、陽性判定がでたとありました。
陽性判定後の鍼灸は、刺激を軽くし、胎児の成長を目的としました。
長くなりましたので、次回に続けます。