明けましておめでとうございます。
大阪 心斎橋の鍼灸院 天空での2019年の妊活の振り返りを綴っていきます。
2019年に妊娠の陽性反応が出て、心拍確認までできた方は9名でした。
現在は、主に1名の女性鍼灸師が妊活鍼灸を担当していますので、多くはないが少なくもない人数かなと思っています。
初回時の平均年齢は38歳、胎嚢確認までの平均施術回数は33回、平均施術期間は7.6ヶ月でした。
妊活で鍼灸を最初に選択することはまずなく、不妊専門病院で上手くいかず、その後、整体院や整骨院を経て鍼灸を選択することが多い傾向にあります。
そのため、初回時の年齢は比較的高めになりますので、どうしても施術期間は長く、施術回数は多くなりがちです。
ただ、ほぼ諦めかけた方が来られる中で、結果が出ているのが、鍼灸の良いところだと思います。
簡単に9名の妊活女性の経過を紹介して行きたいと思います。
できるだけ個人を特定できないようにするために、順序はバラバラにしています。
「現在、順調に通っておられます」とありましても、それが2019年12月のことではありませんので、その点はご了承ください。
また、心拍確認後、流産になったと報告を頂いている例も正直に掲載していきますので、その点もご参考にしてください。
大阪 心斎橋の鍼灸院 天空では心拍確認後も、引き続き鍼灸を受けて頂くように、初回のカウンセリング時に説明しておりますが、中止になることもあります。
その旨も正直に書いております。
40代 女性
〇
これまでの経過
・妊活を始めてから約4年経過するが現在のところ何も結果が出ていない
・不妊専門病院にて人工授精、胚移植を複数回、試みるが着床まで至らなかった
・一般不妊検査は全て異常なし
・慢性子宮内膜炎の疑いがあり、確定はできていない
・AMH値:0.65(卵巣年齢45歳に相当)
・ホルモン値:正常
・潜在性甲状腺機能低下症の疑いあり
・冷えを強く感じる、手足だけでなく、鼠径部やお腹の冷えが強い
・初潮後に3ヶ月くらい生理が来なかったことがある
・腰椎分離症がある
・腰椎椎間板ヘルニアになったが、現在は治っている
・肩こり症
・鍼灸は今回が初めて
〇
鍼灸の経過
・初回
冷えが強くあるので、お腹周り、腰回りのツボを中心に6ヶ所、選択し鍼を刺し、20分程度、寝てもらいました。
その後、子宮・卵巣の機能を高めることを目的に手足のツボを2ヶ所、選択し鍼を刺し、そのまま20分程度、寝てもらいました。
使用した鍼は直径0.18㎜、長さ30㎜、刺した深さは7㎜程度です。
・2回目
胚移植当日に移植前に来られました。
子宮の痛みを訴えられましたので、緊張感を緩め、痛みが減少するようにしました。
前回のツボに緊張感を緩めることを目的に肩・首のツボを2ヶ所、加えました。
使用した鍼は前回と同じです。
・3回目
移植は上手くいかなかったそうです。
鍼は2回目と同じです。
・4~6回目
TSH値が高くチラージンを処方されましたが、服用後、すぐにTSH値が下がったそうです。
鍼灸は前回と同じです。
・7,8回目
自覚症状としての冷えはましに感じるが、繁忙ストレスからか、疲れを強く感じるとありました。
鍼灸は前回と同じです。
・9~10回目
前回の移植より約2ヶ月休み、からだ作りを心掛けたので、今回は移植してみようと思うとのことでした。
9回目は移植後、数日後に来られました。
10回目の鍼灸に時に移植が上手くいき、心拍確認もできたと報告がありました。
その後も、鍼灸を続けることをお勧めしましましたが、中止になっています。
9回目からは妊娠時の鍼灸に切り替えています。
手足のツボ3か所に鍼を浅く刺しています。
使用した鍼は、直径0.16㎜、長さ15㎜です。
30代 女性
〇
これまでの経過
・結婚後、数年経つが妊娠できていない
・5ヶ月前から不妊専門病院に通い、本格的に妊活を始めた
・一般不妊検査は異常なし
・高プロラクチン血症を指摘されたがお薬で低下
・子宮筋腫がある
・慢性胃潰瘍があり、服薬中
・現在は、排卵誘発剤を服用しながらタイミングを取っている
・肩こり、腰痛、頭痛あり
・妊娠への身体つくりのために鍼灸を受けに来た
・鍼は初めて
〇
鍼灸の経過
・初回から32回目
慢性胃炎、肩こり、腰痛、頭痛などがあるので、鍼灸でその症状を改善するようにしていきました。
これらのことは意外に、不妊の要因になります。
交感神経の過緊張により引き起こされていますので、それが子宮・卵巣への血流悪化を引き起こすからです。
また、子宮・卵巣への血流を増やす鍼も加えています。
うつ伏せで、首・肩と背中・腰のツボから4ヶ所を選択し、鍼を5㎜程度、刺しそのまま寝てもらいました。
手足とお腹のツボから2ヶ所を選択し、鍼を3㎜程度、刺しそのまま20分程度、寝てもらいました。
使用した鍼は、直径0.18㎜、長さ30mmです。
エコーで卵胞の成長を確認しながら、ご自身タイミングを取られていました。
鍼の回数が増える毎に、卵胞の成長は良くなり、子宮内膜も厚くなってきたとありましたが、残念ながら結果は出ていません。
・33回目から35回目
タイミングを取るも結果が出ないので、人工授精にステップアップしたとありました。
ご主人の精子の運動状態がよくないとありましたので、ご主人にも鍼を受けて頂くようにお話しました。
鍼は初回の鍼に3ヶ所ほど鍼を刺すツボを増やしています。
それ以外は、初回と同じです。
・36回目から50回目
