苦労して数個から数十個の卵を凍結し、全て移殖したけれど結果が出なかったというあなた。
これからリスタートを切るというあなたには、是非知って頂きたいことがあります。
【リスタートは大きなチャンス】
当院に来院される方の約4割程度の方は、既に採卵済みの卵を凍結保存している方です。
凍結済みの卵を持っている方の場合、胚移植のために鍼灸治療をするということになります。
胚移植に向けた鍼灸治療の場合、子宮内の免疫環境を整えるような鍼灸治療が主な目的となります。
卵自体は既に採卵していますので、卵の質や精子の質は変えることができないためです。
着床後から妊娠8週間程度までは、卵の質が最も重要な要素を占めていますので、その部分を変えることができないのは、妊娠成立という点からすると少し不利な条件です。
ところがこれから採卵をする方の場合、卵の質や精子の質を改善することができるため、大きなアドバンテージになります。
これから質の良い卵を作って採卵するため、良い精子を作るために、鍼灸治療を大いに活用して下さい。
【良い卵や精子を3か月かけてじっくり作る】
卵や精子の成長には、約3か月程度かけると理想的です。卵や精子に、十分な栄養や酸素を運ぶことで、質の良い卵や精子を作ることができます。
良い質の卵を作るためには、血液中に十分な栄養素を含む必要があるため、消化吸収を良くする鍼灸治療や、血液循環を良くする鍼灸治療も加えます。
また子宮と精巣の静脈は、左側だけ腎臓の静脈に直交する形で接続するため、血行障害が起こりやすい構造にあります。
そのため腰部(腎臓)の血流を促す治療も取り入れて、積極的に血液の環流量を増やしていきます。
女性ホルモンの分泌調整も重要ですので、生理周期を整える鍼灸治療も行います。
卵巣の中では、ホルモンが複雑に変化をしながら卵胞を成長させ、卵の質を変化させています。
こうした健康的な生理周期を整えるのは、ホルモン剤頼りではなく、自力で整える必要があります。
自分の力で調整する能力があるからこそ、薬を使った時にその働きが増強されるのです。
【鍼灸を受けるタイミング】
鍼灸治療は、自然な卵を育てる力や排卵する力、精子を作る力を高めるために行いますから、できれば週1回程度で継続的に受けて頂きます。
週1回の鍼灸治療であれば、生理周期を整える働きもありますので、体外受精や顕微授精に関わらずタイミング療法や人工受精でも受けて頂けます。
生理周期を整えておけば、刺激周期に入った時に卵巣はしっかり働くことができるようになります。
また採卵後は、素早く卵巣の炎症を抑えるために、鍼灸治療を受けて頂き、胚移植に備えて体調を整えます。
採卵前後は、できれば少し頻度を増やしても良いと思います。最大で週2回程度の頻度があれば、あらゆる事態に対して対処ができます。
採卵時のOHSS(卵巣過剰刺激症候群)の予防にもなりますので、できれば採卵前後はしっかりと鍼灸治療を受けて下さい。
いざ胚移植の時には、胚移植の当日に鍼灸治療を受けて頂くと、妊娠率は高まります。
胚移植当日の鍼灸治療を受けて頂くには、少しコツがあります。
・移殖時間に余裕がある方は、胚移植の2~3時間前に受けて下さい。
・胚移植の時間が朝や夕方など決まった時間の場合には前後どちらでも構いません。
・移植に対する不安感が強い場合には、移殖を受けた直後にご来院下さい。
・全く初めての人は移植前に来院して下さい。
胚移植の前後どちらに受けていたいても、あまり効果には大きく影響は与えません。
一般的には、鍼灸治療は移植前に受けるところが多いようですが、当院では、移植後の鍼灸治療でも同様の効果を挙げています。
病院によっては、朝10から移植と決まっている病院もありますので、その2~3時間前というのは現実的ではありません。
時間はあまり意識することなく、あくまでも移植の前後1日程度と思っていただいて結構です。
移殖当日1日のみという方の場合には、少し前に来院された方が良いと思います。