2026.8.28
【多嚢胞性卵巣症候群による不妊症】大阪 30代女性のケース

多嚢胞性卵巣症候群による不妊症への鍼灸治療
「お薬を中止して、タイミング療法で、元気な赤ちゃんを授かりました」
「生理不順がひどく、婦人科で多嚢胞性卵巣症候群による排卵障害と言われ、排卵誘発剤で不妊治療をしているが結果が出ない。できれば、お薬を飲まないで妊娠したい。」
これは、多嚢胞性卵巣症候群による不妊症で、鍼灸院 天空に来られた患者さんの言葉です。
多嚢胞性卵巣症候群は、卵巣から周期的に、上手く排卵ができません。
主には、生理不順や無排卵、無月経を引き起こし、更に不妊の原因になることもあります。
多嚢胞性卵巣症候群は、主に、ホルモン異常や糖代謝の異常からも起こるとされています。
ただ、ストレスから発症するケースも多くあると言われています。
今回のケースでは、仕事のストレスから多嚢胞性卵巣症候群となり、不妊に悩まされ、西洋医学的治療で結果が出ず、妊活鍼灸のために来院されました。

今までの経過
・学生時代からの生理不順
・婦人科で薬を処方され、服用すると生理が定期的にある
・学生時代は、面倒に思い放置していた
・社会人になってからも、飲んだり、飲まなかったりを繰り返していた
・結婚後、基礎体温を付けるようになった
・基礎体温は乱れている状態が続いている
・子どもが欲しいと思い、婦人科で検査を受けると、排卵障害を指摘された
・不妊治療で服薬している
・ストレスも原因かと思い、仕事をやめた
・仕事を辞めてからは、毎日、妊娠のことを考えていた
・1年以上、経過しても妊娠できない
・生理を周期的に起こすために、薬を飲んでいるが、できれば、飲みたくない
・体外受精などへのステップアップをするかどうか迷っている
・できれば、自然妊娠をしたいと思っている
・妊活のために、いろいろな健康法を試したが、結果が出なかった
・鍼灸で不妊治療ができること知り、来院
・便秘が酷い
・胃腸が弱く直ぐに胃もたれになる
・肩こり、首のこり、頭痛や腰痛もある
・鍼治療は初めて
不妊症への鍼灸治療と施術後の状態について
初回カウンセリング時には、既に生理不順の薬を飲むことを止めておられ、生理がいつ来るか、分からない状態でした。
当然、排卵も、いつ来るのか分かりませんので、タイミングを上手く取ることができません。
タイミングを取ることが、子供を作るための作業のような感じになっているご様子でした。
また、薬を飲むと生理は来るのですが、最近は、どんどん生理の量が、少なくなったと感じられています。
初めての鍼灸で、お話をおうかがいしながらも、緊張感がしっかりと伝わってきました。
初対面の人と、お話しするのが、苦手なご様子です。
お話をおうかがいしていると、少し落ち着いてこられましたが、初めての鍼灸に、興味半分、怖さ半分という感じでした。
・初回の鍼灸治療
最初は、特に表面的な症状が強かった、首肩や腰の凝りの解消を目的に鍼治療をしました。
うつ伏せに寝てもらい、首の両側、肩の周辺、両方の肩甲骨の間や腰に12ヶ所、1㎝ほどの深さまで鍼を刺し、10分間ほどそのままにしておきました。
そして、鍼を全て抜き、まだ凝りが残っているところに鍼を刺し、直ぐに抜くということを繰り返しました。
使用した鍼は、長さ40㎜、太さ0.16㎜です。
次に、仰向けになって頂き、お腹に2ヶ所、鍼をごくわずかの深さに刺し、また、足のツボ2ヶ所に鍼を20mmほど刺して、20分間そのままにしました。
使用した鍼は、最初と同じです。
鍼治療後は、最も自覚症状が強かった肩こりや頭痛は、感じないとのことでした。
お腹の固さの変化を確認しましたところ、「そう言われて初めてウエストサイズの変化が分かりました!」
また、「最初は怖かったんですが、実際に受けてみると痛みはありませんでした。」と言われました。
お腹全体が、太鼓のように張っていたのですが、それがからだの悪さを現すとは思わず、ただの幼児体型だと思っていたとのことでした。
お腹の異常な張りは、他の不妊症でも、よくみられる症状の一つです。
具体的には、お腹に極端に強い張りがあるか、極端に弾力が無く、だらっとしているかのどちらかの場合が多いです。
この状態を、鍼灸治療により改善させ、適度な弾力があるお腹に、変わるようにします。
これにより、子宮や卵巣への血流が良くなり、卵の質を上げる、生理周期を改善することが期待できます。
週1回の頻度で、来院して頂くようにお勧めしました。

