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2019年 妊活鍼灸の振り返り ―その3― (症例とまとめ)

2020年1月7日10:41 AM カテゴリー:不妊症,不妊鍼灸,症例

今回は症例の簡単な報告の残りと2019年のまとめになります。

 

引き続き、できるだけ妊活でお悩みのあなたの少しでも参考になるように書いていきます。

 

40代 女性

 

これまでの経過

 

・半年前から本格的に妊活を始める

 

・ご主人の精子の運動状態が悪い

 

・基礎体温を測りタイミングを取っている

 

・一般不妊検査は異常なし

 

・子宮筋腫あるが主治医から特に何も言われていない

 

・PMS、生理痛があるがそれほどは酷くない

 

・手足の冷え、お腹の冷えを強く感じる

 

・仕事のストレスは常に感じている

 

・鍼は腰痛で経験あり

 

 

鍼灸の経過

 

・初回から14回目

 

身体の冷えを改善することPMS、生理痛の改善を目的にしながら、子宮・卵巣への血流を増やすような鍼をしていきました。


 

首・肩から6ヶ所のツボを選択し、うつ伏せの状態で鍼を5㎜程度刺し、そのままの状態で寝てもらいました。

 

次に、仰向けになって頂き、手足のツボから6ヶ所を選択し、鍼を同じように刺し、そのままの状態で寝てもらいました。

 

冷えは徐々に改善し、からだポカポカと感じるようになったとありました。

 

この間、タイミングを取るも結果は出なかったそうです。

 

 

・15回目から20回目

 

主治医から黄体機能不全があるので、その薬と排卵誘発剤を飲むように指示があったそうです。

 

その後、卵胞の成長をみながら、タイミングを取られたそうですが、結果は出ず、かなり落ち込んでおられました。

 

 

身体症状はほぼ改善されてきていました。

 

鍼は初回と同じです。

 

・21回目から28回目

 

お薬が合わないのか、副作用が強く、また、不安感も強く感じるようになってきたとありました。

 

ご本人からお薬を止めて鍼灸のみでと提案があり、そのようにしました。

 

この間にタイミングを取られ、自己判定キッドで陽性反応が出たとありました。

 

その後、病院でも胎嚢確認、心拍確認と進まれ、産科へ転院されましたが、流産になりました。

 

陽性反応後の鍼は、安産の鍼に変更しています。

 

 

・29回目から33回目

 

年齢のこともあり今回で妊活を止めようと思っていたそうですが、これまで全く何にも結果が出なかったのが、鍼灸により変化を感じたので、このまま続けるとありました。

 

鍼は初回に戻しています。

 

現在のところ、精神面は安定し、前向きになって頂いています。

 

 

20代 女性

 

 

これまでの経過

 

・半年前から本格的に妊活を始める

 

・多膿胞性卵巣症候群の疑いあり

 

・高プロラクチン血症あり

 

・基礎体温の乱れがあり漢方薬で整っていたが、最近、また、乱れてきた

 

・高温期が来なくなった

 

・アトピー性皮膚炎あり


 

 

鍼灸の経過

 

 

・初回から7回目

 

基礎体温を調え、ホルモンの分泌を活性化させることを目的に鍼を進めていきました。

 

うつ伏せの状態で背中、腰のツボから5ヶ所を選択し、鍼を5㎜程度刺し、そのままの状態で寝てもらいました。

 

その後、仰向けになって頂き、手足とお腹のツボから5ヶ所を選択し、同じように鍼をしまし、そのままの状態で寝てもらいました。

 

使用した鍼は、直径0.18㎜、長さ30mmです。

 

徐々に基礎体温が安定し、自覚的に経血量が増えてきたとありました。

 

 

・8回目から25回目

 

本格的に不妊検査を受けると甲状腺機能低下症や、耐糖能異常が見つかり、服薬している。

 

その間にストレスからかヘルペスにもなったそうです。

 

この間、人工授精を試みるも、全く反応がなかったそうです。

 

 

・26回目から32回目

 

 

不妊専門病院を転院されたそうです。

 

なぜか分かりませんが、徐々に経血量が減り、子宮内膜も厚くならないようになってきたとありました。

 

鍼は前回と同じです。

 

 

・33回目から47回目

 

合同カンファレンスにより担当鍼灸師が変更になりました。

 

変更後の担当鍼灸師から、東洋医学的な話になるが、本例の患者さんは「漏らしやすい」とありました。

 

また、不安神経症の傾向があるので、よけいに「漏らす」、そのことにより経血量が減少し、子宮内膜も厚くならないのだろうとありました。

 

さすがに、この辺りのことを西洋医学的に説明することは、現時点では無理とありました。

 

今回から、「漏らさない」ことを目的とした鍼に変更しています。


 

主には手足にツボに鍼を刺し、脳の機能を高める感じです。

 

使用した鍼は、直径0.18㎜、長さ15㎜です。

 

回数を重ねるごとに経血量が増えてきているのを自覚され、子宮内膜も10㎜程度まで厚くなってきたとありました。

 

この間にお薬の変更や自己注射もされていますので、併用が上手くいったようです。

 

