今回は、不妊治療に対する鍼灸治療が、得意にしていることや、苦手なことに関しての記事です。
鍼灸治療は刺激療法です。刺激療法と言えば、身も蓋もない言い方かもしれませんが、鍼灸治療は神秘の治療でもありませんし、魔法の様なものでもありません。
あくまでも、物理学的な働きや、生理学的な作用がしっかり働いて、治療効果を出す治療法です。そのため、鍼灸治療が効くのには理由があり、逆に効かないものにも理由があるのです。
そこで、鍼灸治療で「できること」や「できないこと」を知ることで、鍼灸治療を妊活に活かして下さい。
鍼灸治療で「できること」
・鎮痛
・血行促進
・自律神経に刺激を与えて、内臓の働きを整える
・脳の特定の部分を刺激して、脳の働きを活性化したり、鎮静化したりする
・自律神経や脳に影響を与えることで、免疫機能を調整する
鍼灸では「できない」こと
・物質的な損失を補う
・先天的な問題を根本的に解決する
・不自然な生理活動を起こす
こうした鍼灸の得意や不得意を分かりやすくご紹介させて頂きます。
不妊鍼灸でできることを知ろう
鍼灸治療は刺激療法です。からだの特定の部位を、鍼や灸で刺激することで、からだの生体反応を引き起こします。その生体反応を利用して、からだの治療をするわけです。
これを不妊治療に例えてみます。不妊治療では有名な三陰交というツボがあります。
この三陰交に鍼を刺すと、知覚神経を通って腰から骨盤辺りの神経に向かって刺激が伝わります。(深さにより変わります)
そこで二つにルートが分かれます。腰から脊髄に入って、脳に向かうルートと、再び足に向かうルートです。
足に向かうルートの刺激は、足の血管や神経に刺激を伝えます。その結果、足の血流が良くなることで下半身の冷えを取り除きます。
一方、脳に入ったルートからの刺激は、脳の視床下部に刺激を与えて、子宮や卵巣の血流を増加させたり、女性ホルモンを放出するように働きかけたりします。
視床下部からは、免疫系にも指令が出されます。その結果、リンパ球のバランスが取れることで、免疫寛容という作用が起こります。免疫寛容が起こると、子宮内で精子に対する免疫の攻撃が緩まります。
こうした様々な働きの結果、非常に妊娠がしやすい状態になります。
実際にはもっと複雑なルートがあるのですが、大まかに言うと、こういった感じになります。
鍼灸のできないことを知ろう
鍼灸治療でできないことは、物質を直接補うということです。例えば、栄養が足りない人には、必要な栄養素を補う必要があります。これは、鍼灸治療ではできません。
胃腸の治療を施すことで、消化吸収を高めて栄養を補うことはできますが、食事をしない方では、それもできません。つまり、栄養が足りない人なら、食事で栄養を摂る必要があります。
先天的な問題を、鍼灸で根本的に解決することは不可能です。ただそれが、後天的な作用で補えるものなら、妊娠しやすくすることは可能です。例えば、子宮奇形自体は、鍼灸ではどうにもなりませんが、子宮奇形を持つ方を、妊娠しやすい状態にしたり、流産しにくい状態にすることは可能です。
最後に、鍼灸は、自然療法ですので、不自然な作用を起こすことはできません。何らかの代償を払って妊娠をさせたり、不健康にしながら妊娠させることはできません。鍼灸治療で妊娠するには、より健康的になることが必須なのです。
鍼灸治療での妊娠では、あなた自身の健康作り(元気)が一番重要です。そうすれば、あなたの妊娠や出産は、どんどん近付いてきます。