片頭痛持ちのあなたがストレスフルな環境におかれ、片頭痛発作だけでなく、常に何となくじんわりと頭痛が続くようになっていませんか?
これは、片頭痛に緊張型頭痛が合わさった混合型頭痛と呼ばれる状態です。
片頭痛の原因はよく分かっていませんが、脳内でのセロトニンの異常分泌や脳血流の低下によるのではと考えられています。
脳内セロトニンの作用を正常にするお薬が効果的なことから、確からしいのではとされています。
〇悩ましい混合型頭痛
混合型頭痛とは正式な病名ではありませんが、最近、頭痛持ちの方の間では定着しつつある表現です。
まず、片頭痛があり、その後、緊張型頭痛が併せて引き起こされる症状です。
その逆はないとされています。
緊張型頭痛は交感神経の過緊張により生じます。
交感神経の過緊張は、仕事や勉強などストレスや対人関係、天候などの外部環境の影響を受け引き起こされます。
交感神経は筋肉に入り込み、血管に巻き付いています。
この神経が緊張し、興奮することにより筋肉にコリが生じ、血管を締め付け血流が悪化します。
それにより痛み物質が作られ、痛みを感じるようになります。
このことが「頭」で起きますと頭痛となるわけです。
コリや血管の締め付けによるものですから「ぼんやり」と痛いという頭痛になります。
そして、ストレスを感じている間は、交感神経の興奮も続きますので、長引く頭痛となります。
緊張型頭痛が、ぼんやりとした、締め付け感のある痛みが長く続く、理由はここにあります。
この緊張型頭痛と片頭痛が一緒になりますと、なかなか厄介なことになります。
片頭痛発作により激しい痛みを感じ、それが治まったと思うと、その後にぼんやり締め付けられるような頭痛が続くという状況になり、頭痛が「終わらない」という感じになります。
このように混合型頭痛は辛い頭痛といえます。
〇混合型頭痛には鍼灸がお勧め
片頭痛にはトリプタン系のお薬が効果的ですが、緊張型頭痛には決め手になるお薬があると言えないのが現状です。
また、頭痛が長引くことにより、痛みを避けようとお薬を毎日、飲むことが起きることもあります。
これは薬物乱用性頭痛を引き起こす可能性があります。
そこで鍼灸がお役に立ちます。
鍼灸は片頭痛と緊張型頭痛のどちらにも作用することができます。
片頭痛発作の原因は、はっきりとしていませんが、脳血流の問題や脳で作られるセロトニン量の問題であることは分かってきています。
手や足のツボに鍼をしますと、その刺激が脊髄を通り脳に伝わります。
刺激を受けた脳は、血流量やセロトニン分泌量を改善するように動いていくことも分かってきています。
これにより片頭痛の発作にならないようになっていきます。
これらのことは埼玉医科大学の山口先生の論文に「Arterial spin – labeled MRI を用いた鍼刺激前後の脳血流評価」があり、鍼刺激が脳血流量を増やすと示されています。
緊張型頭痛は交感神経の興奮により筋肉のコリや血流の悪化により生じます。
鍼灸により筋肉のコリを取り除き、血流を増やすことで、緊張型頭痛は生じなくなります。
また、鍼灸を続けることによりストレス対応力が上がりますので、緊張型頭痛を引き起こすこともなくなってきます。
緊張型頭痛に対する鍼治療として、ミュンヘン工科大学内科II補完医学研究センターの
「緊張型頭痛に対する鍼治療」などの論文があります。
また、近年では、緊張型頭痛と片頭痛を明確に分けることがなくなってきています。
これは、脳における「痛み過敏」が共通してあることがはっきりしてきたからです。
鍼灸には、脳の過敏性を元に戻す作用もあります。
このようなことから、混合型頭痛に鍼灸をお勧めすることができます。
これらのことは、慶応大学医学部の「鍼灸の作用機序に関する科学的根拠の確立と神経内科専門医と連携した鍼灸活用ガイドラインの作成」や2014年の全日本鍼灸学会のセミナー「頭痛に対する鍼灸治療の効果と現状」などで解説されています。
長引く頭痛でお悩みのあなたにこそ、鍼灸を選択して頂ければと思います。