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2020年 妊活鍼灸の振り返り -症例と総括-

2021年11月30日8:15 PM カテゴリー:不妊鍼灸,症例

症例報告と総括

 

2020年度の総括にもかかわらず、年末になろうかというのに未だ全てをご紹介できていなく申し訳ありません。

 

ようやく今回ですべてのご紹介と総括となります。

 

できるだけ多くの妊活中の方に、参考になるようにと思いながら書いていきます。

 

 

1.30代女性

 

これまでの経過

・チェッカーで、排卵日を確かめながらタイミングを取っている

・不妊専門クリニックへ行くのをご主人が嫌がりストレス

・事務員でパソコン作業なので肩こりが酷い

・数年前までは忙しく、帰宅が24時ごろになっていた

・足元の冷えを感じやすいが、勤務中はヒーターを付けているので気にならない

・生理時には胸の張りと腹痛があり辛い

・朝ごはんは食べない、お昼は自分で作ったお弁当を食べている

・夜はおつまみを作って食べる感じで、ご飯やパスタなどはあまり食べない

・通勤は自転車で1時間

・鍼は初めて


 

鍼灸の経過

 

初回の鍼灸

肩こりと子宮・卵巣への血流を増やすこと目的にうつぶせの状態で、首、肩、腰のツボに鍼を刺し、そのまま10分帝で、寝てもらいました。

その後、全ての鍼を抜き、首肩の残っているコリを丁寧に取り除く鍼をしました。

使用した鍼は、使い捨てで、直径0.18㎜ 長さ30mmです。

次に仰向けになってもらい子宮・卵巣への血流を良くするツボ数ヶ所と足の冷えを改善するツボに鍼を刺し、そのまま20分程度、寝てもらいました。

使用した鍼は、使い捨てで直径0.16㎜ 長さ15㎜です。

 

 

2、3回目の鍼灸

初回の鍼の後、以前によくあった頭痛が少しした。眼鏡をかけるようなり視界が悪い、前髪が邪魔になり鬱陶しい上に、残業が4日間あり、肩こりが酷くなったとありました。

不妊専門クリニックの子宮検査で子宮の中はキレイと言われ、ホルモン値も問題ないと言われたそうです。

不妊専門クリニックの診療時間が変わるので、転院を考えているそうです。

今さっき、排卵痛があったとのことでした。

鍼は前回と同じです。

 

4、5回目の鍼灸

生理時の胸の張りや腹痛を感じなくなり、経血量も増えてきたそうです。
ただ、フーナーテストの結果は良くなかったとありました。

鍼は前回と同じです。

 

6回から10回目の鍼灸

この間に2回、人工授精をされていますが、結果は出ていません。
ご主人の精液検査も受けられていますが、異常なしとのことでした。
体調は良くなってきたとあり、ご主人が体外受精にも理解を示してくれるようになったので、転院を考えているとありました。

鍼は初回と同じですが、お腹と足のツボ3ヶ所にお灸を加えています。

 

11回目の鍼灸
転院先で人工授精をし、また、今度もダメかと思っていたが、自分で妊娠検査薬を試すと陽性反応が出たとのことでした。

陽性反応が出ていますので、手足のツボに軽く鍼を刺し、お灸をすることによりちゃんと育つことを目的にする鍼灸に変えました。


 

12,13回目の鍼灸
心拍確認ができたとありました。

鍼灸は前回と同じです。

ここで、一旦、鍼灸は中止となりましたが、出産後に肩こりや腰痛改善のために時々、通院されています。

 

 

2.30代女性

 

