今回は女性に多い手足の冷えのお話です。
手足が冷えると、からだ全体が冷えているように感じます。
手足が冷える原因は、血液循環をコントロールしている脳の視床下部が上手く働かず、
自律神経に適切な命令を出していないからです。
こうした視床下部や自律神経の乱れは、婦人科機能にも影響を及ぼします。
手足の冷えは、こうした視床下部や自律神経の調子を見るバロメーターにもなります。
【体温調節と手足の冷え】
手足の冷えを感じると、視床下部からの命令で新陳代謝を上げて、体温を下げないようにします。
また自律神経に働きかけて、末梢の血管を収縮させて手足に行く血液循環を制限します。
手足に行く血液が制限されますから、血液の温かさで手足を温めることができません。
こうした体温調節が過剰に働き、屋外や寒いところだけではなく、温かい屋内でも体温調節ができないと、慢性的な手足の強い冷えが生じます。
手足に行く血液には、からだを温めるだけでなく、酸素や栄養を運搬する働きもあります。そのため、血液が循環しないと、手足が紫色になり、しもやけを発症することもあります。
温かい屋内でも、手足の強い冷えがある方は、視床下部や自律神経の働きが乱れている可能性が高いようです。
【視床下部・自律神経と妊活】
お腹の中にある内臓器は、視床下部からのホルモン分泌や自律神経の命令で働いています。そのため、視床下部や自律神経に乱れが生じると、内臓機能が低下します。
妊活に最も大事な子宮や卵巣も、視床下部からのホルモンや自律神経からの命令で働いています。生理周期における卵胞の成長や排卵、着床や妊娠も、視床下部や自律神経の影響を強く受けます。
そのため視床下部や自律神経を整えることは、妊活において最も重要なことなのです。
【手足の冷えを改善して妊活を一歩前進させる方法】
慢性的な手足の冷えは、視床下部や自律神経の機能低下を表します。温かい屋内に入った時に、手足が温かくならない人は視床下部や自律神経の働きを取り戻すことで、妊活を成功に近付けることができます。
それは、視床下部や自律神経が本来の機能を取り戻したことを表すからです。では、どうすれば、手足の慢性的な冷えを改善することができるのでしょうか?
1.運動
2.食事
3.腹式呼吸
4.鍼灸治療
定期的な運動習慣は、自律神経を整える働きがあります。1日数十分の運動を、週2回程度行うと良いと思います。
飲食物の中には、からだを温める薬効作用に近いものをもつ食物があります。また温かい食事も、自律神経を刺激してからだを温める働きがあります。
辛みの強すぎる食べ物は、一時的には温まっても、汗をかくことで逆に冷えることがありますので、注意が必要です。
腹式呼吸は、横隔膜を大きく動かすことで、腹圧を変化させるため腹腔内臓器に刺激が与えられます。
自律神経を活性化する働きもありますし、深い呼吸をすることで新鮮な酸素を細胞に送ることもできます。
腹式呼吸では、口からゆっくり吐ききるまで息を吐き、鼻から静かに息を吸う際にお腹全体を膨らませます。
息を吸うよりも、長く息を吐くことを意識して下さい。
【鍼灸治療】
鍼灸治療は、視床下部や自律神経に刺激を与え、機能を回復する働きがあります。
適切な鍼灸治療を受けて頂くと、治療している時から徐々に足先や指先の冷えが無くなって、ポカポカしてくるのが分かります。
自律神経でいうと、副交感神経が優位になるため、消化器が働きだすことでお腹が「グーグー」と鳴り出します。
あまりにもお腹が鳴るので、驚く方もいらしゃいますが、鍼が効いている証拠です。
また副交感神経が優位になることで、眠気が起きることもあります。鍼灸治療中に寝てしまう事は、治療効果を出す上ではプラスなことです。
治療後にまだ眠気が出るようなら、帰宅後少し横になって休んでいただくと、非常にスッキリとした気分になります。
治療効果は、手足の温かさやお腹の張りが無くなることで確認できます。