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高プロラクチン血症の鍼灸治療

2018年5月18日10:26 AM カテゴリー:不妊症

今回は、不妊鍼灸の臨床でもよく見掛ける、高プロラクチン血症のお話です。

高プロラクチン血症は、排卵障害や生理不順、不妊の原因になる疾患です。高プロラクチン血症には大きく3種類あります。

 

1.腫瘍性高プロラクチン血症

2.薬剤性高プロラクチン血症

3.機能性高プロラクチン血症

 

病院での検査で問題が見付からなかった場合、3の機能性高プロラクチン血症と診断されます。つまり原因が特定できないけれど、血液中のプロラクチンが多いため、生理不順や不妊症状を出しているということです。

また日常的には症状が見られないのですが、ストレスが掛かった時だけ症状を出すものを、潜在性高プロラクチン血症と言います。

西洋医学的には、ドーパミン作動薬という種類のお薬が使用されます。ドーパミンは、からだの運動をスムーズに行うために欠かせない脳内物質で、体内で足りなくなると、パーキンソン病という病気になります。

それ以外にも、ドーパミンが少なくなることで有名な病気が、うつ病です。ドーパミンには、前向きな考えを出す働きがありますので、ドーパミンが上手く働かないと、思考が常に後ろ向きになってしまいます。

 

【機能性高プロラクチン血症とストレス】

 

プロラクチンは、脳の下垂体という所から分泌されています。また下垂体は、それ以外にも女性ホルモンの分泌に必要な、LHやFSHというホルモンを分泌するところでもあります。


下垂体から分泌されるプロラクチンの量は、ドーパミンで調節されています。ドーパミンが分泌されることで、プロラクチンの分泌量は抑制され、過剰に分泌されないようになっています。ドーパミンは、下垂体の少し後ろ側にある、扁桃体というところから分泌されています。


何らかの原因で、扁桃体から分泌されるドーパミンの量が減ると、プロラクチンの分泌量が増えてしまい、高プロラクチン血症になると言われています。

ドーパミンが減る原因として、最も大きな要因はストレスです。過剰なストレスや、長く継続したストレスに晒されると、脳の中ではストレスを緩和しようと、ストレスに対する反応が強まります。

前頭前野と呼ばれる部分は、人間が知的な活動をするときに働く部分です。この前頭前野は、ストレスを論理的に受け止め、対策を練ろうとして、フル稼働して対策を考えます。

それに呼応する形で、ドーパミンを分泌して前向きに思考活動を行います。


ところがあまりにもストレスが強すぎたり、長期間だったりすると、ドーパミンの分泌や受容体の受け取る能力が疲れてしまい、働きが鈍くなってしまいます。これが酷くなると、「うつ状態」になってしまいます。

うつ状態にならないまでも、ドーパミンの働きが落ちてしまうと、プロラクチンの抑制が働かなくなり、高プロラクチン血症になってしまいます。

 

【高プロラクチン血症の鍼灸治療】

 

西洋医学では、ドーパミン作動薬を使うことで、プロラクチンの値を下げるという治療をしますが、鍼灸治療でも扁桃体に働きかけ、ドーパミンを分泌する働きが確認されています。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24929454


鍼灸治療は、元々うつ症状の軽減などの施術としても利用されてきました。不妊治療は、どうしてもストレスが溜まりがちで、うつ状態とはいかないまでも、後ろ向きになる方がおおいことも事実です。

そうした後ろ向きな思考が、更に高プロラクチン血症という不妊を招いてしまう事があるのです。そこで鍼灸治療で高プロラクチン血症を改善することで、前向き感も同時に得ることができです。

ストレスからの高プロラクチン血症には、鍼灸治療を選択されるか、投薬との併用療法をお薦めします。

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