2013年10月18日6:14 PM カテゴリー:
うつ病
うつ病は鍼灸で治るのか??
治りやすいうつ病もあり、治り難いうつ病もあるというのが、正直なところです。
これは、うつ病が自律神経失調症と異なり、その成り立ちが複雑であることによります。また、原因も現在のところはよく分かっていません。
西洋医学では、病気の成り立ちや原因が分からないと治療は難しくなることがあります。鍼灸医学では、その辺りのことが不明であっても、治療することはできます。
しかし、病気の成り立ちが複雑であれば、やはり、治療は難しくなります。絡み合った糸も2本であれば、解きほぐすのも簡単ですが、3本、4本と多くなれば、解きほぐすのに時間がかかるのと同じです。
鍼灸で治りやすいうつ病とは?
うつ病の中でも、肩こり、腰痛などのからだの症状を伴う場合は、比較的治りやすい傾向にあるようです。
その中でも、首の凝りは、うつ病と密接に関係があるとされています。マスコミによく登場される松井先生がみつけられ、一般に「頸性うつ」と呼ばれています。正式には頸性神経筋症候群とされています。
うつ病の90%と診断されている頸性うつ
この「頸性うつ」は、実のところはうつ病とは異なりますが、うつ病と診断されている約90%がこの病気ではないかといわれています。
「頸性うつ」を含め、肩こり、腰痛などがありますと、その慢性の痛みや不快感が自律神経を乱し、自律神経失調症となり、そこから、脳の神経の可塑性が生じたり、脳におけるホルモン不足が生じたりし、うつ病へと移行することがあります。
痛み、からだの不快感、神経の可塑性、ホルモン不足など複雑に絡み合いうつ病を形成しています。
そして、痛みはストレスの中でも強烈な作用を持っています。痛くて眠れないということを経験されたり、聞かれたことがあると思います。
痛みというストレスは、神経の可塑性には大きく影響しています。また、血流にも影響するため、脳内のホルモンをつくる働きにも関わりがあるといえます。
鍼灸治療によるうつ病改善のメカニズム
鍼灸治療で、その痛みやからだの不快感を取り除きますと、非常に大きな障害を取り除けるわけです。
これによりうつ病の改善が進みます。
この大きな障害を取り除くことができますと、神経の可塑性の改善、不足しているホルモンを作り出すことなども、大きく進展するからです。
治り難いうつ病も確かに存在する
肩こり、腰痛などのからだの症状を伴わないうつ病は、治り難い傾向にあるようです。
これは、肩こりや腰痛などのからだの症状を取り除くことが、脳に対して大きなインパクトになり、脳の状態が一気に変化し、うつ病の改善が進みます。
肩こり、腰痛が無ければ、そのような状態を作り出すことができず、地味に神経の可塑性、ホルモン不足を改善していく必要があるからといえます。
鍼刺激で脳の神経に対し、「現在の状態は間違っている」ことを教え、次に「正常な働き」を教えていき、神経の可塑性を改善します。
これには、やはり時間がかかります。
また、不足しているホルモンを作り出すようにも、鍼刺激で教えていきますが、やはり、時間がかかります。
そして、問題は、からだの症状を取り除くのと違い、患者さまも、鍼治療の過程において大きな変化を感じられません。
何か、大きな変化を感じれば、未来へ希望が生まれ、そのことがさらに良い方向へと向かい、良い循環が起こります。
しかし、無ければ、うつに対しての悪い関心が高まり、悪循環が生じます。
からだの症状を伴わないうつ病の鍼治療では、ここが一番のキーポイントになります。
すなわち、眠れるようになった、食欲が少し出た、食べ物がおいしく感じられたなど、少しでも良い変化があれば、そこに焦点を当て、希望を感じることが大切になります。
地味な治療が長く続きますので、難しい対応だとは思いますが、治すには大切なことになります。
うつ病の鍼治療における注意点
うつ病で心療内科などにかかり、お薬が出ている場合は、急に飲むのを止めたり、減らさないでください。
いろいろな問題が生じることがあるからです。
鍼治療をしますとお薬の効きがよくなってきます。これは血流の改善により、お薬の成分の吸収が良くなるからです。
必ず、かかりつけ医と相談しながら、薬を減らしてください。
かかりつけ医に、鍼治療を受けていることは、言える環境であれば言ってください。ただ、まだまだ、医師の中には鍼治療に偏見を持たれている先生もいますので、その際には無理に言う必要はありません。
からだの変化、お薬の効きの変わり方などを伝えれば、それに応じて投薬内容も変化します。
そして、最終的にはお薬を飲まなくてもよいという状況に持って行けます。
うつ病の鍼治療では、大切な点になります。特に、からだの症状を伴わないうつ病では大切になります。
うつ病の治り方は本当に人それぞれです。
うつ病が治っていく過程は、いろいろです。ただ、一直線上に良くなっていくことはありません。
必ず、良い時期、悪い時期の波が生じます。
良くなってから悪くなった際には、最初より悪くはなっていませんが、ショックが大きく、尾を引くことがよくあります。
ここをどう乗り越えるかもポイントになります。スポーツや勉強におけるスランプと同じで、次のステップアップに必要なものともいえます。
この点を理解して頂くことも、うつ病の改善に必要なことです。