PAGE TOP

【腰部脊柱管狭窄症】大阪府、50代 男性、鍼灸治療のケース

2013年8月13日9:20 AM カテゴリー:症例,腰部脊柱管狭窄症

腰部脊柱管狭窄症のへ鍼灸治療、計8回で回復

今回の症例は腰部脊柱管狭窄症となった男性のケースです。

腰部脊柱管狭窄症による一番困っていることは「100メートルも歩くと、足がしびれ、休まないと歩けなくなる」ほどの症状。
カウンセリングを行い、計8回の施術を行うと、問題の症状の痛みもなくなりました。

今までの経過

昨年の初めごろから腰痛を感じるようになった
痛みはそれほどではなかったので、そのまま様子をみていた
その後、左足がしびれるようになってきた
座っているときは何も感じないが、長い時間、立っていると腰が痛くなってくる
歩いていると腰から足にかけて痛みやしびれが起
何もなく歩ける距離がだんだんと短くなってきた
途中、休憩すると、また歩くことができるが、すぐに痛くなってくる
休日に自転車を押して歩くと何ともない


来院当日の状態は最寄り駅の大阪市営地下鉄の心斎橋駅から、ここまで来るのに、途中、2回休憩しながら来られました。

痛みはだんだんと激しくなっているようで、耐えられない様子でした。歩くのが不自由なので仕事がはかどらず困っているとのことでした。簡単な検査をしましたが椎間板ヘルニアを示唆するものはありませんでした。
 
安静にしていると痛みやしびれは出ない様子でした。排尿や排便には問題がありませんでした。前かがみでは痛みが生じなく、後ろに反り返ると痛みが生じました。

触ると、腰椎の4番、5番の辺りにもやもやとしたものや関節の違和感を感じました。


初回の治療とその後の施術について

うつ伏せになってもらい、大腰筋という腰の奥深くにある筋肉の緊張を緩める鍼をしました。直径0.30ミリ、長さ90ミリの鍼を左右に3か所ずつ刺しました。他に、直径0.24ミリ、長さ60ミリの鍼を腰椎の4番、5番のすぐ際に左右2本ずつ、腰の筋肉に左右3本ずつ刺しました。
 
このままの状態で、約30分間寝てもらいました。
その後、すべての鍼を抜き、凝り感や違和感が感じられるところに、直径0.24ミリ、長さ60ミリの鍼を用いて、丹念に取り除いていきました。

・治療後
腰の痛みや違和感がなくなり、すっきりした感じになっていました。歩くと痛みやしびれがきつくなるのは、実際に、歩いてみないと分からないので、何とも言えないとありました。

ただ、久しぶりに楽という感じだったようです。最初の内は、治療間隔を詰めてきてもらうようにしました。
4回目までは、週に2回のペースで通院して頂くように伝えました。

2回目~4回目の鍼灸治療(腰部脊柱管狭窄症)

前回の治療の後、痛みを感じずに歩ける距離が長くなっていました。治療法は初回と同じにしました。

・治療後
治療の回数を重なれるごとに、しびれや痛みがなく、歩ける距離が長くなってきていました。

痛みやしびれの感覚もだんだんと薄れてきていました。4回目に来院された時に、心斎橋駅からここまで休まずに、痛みや、しびれも無く来れたとのことでしたので、治療間隔を週1回に変更しました。

5回目~8回目の鍼灸治療(腰部脊柱管狭窄症)

5回目の治療の後、出張があり、新幹線で新大阪駅に戻ってきた時に、疲れたから歩くと痛みが出てきたようです。ただ、すぐに痛みは消え、違和感だけになったようです。

治療法、初回と同じですが、大腰筋に刺す鍼の本数を左右1本ずつに変更しました。8回目に来院された時に出張から大阪に戻ってきても、痛みやしびれが出なくなったとありました。
また、日常生活レベルでは、ほとんど障害が無くっていましたので、8回目の治療で、一旦、終了としました。