・2回目の鍼治療
1回目の治療後、眠気が生じ、帰りの電車内で、居眠りをされたそうです。
「心地よい眠り」は、治療効果を高めます。
また、治療後に、強い眠気がある場合は、身体に疲れが溜まっていることがよくあります。
2回目の治療も基本的には1回目と同じです。
患者さんから「前回もそうですが、まずウエストの変化に驚きました。肩こりや首こりは自覚がありましたが、おなかが出ているのは生まれ付きだと思っていました。調子が悪いから出ていたんですね。」という感想が、治療後にありました。
・3、4回目の鍼治療
治療は、前回と同様です。
肩こりや首こりが楽になり、仕事をしても気にならなくなったそうです。
お腹の張りがなくなると、便秘も解消されたそうで、薬を飲まなくても、お通じがあるようになったそうです。
・5回目の鍼治療
「前回の治療後に生理が来ました。自力で来たのは久し振りで、嬉しいです。」とありました。
治療の内容は、前回と同様です。
また、基礎体温表もストレスにならない程度に、今回から付けて頂くようにしました。
・6~10回目の鍼治療
当院に、通い始めてから2回目の生理が、約35日で来ました。
病院に行っていないので厳密には分かりませんが、基礎体温表では2層に分かれています。
また、生理中の痛みや、だるさなども、今のところ、気にならないそうです。
治療の内容に、あまり変わりませんが、その都度、気になるところは、重点的に鍼治療をしています。
「少し肩がこる」とか、「背中が疲れる」と言った部位の症状は、確実に取り除くようにしていますようにしています。
また、生理周期がはっきりしてきて、体調も良くなってこられました。
ご本人と相談して、これからは、排卵誘発剤を飲まずタイミング法で、妊娠を目指すことにしました。
・11~19回目の鍼治療
鍼治療は、6~10回目と同じです。
生理は、35日周期で安定してきました。
19回目の鍼治療の後に、生理が少し遅れていたので、検査薬で調べたところ妊娠が判明しました。
・20回目の鍼治療
妊娠判明と同時に、通院されていませんでしたが、軽いつわりがあり心配され、来院されました。
つわりの鍼治療で妊娠初期のため、強い刺激は良くなく、軽い鍼治療をしました。
手首と足首にそれぞれ1ヶ所ずつ、つわりを改善できるツボに鍼を10㎜ほど刺しました。
使用した鍼は、長さ15mm、太さ0.10mmです。
そのままで、20分ほど寝て頂きました。
その後、お腹や背中に皮膚に触れる程度の鍼を数ヶ所に刺し、治療を終了しました。
治療後は、胸のつかえが取れて楽になり、少しお腹が空いたとのことでした。
出産後に無事、元気な赤ちゃんが生まれたとご報告を頂きました。

