鍼灸治療や東洋医学は、治療効果が出るまでに時間がかるとか思われがちです。でも、実際にはそんなことはありません。ただ、妊活で来院された患者さんには、「できれば3か月は通ってくださいね。」と言っています。「言っていることが違うじゃないか!」と思われるかもしれませんが、これには理由があります。
効果が出るまでの時間
不妊鍼灸の治療効果が出るまでの時間は、その方の状態により変わります。例えば、今まで長期間に渡ってホルモン剤を大量に使用した方と、これから不妊治療を始めようという人では、からだの状態が違うため、効果が出るまでの時間が違います。
また、初潮の頃から生理痛が酷く、ずっと生理不順気味で、定期的に生理が来たことがない方と、毎月きっちりと排卵や生理が来る方でも、治療効果が出るまでの時間は違います。
同じ条件で治療を開始していなければ、治療効果が出るまでの時間が違うことは不思議ではありません。
では、何故あなたにも、3か月の治療期間が必要なのでしょうか?
<卵の成長には3か月かかります>
女性の卵巣内では、排卵を控える卵子が常に待機しています。毎月、左右の卵巣から、個排卵される卵子は、その3か月前から準備を開始します。
卵子は、準備期間の3か月、卵胞の中で栄養やホルモン、酸素などを十分に受け取れると、非常に質が良くなります。
<トートラ解剖学より>
逆に十分な栄養や女性ホルモン、酸素を受取れない卵は、受精も着床もできません。幾らたくさんの卵を採卵しても、卵の質が悪ければ、受精も分割も着床もしないのです。
鍼灸治療は、この卵の質の部分に働きます。鍼灸治療は、子宮や卵巣への血流を促すことで、卵胞の発育を助けたり、卵の質を上げることができます。
卵への働きかけを行ったとしても、最低でも3か月かかってしまうのです。ただ元々卵に問題がない方なら、治療効果が現れるまでに、あまり時間はかかりません。質の良い胚盤胞を、既に採卵済みの方などは、移植前に鍼灸治療を受けるだけでも、妊娠する確率が上がります。
鍼灸治療は比較的効果が早い治療です
実際に、腰痛などで鍼灸治療を受けたことのある方ならご存知でしょうが、鍼灸治療は、非常に治療効果の発現が早い治療です。それこそ軽いギックリ腰程度なら、ほぼ1回の治療でかなり楽になります。
痛みに対する治療効果で言うなら、ブロック注射や鎮痛薬に匹敵するくらい早く効きます。
ただ不妊鍼灸は、質の良い卵子を育てるのに時間がかかるため、どうしても時間が必要になるのです。
生殖能力は、親の世代からの影響も受けます。それに関しては、「タバコがどうしても止められないあなたへ」でも書きました。
恐らくですが、タバコだけではなく、かなり多くの遺伝的な要因が不妊には働いています。ただ、どの程度その要素が働いているかは、誰にも分かりません。だから妊活は難しいのです。
不妊治療に時間がかかるのも、鍼灸だからでなく、妊活独特の事情からだということが分かって頂けたでしょうか。
ただ、そうした中でも、一日も早くあなたが赤ちゃんに出会えるよう、色々な論文を検索し、実践に活かせるように私たちは日々研究しています。
だから少しでも疑問なことは、遠慮なく私たちにご質問下さい。あなたが聞きたいその質問は、他の人が聞きたかった質問と同じかもしれません。そして、その質問が、このブログで紹介されるかもしれません。