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鍼灸治療を受けることで胚移植の成功率が上がる理由

2018年9月11日7:30 PM カテゴリー:不妊症

【ラットによる実験での検証】

 

中国で行われた、胚移植不全ラットを使用した、胚移植の実験結果をご紹介します。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24802234

この実験では、ラットを無作為に4群に分けました。

1.何もしない正常群
2.ミフェプリストン注入のみ群
3.ミフェプリストン注入+鍼灸治療群
4.ミフェプリストン注入+プロゲステロン補充群

1の何もしない群は、正常なマウスモデル群です。

2の群に関しては、ホルモンの働きを阻害するミフェプリストンという薬物を注入し、それ以外は何もしていない群です。ミフェプリストンは、人工中絶薬に使用される薬剤で、女性ホルモンの働きを阻害するものです。

この2の群は、妊娠に必要な女性ホルモンである、エストロゲンやプロゲステロンが働かないため、胚移植が成功しない群になります。

3の群は、人工的に作られた不妊のマウスに対して、鍼灸治療を加えた群です。これが、鍼灸治療の効果を見る群になります。

4の群は、人工的に作られた不妊マウスに、黄体ホルモンであるプロゲステロンを補充した群です。プロゲステロンは、高温期に子宮内膜を変化させるホルモンで、不妊治療にも妊娠率向上のために使用されます。

 

【鍼灸治療の効果とは】

 

胚移植1日目に、上で分けた4群にそれぞれ操作を加えました。1の群では何もせず、2の群には。ミフェプリストンを注射して、着床を阻害する措置をしました。

更に3の群には、ミフェプリストンを注射した上で鍼灸治療を加え、4の群には、ミフェプリストンを注射した上で、プロゲステロンの注射も施しました。

すると、正常群である1と比較して、2と4の群では、プロゲステロンとプロラクチンの値が優位に減少しました。

またプロゲステロンとプロラクチンの状態が発現するための、mRNAの働きも低下していたそうです。受容体がの働きが低下すると、例えホルモンが正常に分泌されていても、妊娠はしにくくなります。

一方、鍼灸治療を加えた群では、プロゲステロンの分泌量も多くなり、受容体発現の働きも良くなったそうです。つまり、妊娠がしやすい状態になったと言えます。

・鍼灸治療により、プロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌量が増えた。
・鍼灸治療により、プロゲステロン受容体発現がしやすい状態になった。

この2つの事実は、不妊鍼灸において非常に重要なことです。体外受精や顕微授精においても、質の良い胚が採れているにも関わらず、複数回移植が失敗する人にとって、鍼灸治療は救世主になる可能性があります。

 

【ホルモン分泌と鍼灸】

 

今回ご紹介した論文でもあったように、鍼灸治療はホルモン分泌にも影響を与えます。今回ターゲットになったプロゲステロンとプロラクチンは、妊娠に関係が深いホルモンです。

プロゲステロンは、排卵後の卵胞から作られます。排卵後の卵胞は、黄体という組織になり、元々卵胞内に合った2種類の細胞の働きで、エストロゲンとプロゲステロンを分泌します。

エストロゲンは排卵前の卵胞細胞からも分泌されますが、通常でれば、プロゲステロンは、排卵後のみ分泌されるホルモンです。

卵胞が成長する過程で、しっかり卵胞の細胞が成長すれば、排卵後の卵胞細胞である黄体からは、しっかりとプロゲステロンが分泌されます。

今回は、妊娠1日でミフェプリストンを注射したため、本来なら黄体は作られないはずですが、鍼灸治療を施した群では、プロゲステロンが分泌され、更にプロゲステロンの受容体にまで影響が及んだとあります。

またプロラクチンは、不妊原因の高プロラクチン血症の原因として有名ですが、プロラクチンは低すぎても不妊原因になることはあまり知られていません。

プロラクチンは、子宮内膜が妊娠初期に脱落膜という組織に変化するときに必要なホルモンです。この脱落膜が胎盤となり、妊娠維持に必須の組織に変化します。

ミフェプリストンは、この変化に必要なプロラクチンの働きも阻害するのです。ところが、鍼灸治療を受けた群では、プロゲステロンと同様に、ホルモン分泌や受容体に変化を起こしていました。

こうして生理学的な変化が、鍼灸治療のお陰で起こるとするなら、ある意味、薬剤よりも鍼灸治療の方が効果があると言えるのかもしれません。

 



 


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