これまでの経過

・数年前に出産、2人目が上手くいかない

・20代の時に人工中絶の経験あり

・これまでに人工授精を6回試みているが結果は出ていない

・不妊専門クリニックを1度、転院し、体外受精も考えるようになった

・卵管造影をしたが異状ない

・高プロラクチン血症で服薬している

・エストロゲン値が基準値を何とか超えている感じ

・体外受精を一度、試みたが上手くいかず、先生から「ランクが良くなく、卵の問題では?」と言われた

・明日、次回の日程が決まる

・足がむくみやすい、首肩残りが酷い

・足やお腹が冷えやすい

・子宮内膜が厚くなりにくい、7㎜くらいから成長しない

・黄体シールを増やした

・プレマリンをずっと飲まされている

・生理周期は30日間、生理2日目だけが経血量が多い

・販売員で室内外の温度差が大きく体調不良になりやすい

・今月、職場移動がありストレスが強くなっている

 

 

鍼灸の経過

 

初回の鍼

うつ伏せの状態で、子宮・卵巣への血流を増やすことを目的に腰のツボと肩首のコリを取ることを目的に肩首のツボ、それぞれ6か所に鍼を刺し、そのまま10分程度、寝てもらいました。

使用した鍼は、直径18㎜、長さ30mmです。

次に仰向けになり、ストレス解消や子宮・卵巣の機能調整、女性ホルモン分泌への調整を目的に手足とお腹ツボ6か所に鍼を刺し、そのまま20分程度、寝てもらいました。

使用した鍼は直径16㎜、長さ15㎜です。

 

 

2回目の鍼

前回の張りの後、腰痛を感じることはなかったとありました。不妊クリニックを転院し、そこで体外受精を行ったそうです。

体外受精後でしたので、肩首に軽く鍼を刺し、その後、着床から妊娠できるような鍼灸に変更しました。

使用した鍼は直径16㎜、長さ15ミリで、お腹のツボにお灸をしました。


3回目の鍼灸

無事、陽性判定が出たとありました。

足のむくみが酷く、腰がピキピキし、いつもと違う感じとありました。

鍼灸は安産に向けたものに変更しました。

鍼灸は、この後、中断されています。

 

2020年度の妊活鍼灸の総括

 

陽性判定が出て、胎嚢確認や心拍確認まで進んだ方は7名でしたが、比較的、通院回数が少なく妊娠されたのが特徴的な年でした。

これは平均年齢が30代と比較的、若い方が多かったからと思われます。

 

30代くらいまでですと、よほど基礎疾患があるとか、生理不順が酷く、数ヶ月に渡り来ないなどの症状がなければ、鍼灸による身体の調整が上手くいきやすいからです。

また、鍼灸により肩こりや腰痛、頭痛、冷えなどの愁訴を取り除くことにより妊娠しやすくなります。


肩こり、腰痛、頭痛が、妊活の邪魔になっているなんてと思われるかもしれませんが、これらの愁訴が意外に問題なのです。

 

いずれの愁訴も主にストレスからくる交感神経の過緊張が引き起こしています。

交感神経は筋肉に入り込み、血管に巻き付いています。

このために交感神経の興奮は血流を悪化させ、筋肉を凝りやすくすることが分かっています。

 

そして、これが妊活と関係するのは、ストレス対応は、「視床下部―下垂体―副腎系」と呼ばれるシステムで動いています。

また、生理周期を中心とした女性ホルモンのバランスなどは、「視床下部―下垂体―卵巣軸」と呼ばれるシステムで動いています。

さらに身体を活発にする新陳代謝や胎児の成長には、「視床下部―下垂体―甲状腺系」と呼ばれるシステムが動いています。

女性の場合はこれらの3つのシステムより身体が正常に活動できるわけです。

 

また、これらは3つのシステムは全て脳にある視床下部に、その中枢があります。

ストレスが強く長くかかりますとこの視床下部の機能が混乱し、さまざまな症状を引き起こすことが分かってきています。

肩こり、腰痛、頭痛、冷えなどもこの視床下部の機能混乱によるものとされています。

 

このように妊活の問題は生理不順や生理痛だけでなく、肩こり、腰痛、頭痛、冷えなどちょっとした身体の不調が問題なことがあります。

このちょっとした体の不調が、体外受精が上手くいかない原因となっていることを改めて実感した1年でもありました。

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