施術者の感想

画像診断を受けておられないので、何とも言えませんが、腰部脊柱管狭窄症と推定されます。
推定した根拠は以下の通りです。
腰部椎間板ヘルニアの検査が正常
座っていると痛くないが長時間立っていると痛くなってくる
歩くと症状がひどくなり、少し休むと、楽になり、また歩けるがすぐにひどくなる
前かがみで楽になり、後ろに反らすと痛くなる
自転車を押して歩くと何ともない
上の症状は、典型的な腰部脊柱管狭窄症の症状です。
 
椎間板ヘルニアによる坐骨神経痛では、腰を前屈させますと、坐骨神経が引っ張られ、痛みやしびれが増します。脊柱管狭窄症では、後屈すると腰骨と腰骨の間が狭くなり、痛みやしびれが増します。

このため、前かがみなりますと腰骨の間隔広がり、楽になるわけです。前かがみで休憩したり、自転車を押していると楽なのは、この理由によります。腰の深くにある大腰筋という筋肉の近くには坐骨神経が通っています。この患者さまは、腰部脊柱管狭窄症により、腰の筋肉全体が緊張していました。大腰筋の緊張で、坐骨神経を締め付けることによっても、痛みやしびれが生じます。

腰骨の間が狭くなり神経を圧迫して痛みや、しびれが生じるだけでなく、腰の筋肉の緊張で神経が締め付けられ症状がひどくなることがあります。この患者さまは、この例でした。
 
大腰筋の緊張を取り除く鍼と腰椎の圧迫感を改善する鍼をすることにより、しびれや痛みの解消につながりました。背骨と背骨の間には、椎間板と呼ばれる軟骨があります。この軟骨は水分が70%を占めています。加齢とともにこの水分が失われ、椎間板が薄くなった状態が、腰部脊柱管狭窄症といえます。

椎間板が薄くなっても、症状が出ないこともあります。これは周りの筋肉が支えになっているからです。背骨自体は、筋肉がなければ、プランプランしたものです。筋肉があってこそ、背骨はその役目を果たせるといえます。

鍼灸治療が、この病気に有効な理由はここにあります。鍼灸治療により、筋肉の緊張を取り除き、バランスを整え、背骨を上手く支えるようにすることができるからです。

筋肉のサポートにより、背骨が狭くなっていることによる神経への圧迫を軽減することができます。また、神経の周囲の血流が悪くなっても、しびれや痛みが生じます。筋肉の緊張は血流を悪化させます。

今回の例でも、腰の筋肉の緊張が著しかったので、その可能性は十分にありました。そこで、腰の筋肉全体の緊張を取り除く、鍼治療も加えています。


東洋医学からの視点

今回の例では、西洋医学も東洋医学も考え方は同じです。緊張や圧迫あれば、それを取り除くと治るという考え方です。

これを古代の医師たちは、「通ぜずは痛む」、「通じるは痛まず」といます。もちろん、代表的なツボはありますが、それよりも緊張、圧迫の強いところ丁寧に探し、そこの鍼を刺し、それらを取り除くことが、より重要になります。

宜しければ記事のシェアをお願い致します。

診療時間のご案内 トップページへ戻る
2022/12/9
2021年 妊活鍼灸の振り返り ー症例と総括ー
2022/12/3
2021年妊活鍼灸の振り返り4 ―症例―
2022/9/23
2021年妊活鍼灸の振り返り3 ―症例を中心に―
2022/4/17
2021年妊活鍼灸の振り返り2 -症例を中心に-
2022/2/14
2021年妊活鍼灸の振り返り1 -緒言と症例-
2021/11/30
2020年 妊活鍼灸の振り返り -症例と総括-
2021/4/21
2020年妊活鍼灸の振り返り ―症例を中心に―
2021/2/12
2020年妊活鍼灸の振り返りー緒言と症例ー
2020/1/7
2019年 妊活鍼灸の振り返り ―その3― (症例とまとめ)
2020/1/5
2019年 妊活鍼灸の振り返り ―その2―(症例を中心に)
>>もっと記事を読む
診療時間のご案内 当院アクセスマップ
トップページへ戻る

カテゴリ別記事

過去の記事

※免責事項:掲載された事例や患者様の体験談は個人の感想や成果によるものなので、全ての人への効果を保証するものではないことと御理解ください。施術による効果には個人差があります。