兵庫県の患者様:耐えられない頭痛の痛みをどうしても治したい!
片頭痛というのはいつもの頭痛から急に耐えられなくなるほど痛みが出る症状でもあります。
今回ご紹介する症例では仕事のストレスなどが関連して片頭痛になられた女性の方のケースです。
片頭痛になるまでの経過は下記の通りです。
・2週間ぐらい、仕事が忙しく、帰宅時間が午前1,2時という日が続いた。・締め切りに間に合わせなくてはいけないという緊張感が職場全体にあり、息を抜けない状態で、仕事をしていた。
・職場のピリピリ感が伝わり、少しイライラしながら仕事をしていた。
・緊張感と睡眠不足から、からだ全体が凝っている感じがし、疲労感を常に感じていた。
この後、仕事が一段落し久々にのんびり食事と睡眠を取ったようです。
ただ患者様もこのような時に、よく片頭痛になることを気にしていたため、出来る限り休息の時間が取りたかったようでしたが翌日会社へ向かうと出勤途中から、だんだんと頭痛がひどくなり、耐えられなくなってしまったとのことでした。
来院当日の様子と初回治療
来院当日は頭痛はかなりひどいようすで、顔を少し、しかめながら来院されました。
また左目の奥が重たい感じで、手足も少し冷たく、頭痛が広がっている様子でした。
実際吐くことはなかったのですが、吐き気もあり肩や首の筋肉の緊張も特徴的です。
初回治療では手、足のツボ5か所に、直径0.16ミリ、長さ15ミリと直径0.18ミリ、長さ30ミリの鍼を刺しました。
短いほうの鍼は緊張しているツボに、長いほうの鍼は緩んでいるツボに刺しました。「気」や自律神経の乱れを整えた後、30分ほどそのままの状態で寝てもらいました。
治療後「頭痛が解消しました!」
初回の治療後は 左目の奥の重い感じは少し残っていましたが、頭痛は解消されました。
また治療後のカウンセリングで今後のことなどをお話している間に、徐々に目の重みも感じなくなってきたとのこと。
施術を行った私の考えとしては肩凝り感はありましたが、典型的な片頭痛と言えます。
痛みはひどく、耐えられないご様子でしたが、ご本人も、「いつも頭痛」と仰っていますので、あまり心配はいりません。患者さまご自身の考えは、意外に正しいものです。
この患者さまは、締め切りのある仕事が一段落した安心感とゆっくりとお風呂に入られたことが、片頭痛の引き金になっています。
緊張感のある仕事は、交感神経を興奮させます。これにより血液の流れが悪くなります。この状態が長く続きますと、血管の太さもそれに適応して、若干細くなります。手、足の冷え、肩こり感などは、ここから生じています。
緊張感から解放され、リラックスしますと、今度は、副交感神経が活動し、血液の流れが多くなります。更に、お風呂に入りますと、筋肉が緩み、血流が多くなります。この2つのことから、急激に血流が増え、それにより、血管が広がります。
血管に巻き付いている神経は、急激な血管の広がりに対応できず、引っ張られてしまいます。 神経が急に伸びるために、「痛み」が生じます。
この患者さまの場合、このようなことから片頭痛となりました。睡眠時間中は、副交感神経が活発に活動しますので、朝起きたら頭痛を感じたわけです。
夜遅く食事をし、入浴をして睡眠をとっておられますので、胃が食べ物をきちんと消化できず、胃をコントロールしている神経が興奮したことにより、吐き気が生じたようです。
この神経は片頭痛の原因となる神経の近くを通っていますので、お互いにに影響しあった可能性もあります。鍼治療は、興奮している副交感神経を押さえることを中心にしました。緊張しているツボがそれに当たります。緩んでいるツボは、緊張感が続いたことによりエネルギー不足となっているツボです。
この患者さまの場合は、吐き気があっても、胃腸状態が日ごろから悪くありませんでした。
この点が、上手くいった理由の一つでもあります。
ストレスから、「よく食べる」ということがあります。これにより、胃腸状態が悪くなりますと、食べたものをすっきりと消化しきれなくなり、胃に負担がかかり、胃を支配している神経の興奮が続きます。
この状況で、片頭痛になりますと少し厄介です。胃腸症状も同時に解決しないと、すっきりと片頭痛から解放されないからです。
片頭痛を起こす血流の多さは、一時的なものですが、胃腸症状は長い時間をかけて作られたものです。それを改善するのに、ある程度の時間はかかります。
東洋医学からの視点
この患者さまの場合は、緊張感が続いたことにより、「肝」が興奮したようです。東洋医学では、「肝」が働くことにより、集中してテキパキと仕事ができるとしています。
ただ、働くにはエネルギーが必要です。働きすぎますと、そのエネルギーから「熱」が生じます。この熱を、「うつ熱」と呼びます。
「うつ熱」も熱ですので、上へあがる性質があります。頭へと昇り、そこに蓄積されていきます。
熱が上に、上がることにより、手、足などに熱が不足し、冷えを引き起こします。また、顔、頭に熱があるため、違和感があり、痛みもあり、しかめっ面になります。
蓄積された熱は、そこで、「火」に変化します。これを、「うつ熱化火」と呼んでいます。「火」という状態ですので、その持っている力は強いものがあります。それが頭で暴れているのが片頭痛ということです。片頭痛の痛みが、激しくなりやすいのは、ここにあります。
また、「肝」は「伸びやか」な状態を好みます。ストレス状態を嫌います。ストレスから解放されリラックスしますと、「肝」も動きます。この「肝」の動きは、頭に蓄積されている「火」の状態をさらに、活発化させ、痛みが生じます。
リラックスしますと片頭痛が起こる理由となります。
良い面、悪い面、両方から「肝」が働き、痛みを作っていることが理解でき、痛みが激しい理由も分かります。
また、「肝」は常に胃や脾という消化器系に圧力をかけています。ストレスがかかると食欲がなくなってくるのは、このことによります。
片頭痛で、吐き気をよく伴うのは、ここにあります。
この患者さまの場合は、ストレスから「うつ熱」が生じ、そこから「火」と変化して片頭痛になったと考えられます。鍼治療は、うつ熱や火を取り除くことと、それにより弱ったところを回復させることを目的としておこないました。