ご主人の精子の運動状態は数回の鍼により改善されたとありました。
この間に、人工授精を試みるも結果が出ないので、体外受精にステップアップするとありました。
鍼は前回と同じです。
・51回目から54回目
体外受精のためのお薬を服用するも、副作用が強く出て、飲み続けられなくなった。
そのことを主治医に伝え、お薬を変更するも、やはり副作用が強く、心配になり転院したそうです。
鍼は前回と同じです。
・55回目から65回目
転院先で自己注射に変更し、副作用も感じなくなったそうです。
その後、初めての体外受精で移植まで進んだとありました。
鍼は前回と同じです。
・66回目
結果は陽性反応が出なかったとありました。
ただ、これまで何も「変化」がなかったので、今回、移植まで進めたのがうれしいと、前向きにとらえて頂いたのが救いでした。
鍼は前回と同じです。
・67回目から72回目
前回から、約1ヶ月、何もせず休憩しておられ、1ヶ月後に妊活を再開しています。
前回、移植後に銅・亜鉛の検査をし、それにひっかかりサプリメントを服用しているとありました。
67回目の鍼の後に、合同カンファレンスを行い、本例の患者さまの状況を詳しく説明した後に、「過敏性がある」のではと指摘されました。
確かに、前回の移植前日は緊張のあまり全く寝付けなかったと聞いています。
過敏性があると移植したことに身体が無意識に反応し、緊張感から子宮への血流悪化を招き着床が上手くいかないことがあるとも指摘されました。
今回、移植当日の移植前に鍼に来られ、担当鍼灸師がお休みなので別の鍼灸師が担当しました。
移植後に来られた時に、「今回は全く緊張しなかった」とありました。
それも含めて、再検討し、選択するツボを大きく変更するようにと指示がありました。
腰・背中のツボをなくし、肩・首と手足にツボに変更しています。
使用した鍼は、最初と同じです。
結果は陽性反応が出たとありました。
・73回目から76回目
胎嚢確認はできたが、心拍確認はできなかったとありました。
搔爬後の状態が良くなく、腹痛や出血、頭痛などが激しく、少し手に負えないことと、患者さんからの要望があり担当鍼灸師を変更しました。
鍼は前回と同じです。
・77回目から92回目
身体の状態は鍼を重ねるごとに改善したようです。
元気になっていかれていますが、hcgが上がらずに移植へとは進んでいません。
ご本人には、もう一度しっかりとからだを作り上げてから、移植するのが良いとお伝えし、納得して頂きました。
この間に再就職へ向け、いろいろと勉強され高ストレス状態でもありましたので、それに対しての鍼も加えています。
鍼は前回と同じです。
・93回目から97回目
今回の鍼の後、移植周期に入るとありました。
移植後、無事、陽性反応、胎嚢確認と進みました。
陽性反応後の鍼は、肩・首になでる程度の鍼と手足のツボ3ヶ所に鍼を刺してそのまま30分程度、寝てもらっています。
使用した鍼は、直径0.16㎜、長さ15㎜です。
・98回目から102回目
今回は、無事、心拍も確認できその後も、順調に進んでいます。
鍼は前回と同じです。
30代 女性
〇
これまでの経過
・3年前から妊活を始める
・初潮から生理不順が続くが、服薬などで現在は35日周期で安定している
・婦人科で多膿胞性卵巣症候群を指摘された
・卵胞の成長を確認しながらタイミングを取っているが上手くいかない
・人工授精の予定あり
・首・肩のコリが酷い
・冷え症がきつい
・鍼は初めて
〇
鍼灸の経過
・初回から3回目
首・肩のこりが酷く、冷えもきついので、その改善を目的にうつ伏せの状態で、首・肩、背中のツボから8ヶ所を選択し、鍼を5㎜程度刺し、そのまま寝てもらいました。
その後、冷えの原因である血流の悪化の改善と、子宮・卵巣への血流量を増やすことを目的に手足とお腹のツボから8ヶ所選択し、仰向けになってもらい鍼を5㎜程度刺し、そのまま20分程度寝てもらいました。
使用した鍼は、直径0.18㎜、長さ30mmです。
人工授精をされましたが上手くいかなったそうです。
・4回目から8回目
過去、生理痛を感じたことはなかったが、3年前から不妊治療を始めてから感じるようになったとありましたので、その点も踏まえて鍼を進めて行きました。
この間に人工授精を2回行うも、結果は出なかったとありました。
鍼は前回と同じです。
・9回目から19回目
8回目から9回目の間、忙しかったようで約2ヶ月、鍼が空いています。
この間に卵胞の状況に応じ、人工授精、体外受精を数回繰り返すも、着床まで至らなかったそうです。
・20回目から23回目
現在の不妊専門病院ではと疑問が湧き転院されています。
転院先で銅・亜鉛の不足を指摘され、サプリメントを服用しているとありました。
23回目の鍼の後に人工授精されています。
鍼は前回と同じです。
・24回目
判定は陽性で、胎嚢確認もできたと報告がありました。
妊娠確定後の鍼は、刺激を少なくし、ツボの数も減らしています。
使用した鍼は、直径0.16㎜、長さ15㎜です。
・24回目から32回目
心拍確認もでき、不妊専門病院から出産のための産科に転院したとありました。
鍼は前回と同じです。
その後も順調でしたが、原因不明で流産されています。
8例、全てご紹介する予定でしたが、長くなりましたので、何回に分けてご紹介していきます。
その後、大阪 心斎橋の鍼灸院 天空としての総括をしたいと思っております。