・担当施術者の感想
多嚢胞性卵巣症候群は、比較的よく見られる排卵障害で、不妊症の原因にもなります。
病院では、排卵誘発剤の投薬治療が行われていますが、排卵している周期もあるとされています。
出産経験ある女性が、婦人科検診で多嚢胞性卵巣症候群を指摘されることがありますので、絶対的な不妊の原因とはいえません。
ただ、多嚢胞性卵巣症候群の方には、強いストレスがかかっていることが多くあり、それにより排卵障害を引き起こすことがよくあります。
鍼灸治療により、ストレスを改善し、多嚢胞性卵巣症候群による排卵障害を解消して、妊娠に導くこともできます。
今回の患者さんは、仕事を頑張りすぎ、知らない内にストレス過多になっていました。
ストレスにより、身体に影響が及んでいることに、ご自身は気付いておられませんでした。
ストレスに気がつかず、そのままにしておきますと、悪循環に陥り、症状の悪化が進む可能性もあります。
多嚢胞性卵巣症候群の方は、お腹の張りを訴えることが多くあります。
この患者さんは、お腹の張りや、ガスが溜まりウエストが太くなっていることも、当たり前の出来事として、受け入れられていました。
鍼灸治療を受けたことにより、ウエストが細くなり、そこで初めて、ストレスが自分のからだに、影響を与えていたことを理解されました。
今回の症例では、直接、お腹や腰に鍼灸治療をしています。
これは、胃腸の働きを促進し、消化吸収を助け、便秘などを解消します。
また、子宮や卵巣への血液循環を促進することにより、卵の質を上げ、子宮内膜の増殖を促します。
更に、手や足のツボを刺激することで、脳機能改善が期待でき、多嚢胞性卵巣症候群の改善にもつなつながりますがります。
また、ストレスに対して適応できる力を上げることができます。
今回の症例では、このようなことにより、強いストレスによる多嚢胞性卵巣症候群が引き起こした排卵障害を改善し、タイミング療法において妊娠し、元気な赤ちゃんを出産することができました。
東洋医学的な視点
東洋医学的に、妊娠や出産と関係しているとされているのは、「肝」、「脾」、そして「腎」です。
この中でも「肝」は、俗に言う「やる気」と関係があると、古代の医師たちは考えていました。
抑うつや、気を遣う、締め切りに間に合わせるなどが続きますと、「肝」は負担を感じ、興奮し、めまい、動悸、頭痛などの症状を引き起こし、やる気がなくなるようになっていきます。
また、血液をプールリングする作用もあります。
どの臓器や、どの部位に、どれくらいの血液を送り込むかを決定しているとしています。
これは、現代医学でも、小腸で栄養分を吸収した血液は、一端、肝臓に送り込まれ、血液量を調節しているとしていますので、同じような作用の説明になります。
このように、東洋医学的な「肝」は、精神的なことと、血液と密接な関係にあります。
それ故に、女性が、妊娠・出産するに当たり、非常に大切な臓器と言えます。
また、ツボを結んだ流れがあると、古代の医師たちは考えていました。
肝を中心としたツボの流れは、子宮や卵巣などの生殖器やお腹、乳房などを通っています。
強いストレスが持続的にかかると、「肝」の働きが落ち込み、やる気がなくなります。
「やる気」とは、頑張るためのエネルギーですので、このエネルギーが減少しますと、気というエネルギーの流れも、当然、悪くなっていきます。
その結果、気の滞りが生じます。
今回の患者さんの場合は、頑張りすぎにより、この気の滞りが、肝のツボの流れであるお腹で生じていました。
お腹でエネルギーが溜まった状態になり、それが、ガスが溜まったように、感じられたわけです。
そこで、「肝」の働きを改善するような鍼治療により、気の滞りを無くし、流れがよくなり、お腹の張りが解消して、ウエストも急激に細くなったわけです。

また、今回の患者さんは、生理不順が学生時代からと、長期に渡っていました。
そこで、「肝」の不具合が、生殖をコントロールし、ホルモン調節をするとされている「腎」や、消化吸収と栄養物を運ぶことを支配している「脾」にも影響を与えていました。
不妊の症状だけでなく、酷い便秘や、胃腸の弱りがあったのは、このことによります。
このような身体の状態で、お薬を飲み、機能的に働くように強制しますと、ものが無い状態で、無理に動かされるので身体は弱っていきます。
お薬を飲み始めてから、経血量が減っていったのはこのせいと考えられます。
もちろん、身体が元気であれば、お薬による治療は効果的です。
今回の患者さんのように、からだの働きや、からだを動かすための栄養素が少ない状態で、お薬を飲み無理に動かすと、それにより不妊になる可能性もあります。
そこで、患者さんの意向により、お薬を飲むことを中止し、鍼治療を進めたところ、身体全体の調子がよくなり生理も順調になりました。
このように、患者さんのからだの状態を慎重に見極めながら、鍼治療を進め、身体本来の働きを取り戻すことにより、妊娠力が上がり、卵の質もよくなり、妊娠・出産に繋がります。
今回の症例のように、人間が本来持っている「生命力」が落ちていることで、不妊症になっているケースは比較的多くあります。
そして、西洋医学は、この状態の不妊治療を不得意にしており、鍼灸治療は得意にしている分野と言えます。
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