不妊専門病院に通院中のあなたが、ご夫婦で検査を受けても原因不明、或いは原因はありませんと言われたらどうしますか?
病院側からすれば、原因が分からないのですから、原因を特定するためにも体外受精や顕微授精を進めます。
これが現在のスタンダードな方法であることは確かですが、言われた本人としては何か納得しがたい感情が湧いてきます。
「原因不明」と言われた方が、よく来院される私どもの鍼灸院では、どう考えているのかをお話します。
【病院での原因不明への対処】
不妊専門病院といえども、全ての原因が分かるわけではありません。また現状は原因不明なのですが、ステップアップすることで妊娠すれば、振り返ってみて「これが原因だったんだ。」となるように新たな治療を薦めます。
こうした方法によく使用されるのが、体外受精や顕微授精です。今までの検査では異常がなく、タイミング法や人工授精をしたのにうまくいかない。
そこで目的は妊娠なのだから、体外受精をしてみようということです。
もし体外受精で無事妊娠すれば、「キャッチアップ障害だったんだ。」となりますし、顕微授精でうまくいけば、そこに受精障害などが加わるだけです。
ではそれでも上手くいかなければどうなるのでしょうか?そもそも原因が分からないままステップアップしたのですから、それ以上やることがありません。
つまり手詰まりになってしまうのです。
【原因不明とは?】
私は、不妊傾向というものを、一種の身体表現だと考えています。つまり、様々な原因の結果、こうした不妊傾向が出ているのですから、必ず原因はあるのだと思います。
西洋医学の検査で分かるのは、原因ではなく、結果のみが分かるだけです。
例えば、「排卵をしていないようだ。」ということが検査で分かると、血液検査などが行われます。その一つ一つの結果を詳細に検討して、この部分が問題だからそれを解消しようと言ってくれる病院は、まだ良心的です。
結局ホルモン異常があるという事実だけは分かっても、ワンパターンの排卵誘発剤しか使わないのでは、検査の意味がありません。
東洋医学の場合には、体調全般の変動が、東洋医学的診察や東洋医学的診断に基づいてかなり細かく分かりますので、一見関係なさそうな部分から不妊傾向が出ているものでも分かります。
また、一つだけでは小さな原因が、重なり合うことで不妊傾向が出したり、婦人科検査では出ないようなことが、原因になっていることもあります。
【血流だけでも不妊傾向が強くなる】
生理が起きて数日後にする、ホルモン検査というものがあります。このホルモン検査では、FSHやLHというホルモンの数値を測ります。
FSHやLHは卵胞を育て、そして排卵させるためのホルモンです。
FSHは卵胞を育て、卵胞の中に働きかけてエストロゲンを作る働きがあります。エストロゲンが分泌されて、一定濃度に達すると、LHの急上昇が起きて排卵が起こります。
排卵が起きると、排卵後の卵胞からできた黄体から黄体ホルモンが分泌されるようになります。これが、黄体期という高温期を作ります。
こうした生理周期が正確に行われているのかを、生理直後の血液検査で見るのです。ところが、血液検査で見るのはあくまでも、その時にとった腕に流れている血液です。
その血液は、全身を同じように巡るわけではありません。もし女性ホルモンを含んだ血液が、十分に卵巣に運ばれなければ、幾ら全身に巡っているといっても卵胞は大きくなりません。
こうした毛細血管や、からだの隅々まで行き届かない人のことを、東洋医学では血瘀(けつお)と言います。
血瘀症状は、東洋医学的には直ぐに分かりますが、病院でそういった検査をすることはありませんし、医師は気にもしていません。
最近は病院でもサプリメントを販売していますが、栄養剤も血流で運ばれるため、同じことが言えます。
こうした一見不妊とは関係なさそうなことでも、実はからだに大きな影響を与えることは複数あります。
【ストレス解消なんてどうやってやるの…】
不妊治療をしていると、「ストレス溜めないでね!」と医師や看護師から言われることがあります。
ストレスが不妊の原因になることは、医師も分かっているからです。
中には不妊カウンセラーを配置して、患者さんのストレス解消を図っている病院もありますが、具体的にどうすれば良いのかは教えてくれません。
ストレスが大きくなると、ストレスを感じた脳からの指令で、副腎から抗ストレスホルモンであるコルチゾールが分泌されます。
コルチゾールは更に副腎に働きかけ、アンドロジェンというホルモンを分泌させます。
アンドロジェンは、男性ホルモンの一種ですから、あまりアンドロジェンが多くなると、排卵異常が起きることがあります。
男性の髭が生える部分に、ポツポツと月経周期に関係にない吹き出物が出ているあなたは、ストレスが過剰になっている可能性があります。
こうしたストレスによる不妊も、原因不明の中に入れられることが多い不妊の一つです。
「もしかしたらストレスかも?」と分かっていても、確定する診断法がないからです。本当は調べようと思えばできるのですが、婦人科ではそれができません。
不妊専門病院は、不妊治療に特化した病院ですから、先ほどの血流の問題にしても、こうしたストレスの問題にしても、診療科目の垣根を越えた検査はできないのです。
ところが東洋医学なら、どの程度ストレスの影響が出ているかを知ることができます。東洋医学には、診療科目がないため、広範囲の東洋医学的診察の方法があります。
ストレスから起こる不妊傾向に対しても、的確に治療方針を決定し、効果的な施術をすることができます。
原因不明と言われたあなたは、鍼灸治療の適応である可能性が高い方です。ぜひ鍼灸治療をお試し下さい。