妊娠に対する考え方はその人次第
不妊治療や妊活など、赤ちゃんを授かりたい気持ちは同じでも、妊娠や出産に至るまでの考え方は、多種多様です。
そのため、できるだけ自然に妊娠をしたいという人から、できるだけ早く妊娠するためには方法を選ばないという人まで、色々な形があります。
それを、夫婦以外の人からあれこれ言われるのは、どうも納得がいかないという人は多いはずです。不妊治療や妊活の現場にいる私も、その意見に賛同します。
ただ専門病院の医師の中には、それを良しとしない医師も多く、体外受精の選択を渋る女性に対し、
「あなたは何をしにここに来ているの?」
と言う医師まで存在します。それが、女性の味方を売りにしている女性医師で、しかも自分自身が不妊治療を経て出産をしているというのですから、現場の医師と患者との意識の差は大きいと思って良いでしょう。
この女医は、恐らく自分が経験したからこそ、価値観が凝り固まってしまったのだと思います。体育会系の、スパルタ教師と同じ精神構造です。
そこで、理想の妊活を実現するために、あなたが何に拘っているのかを考えてみましょう。そうすることで、あなたが選ぶべき選択肢が見えてくるはずです。
とことん妊娠への道のりにこだわる
あなたが妊娠までの道のりに拘るのなら、一度とことん拘って考えてみましょう。先ずは、病院に通うか通わないかの選択です。
もし病院に通うなら、病院選びをしなくてはいけません。その後、病院で受ける治療の選択が必要です。次に、病院に通わずに妊活をするなら、病院以外でできる妊活の選択をする必要があります。
勿論、何もしないという選択もありです。何もしないなら、妊活に関する情報は一切求めずに、成すがままに生活をすれば良いと思います。
病院に通うか通わないかの選択
妊活や不妊治療の分かれ目は、病院に通うかどうかが一番の分かれ目です。病院では、あなたが妊娠や出産に至らない原因を探ることができます。
ただ、決定的な原因を見付けることができるかどうかは、実際のところ分かりません。多くの人は、原因が分からないままですし、原因と思われることが複数見つかり過ぎて困ってしまうこともあります。
決定的な原因ではないにも関わらず、可能性だけで不妊治療を開始するため、夫婦関係がギクシャクすることも多々あります。
また同じ方向を向いて不妊治療をしないことで、離婚に至る例も数多くあります。私自身も、患者さまが離婚に至る例は、何度か経験しています。
そんな中、方針が決定したカップルには、次の選択が必要になります。
病院選びに拘る
病院の選択は、大きくは2種類です。その後、更に多くの選択肢に分かれます。
最初の選択肢は、町の産婦人科に通うか、体外受精まで可能な専門クリニックに通うかです。町の産婦人科では、タイミング指導や投薬がメインになりますが、病院によっては人工授精まではできるところもあります。
一般的には、最終的に体外受精を選ぶ気があるかどうかや、最初は待ちの産婦人科でタイミング指導を受け、それでもダメなら専門病院に通うという方法が取られます。
そして、徐々にステップアップをしながら、気持ちが許せば体外受精まで行うというパターンが一般的ではないかと思います。
私は個人的な感想としては、先ず高度医療も行える専門病院で、検査だけを受けることをお勧めしています。そうしないと、結局は2度手間になってしまい、貴重な時間とお金を無駄にする方が多く見られるからです。
検査をした上で、必要最小限の医療を受けるというのが、理想的なように思います。
病院での治療に拘る
病院での治療は、検査結果に基づいて行われますが、病院によっては検査も満足にしないまま、ルーティーンで投薬を行う病院もあるため注意が必要です。
先ずは、原因をしっかりと突き止める姿勢が医師にあるか、あなたのことをしっかり把握しようとしているかを感じて下さい。
あなたと目も合わせずに、検査表だけ見ているような医師は、あなたを満足させることはないはずです。あなたとしっかり向き合ってくれる医師を選ぶことは、何よりも大事です。
複数医師がいる場合にも、自分の考えと病院の方針が合うかどうかは、しっかり質問をすることで分かります。質問をするのさえ緊張するような病院なら、あなたの拘りを実現するのは無理だと思います。
もし担当医師のブログや掲示板などがあれば、出来るだけ詳しく見てから受診して下さい。できれば、「いつも見ています。」と一声掛けてから、診察を受けてみて下さい。
初診時にきっかけを書く欄があれば、必ずそのことは書いて下さい。あなたの治療方針を見て、共感したから受診したと伝えると、あなたにとってプラスのことは多いはずです。
病院での治療は、
原因に対する手術や治療と、
妊娠できない原因が、関係なくなるような生殖補助を行います。
例えば、卵管が詰まっていれば、FT(卵管鏡下卵管形成術)という手術を選択されることがあります。これは、
卵管閉塞という原因に対する手術ということになります。
これを違う方法で解決するのが、体外受精になります。体外受精では、卵管を卵が通る必要も、精子が卵管を通る必要もありませんので、卵管閉塞という、
妊娠できない原因は関係なくなります。
また投薬の方法や、体外受精のオプションなどは、病院や医師によりかなり違いがありますので、しっかり説明を聞いて選択することになります。
その場合も、できれば病院以外で、私たちのように、治療内容や選択を相談できる場所があれば良いと思います。
病院以外での妊活
妊活は、妊娠を目指して行うからだ作り全般を指しますので、その殆どは病院以外で行われます。つまり、妊活は、あなた次第で大きく変わるのです。
ネット上には、あまりにも多くの情報が溢れていますが、妊活には特別な方法はありません。いかに健康的な食事を摂り、健康的な生活をして、タイミングを多く取るのかにかかっているといっても過言ではありません。