実際、海外の論文になりますが、鍼灸と薬物の相性はよく、併用するべきだという感じになってきています。

 

 

・48回目から58回目

 

途中、OHSSで入院、手術ということもありましたが、徐々に改善へと進んでおられるようでした。

 

担当鍼灸師の感覚としての「漏れ」も減少していました。

 

58回目の後に移植されています。

 

鍼は前回と同じです。

 

 

・59回目から69回目

 

59回目時に陽性反応が出たとありました。

 

今回より安産を目的とした鍼に変更しています。

 

その後、胎嚢確認、心拍確認と無事に進まれ、現在は、産科へ転院されています。

 

経過は順調で、安産に向けた鍼を続けて頂いています。

 

 

30代 女性

 

 

これまでの経過

 

・2年前より妊活を本格的に始める

 

・子宮卵管造影検査で左の卵管が詰まっている可能性があり

 

・その他の不妊検査は異常なし

 

・タイミング6回、人工授精7回、採卵1回、胚移植1回

 

・生理がここ数ヶ月、量も減ってきて、早く終わる、それ以前は5~6日間

 

・生理痛はそれほどでもない

 

・首・肩残りが酷い

 

・冬場に手足に冷えを強く感じる

 

・鍼は初めて

 

 

鍼灸の経過

 

 

・初回

 

肩こりが強いので、それを緩めることと子宮・卵巣への血流を増やすことを目的とした鍼を行いました。


 

うつ伏せの状態で、首・肩の緊張感の強いところに鍼を5㎜程度刺し、直ぐに抜くということを6ヶ所程度しました。

 

その後、仰向けになってもらい手足とお腹のツボから3ヶ所ツボを選択し、3mm程度、鍼を刺し、そのままの状態で20分程度寝てもらいました。

 

使用した鍼は、直径0.18㎜、長さ30mmです。

 

 

・2回目

 

人工受精後の来られました、おからだの様子からは妊娠している感じでしたので、安産を目的とした鍼に変更しました。

 

使用した鍼は、前回と同じです。

 

 

・3回目

 

胎嚢確認、心拍確認と無事に進んだとありました。


 

体外受精から人工授精に切り替えて成功したのは2例目と主治医から言われたそうです。

 

鍼は前回と同じです。

 

 

・4回目

 

順調に育っているとのことでした。

 

今回は、つわりが酷いとのことで、それに対応した鍼をしました。

 

 

その後、順調と報告を受けていますが、鍼は前回で中止になっています。

 

 

2019年 鍼灸院 天空での妊活鍼灸のまとめ

 

妊活鍼灸を担当している女性鍼灸師が2019年に大きく成長したことが、今回の結果を導いたと思っています。

 

彼女自身の努力もありますが、彼女を指導した先輩鍼灸師(退職)の力も大きいものだと思っております。

 

振り返ってみますと、「妊活を始めよう、では、鍼灸を」というようにはなりません。

 

いくつも不妊専門病院を転院されたり、整体を受けられたり様々な過程を経て、ようやく鍼灸を選択するということがはっきりしている感じだと思います。

 

これは、大阪 心斎橋の鍼灸院 天空だけではなく、どこの鍼灸院でも同じような傾向にあることが調査研究などで判明しています。

 

私たちとしましては、もう少し早く来て頂ければと思いますが、なかなか難しいようです。

 

また、西洋医学との併用が効果的であることが海外の論文で多く示されています。

 

鍼灸院 天空でも鍼灸単独ということはなく、不妊専門病院との併用がほとんどです。

 

鍼灸はお薬による副作用を軽くする、排卵誘発剤を繰り返すことによる経血量の減少や子宮内膜が厚くならないという副反応を改善することができることも、今回の振り返りから改めて実感できました。

 

また、西洋医学では手の打ちようがないような状態であっても、鍼灸を続けることにより「体質」が変わり、妊娠できる身体になることも想定できる結果もありました。

 

良い結果だけでなくは、努力を重ねられ妊娠した後に、流産された例もあります。

早期流産は統計学的に13~14%とされています。

 

流産はこれまで多くの努力を重ねてこられた妊活女性には大きなショックですが、そのほとんどは遺伝的な問題によるものです。

 

ただ、この状況になった時に、いかに寄り添えるかが私たちの課題になります。

 

この点においても妊活担当の女性鍼灸師は大きく変化したと感じています。

 

この寄り添いがあるから「次回も頑張ります」という、お言葉を頂けたのではないかと思っています。

 

また、若いから早く妊娠できるとも限りません。

 

基礎に大きな病気などがあれば、なおさらです。

 

現在、通って頂いている若い妊活女性で、基礎にシェーングレーン症候群がある、慢性子宮内膜炎があるなどの例があります。

 

やはりなかなか「苦戦」しているというところです。

 

ただ、それでも「妊娠するときは妊娠する」ようです。

 

その辺りのところが「人体の不思議」といえるところだと思います。

 

西洋医学での不妊治療に限界を感じられたあなたにこそ、鍼灸を選択して頂ければと改めて実感した2019年でした。

 

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