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ストレスに負けずに妊活を乗り切る

2017年10月27日8:18 AM カテゴリー:お勉強,不妊鍼灸

仕事をしながらも、妊活のことが頭から離れず、ついつい合間にネットで「不妊」に関するキーワードを検索してしまう。

忙しい仕事の合間に病院に通い、誰にも相談できずに、悶々とする日々を過ごしていませんか?

ストレスが不妊の原因になると言われても、どうすればストレスが無くなるのか分からない。趣味を持つ時間もないし、たとえ趣味をしていても、不妊治療のことが頭から離れない…。

そこで不妊鍼灸の専門家の私が、ストレスによる悪影響を取り除き、妊活を乗り切る方法と、ストレスに対する妊活鍼灸の効果をご紹介します。


ストレスの影響を正しく理解しましょう

様々なストレスを感じると、あなたの腎臓の上にある、帽子のような形をした副腎という部分から、コルチゾールというホルモンが分泌されます。

(東大医学部付属病院HPより)

コルチゾールは、人間がまだ狩猟生活をしていたころ、外敵と戦うために利用していたホルモンです。そのためコルチゾールの働きが強くなると、不妊傾向が強くなってきます。外敵と戦っているときに、妊娠をしている場合ではないからです。

現代社会では、生命の危機に瀕するようなことはありませんが、それでもホルモンやからだの働きは、大きく変わることはありません。

仕事や不妊治療のストレスが、外敵と戦った時のようなからだの状態を作り上げ、仕事をすればするほど、不妊治療をすればするほどストレスが大きくなり、不妊傾向が強くなってしまいます。

あなたが強いストレスを受けたとき、脳の視床下部からの指令で、副腎からコルチゾールが分泌されます。コルチゾールは、一般的には「副腎皮質ステロイド」と呼ばれている、抗炎症ホルモンです。このコルチゾールは、コレステロールから生成されています。

コルチゾールの生成に大量のコレステロールが使われるため、コレステロールが原材料になる、他の物質の生成が阻害されます。それが、同じステロイド骨格の分子構造を持つ、エストロゲンやプロゲステロンです。

女性ホルモンであるエストロゲンやプロゲステロンの作られる量が減れば、不妊傾向が強くなってしまいます。

コルチゾールが副腎から出て困ることが、もう一つあります。副腎からコルチゾールが分泌されると、同じ副腎からDHEA(デヒドロエピアンドロステロン)という物質も放出されます。

DHEAは、コルチゾールの分泌で起こる負の働きを抑えるため、体内のバランスを取る働きをしてくれています。

さらにDHEAは、様々なホルモンの前駆体(元になる物質)です。DHEAから作られるものに、女性ホルモンであるエストロゲンやプロゲステロンがあります。

DHEAやコルチゾールの分泌は、ストレスが掛かった時だけではなく、ストレス体験を思い出すだけでも起こります。あなたには、仕事や不妊治療のストレスが、絶えることなく訪れます。すると、コルチゾールやDHEAも、絶え間なく分泌されます。

このコルチゾールやDHEAの過剰な分泌により、いずれ副腎は疲れてしまいます。副腎が疲れた状態を、副腎疲労症候群と呼びます。

副腎疲労症候群になると、副腎の疲れのせいで、女性ホルモンの元になるDHEAが分泌されなくなるため、より不妊傾向が強まります。

ストレス対策のご紹介

最もお手軽なストレス対策は、適度な運動です。単純なようですが、かなり効果的な方法なのです。

あなたにストレスが掛かると、副腎からコルチゾールが分泌されることは先ほどご説明しました。このコルチゾールは、全身を循環して様々なところに影響を与えます。

その一つが、ストレスが最も影響を与える脳です。脳の扁桃体は、情動活動を司る部分です。この扁桃体は、コルチゾールの影響で、細胞が委縮することが分かっています。

扁桃体が萎縮すると、偏桃体から分泌される物質にも影響を与えます。偏桃体からは、やる気ホルモンと呼ばれるドーパミンが分泌されていますが、このやる気ホルモンが分泌されにくくなります。

ドーパミンが減ると、鬱症状が出ることが分かっています。不妊治療のストレスから、うつ病になる可能性もあるのです。

適度な運動は、委縮した偏桃体の細胞を再生することが分かってきました。そこで、お手軽にできる運動をすることで、ストレス対策やうつ病予防ができます。

【適度な運動とは】

・息が切れず継続できる運動強度
・時間は20~30分程度

特別にフィットネスクラブに行かなくても、できると思いませんか?例えば、通勤の時に少し足早に歩いてみるとか、休みの日に少し足早に買い物するとかで十分です。

これで、せっかく揃えたオシャレなジャージを、無駄にすることもありません。こんな簡単な運動でも、脳の細胞を復活させる効果があるのです。

鍼灸治療のご紹介

鍼灸刺激は、末梢神経を通じて知覚の中枢である視床に伝わります。視床から入った刺激は、情動活動の中枢である扁桃体や、記憶の中枢である海馬、生命活動や生殖活動の中枢である視床下部に伝わります。

強いストレスや繰り返し訪れるストレスは、扁桃体だけでなく、海馬に記憶されることで、辛いことを思い出してはストレスを感じるという負のループを作ります。

こうした負のループから抜け出し、元の正常なストレス処理をするような脳の働きを鍼灸治療で取り戻す効果が確認されています。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27812501
(鍼灸治療が偏桃体に影響してうつ状態を改善するという論文)

また鍼灸刺激は、視床下部に働きかけ、生理周期を安定化させたり、妊娠しやすいからだを作ります。ストレスに対する効果だけではなく、直接的に妊娠力の向上にも働きます。

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