「妊活は王道を行け!」というのが、実は最もシンプルかつ、早く結果が出る方法なのです。
タイミングに拘る
タイミングに拘ると、多くのカップルは失敗率が高まります。それはタイミングを図ることで、性交の機会が減り、神経質になることで性欲が著しく減退する人が多いからです。
「タイミングは、多ければ多いほど良い。」を目指して、できるだけ多く取りましょう。それがどうしても無理な人は、排卵日の手前に集中してタイミングを取りましょう。
排卵のタイミングを知るには、排卵検査薬が用いられますが、ある程度正確にタイミングを図るためには、1周期に複数回検査薬を使う必要があります。
更に正確にタイミングを取るには、生理周期を整える必要があります。生理不順気味な方は、予め生理周期を整える努力をして下さい。
またタイミングを多く取ると、子宮筋の働きが良くなったり、子宮内の免疫状態が良くなることで、着床しやすく流産しにくい状態を作ることができます。
<参照記事:
タイミング法にとことんこだわる【究極の自然妊娠補助】>
食事+サプリメントに拘る
妊活において、食事への拘りは賛否両論あります。あまりにも食事に拘り過ぎて、神経質になってしまい、返って良くないこともあります。
妊活をしている人で、インスタント食品ばかり食べているという人はいないでしょう。ただ案外多いのは、栄養不良の女性です。
元々やせ型にも関わらず、粗食や糖質制限、玄米食などの雑穀米を主とした食生活をしていると、栄養不良で不妊傾向が出ることもあります。
特殊な状態の人(肥満や耐糖能異常の人)を除けば、普通の日本食であれば問題ありません。もう少し拘るなら、タンパク質多めの食事にして、ビタミンやミネラルだけをサプリメントで補うことです。
酵素飲料などは必要ありません。酵素はタンパク質(アミノ酸)ですから、体内で合成すれば良いのです。必要十分量の栄養素が入っていれば、その人に必要な酵素群は、自分の力で作ってくれます。
生理学や化学に詳しい方なら分かるはずですが、似非科学に騙されないように、食事はシンプルに摂って下さい。ビタミンやミネラルのサプリメントも、必要最低限で結構です。
妊活に効果があると、しっかりエビデンスがあるのは、耐糖能異常や肥満の方に対する糖質制限と、地中海食と言われる、魚介類多め、野菜果物多めの食事で妊娠率が高まるくらいではないでしょうか。
妊活において、根拠のある食事療法は案外少ないもので、大半は効果も怪しいものだと知って頂きたいと思います。
運動に拘る
運動は、目的により強度や種類が変わります。例えば、ストレス解消で行う分には、軽めで息が切れない程度で良いと思います。
肥満傾向がある方で、積極的に運動で妊活をする場合には、かなりの強度で運動をした方が妊娠率は上がります。強度としてはかなり高く、いわゆる筋トレなども追い込む程する方が良いとされています。
栄養療法の専門家などは、あまり熱心に運動をすると、栄養が筋肉の合成に使われるためお勧めしないと言いますが、先程も書いたように、肥満傾向の方ならかなりハードな運動が良いという実証がされています。
鍼灸に拘る
鍼灸治療には、沢山の流派や考え方があり、一口に不妊鍼灸と言っても、かなり考え方や効果に違いがあります。その上で言うとすれば、やはり妊娠を数多く経験している鍼灸師の元に、通うべきだということです。
できれば、西洋医学にも詳しく、特に不妊専門病院の情報や、生殖医療に詳しい鍼灸師の元に通って下さい。あなたにとって、病院以外に不妊治療に詳しい人が身近にいるということは、妊活を続ける上で、非常にプラスになります。
あなたが治療法に迷った時や、病院では聞けないことに遭遇した時に、明確に答えてくれる人がいると、妊娠にかなり近付くことは確かです。
また治療の方法で言うなら、鍼通電はある程度エビデンスのある方法ですが、その反面、施術レベルの低さを、パルス通電で誤魔化す傾向があります。
しっかり知識や技術に自信がある人が行うと、安定した結果を出すことは間違いありません、特殊な鍼の方法は、その人次第といったところがあります。
刺さない鍼や、極端に少ない鍼は、治療技術が伴わないと、パルス通電よりも更に効果が低くなります。パルス通電は、知識や技術が無くても、ある程度は効果が挙がりますが、刺さない鍼は全く効果がありません。
恐らく、かなり弱いプラセボ効果程度の効き目になるはずです。できれば、しっかりと刺してくれる方が、ムラなく結果が出るはずです。
漢方薬に拘る
漢方薬は、いわゆる刻み薬という煎じて飲むタイプと、パッケージ化されて、病院で処方されるもので大きく違います。
漢方薬は、理屈だけで言えば、その人の体質に応じて処方されるため、同じ症状でも体質により薬が違うはずですが、病院で処方される場合には、殆ど同じ処方がされています。
メジャーなところでは、温経湯や当帰芍薬散が多いようです。個人的には漢方薬に苦い思い出があるため、積極的にはお勧めしていませんが、処方薬なら最低限だけ飲んで、定期的に血液検査を採って頂いています。
漢方薬は、からだにやさしいイメージがあるようですが、薬ですので副作用もありますし、場合によっては不妊傾向が強まることもあります。
そのため、血液検査を採りながら、常に効果と副作用を調べながら飲む必要があります。
まとめ
拘るというのは、何も
拘らなくてはいけないということではありません。あくまでも、「
拘っても良いのではないですか?」ということです。
逆に、
拘らないという拘りもアリだと思います。妊活は、あなたが思うがままに、ストレスを溜めずに行うのが一番だと思うのです。
そうした相談をできるところが、「大阪の東心斎橋」にはあるというお話でした。