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【低体温症】大阪府、50代 女性、鍼灸治療のケース

2019年2月12日6:04 PM カテゴリー:低体温症,症例

低体温症へ鍼灸治療、計26回で回復

今回の症例は低体温症となった女性のケースです。

低体温症による一番困っていることは「低体温で痛みや呼吸困難で月に2,3回、夜中に救急車で病院に行くこと」。
カウンセリングを行い、計26回の施術を行うと、問題の症状の痛みもなくなりました。
・今までの経過
若い時からの低体温症
50代になってから、仕事などが忙しくなると疲れが取れなくなってきた
疲れがたまるとからだ全体が痛くなり、場合によっては呼吸困難になる
呼吸困難が長引くと死にそうになり、救急車で病院に行き、2,3日入院すると治る
また、息がしずらくなったらと思うと寝れなくなることもある
仕事だけでなく、友人との付き合いでも頑張るため、疲れがひどくなり、痛みもある
体温が34度を割ると全身に痛みが生じ耐えられなくなる
震えがひどくなると過呼吸となり、からだの冷えも加わり、何もできなくなり、入院することがある
胃腸が弱く、むかつきや、お腹が張って苦しくなる
鍼灸による施術でどうなることがベストかをカウンセリングすると「普通に生活できるようになりたい」とお伝えされました。

低体温症へ初回の鍼灸治療とその後の施術について

来院当日の状態は顔の血色が悪く、青ざめた感じでした。

全身、特に、肩甲骨周辺の痛みが激しいとの訴えが強くありました。体温は35度で少し息をしにくそうにされていました。

手足は冷たく、胃の具合も悪く、少し食べたが吐きそうなので、途中で止めたとのことでした。

初回の治療ではうつ伏せになってもらい、首から肩、肩甲骨の周囲の凝りがあるところ、左右6か所ずつに、直径0.20ミリ、長さ39ミリの鍼を刺し、約15分間そのままで寝てもらいました。

その後、すべての鍼を抜き、凝りが残っているところに、もう一度同じ種類の鍼を刺し、丹念に凝りを取り除きました。
次に仰向けになってもらい、からだ全体の血流の改善を図るツボ、息をしやすくするツボ、胃腸の働きを改善するツボなどを選択しました。

合計4か所のツボに、直径0.16ミリ、長さ15ミリの鍼を刺し、「気(エネルギー)」の調整をし、約30分間そのまま寝てもらいました。途中1度、気の状態を確認し、さらに調整しました。これにより、血流や神経の働きを改善するようにし、体温も上がるようにしました。

・治療後
からだ全体に温もりを感じられ、痛みもなくなっていました。息もしやすく、胃の具合も改善されていました。

週に1回のペースで通院してもらうことにしました。

低体温症へ2回目から8回目の鍼灸治療

治療後は快調になり、仕事もよくはかどっておられましたが、週末には疲労感からか体温が下がる傾向でした。ただ、鍼治療をしてから救急車を呼ぶほど、ひどくなることは無いようで、同じ治療を続けました。

・治療後
体温が34度を割ることはなくなってきました。仕事量やストレスなどで、胃腸が悪くなったり、痛みが出ることはあるようでしたが、全体的には、改善の傾向にありました。

低体温症へ9回目の鍼灸治療

朝方に急に気温が下がったせいか、過呼吸になり、自分で呼吸を工夫し、収まった後、心配で、早めに来院されました。からだ全体の痛みもありました。朝から何も食べていないのに、お腹も張っていました。

初回と同じ治療から凝りを丹念に取り除く方法は中止しました。鍼の後に背中、16か所に温灸をしました。

・治療後
息をするのが楽になり、痛みも消えていました。お腹の張りもなくなり、空腹感が出てきていました。

温灸を気に入られ、今後は、今日と同じ治療をして欲しいとありました。

低体温症へ10回目から16回目の鍼灸治療

体温が35度割ることは無くなってきていましたが、痛みやお腹の張りは有ったり、無かったりという感じでした。治療は9回目と同じで、進めました。

・治療後
鍼治療をしてから、夜中に救急車を呼ぶことは全くなく、うれしいとのことでした。からだが楽になったことで、仕事を頑張り過ぎ、疲れがたまり、痛みや、胃腸の具合が悪くなる傾向でした。

また、気温が下がると、まだ、息苦しさや痛みが激しくなっていました。体温自体は安定していましたが、気温の変化についていけない様子でした。

低体温症へ17回目から25回目の鍼灸治療

夜間に病院に行くことが無くなり、大阪市内の病院の看護師さんから「大丈夫?元気にしている?」と心配の電話を貰ったとありました。治療は9回目と同じです。

・治療後
仕事を頑張りすぎても、対応できるようになってき、痛みは少なくなってきていました。ストレスからか、胃腸の具合は悪くなることが、時々ありました。

気温が下がっても、からだの状態が悪くなることは無くなってきました。

低体温症へ26回目の鍼灸治療

9回目と同じです。

・治療後
前回の治療の後、この年1番の寒さがありましたが、何事もなく過ごされていました。体温も徐々に上がり、36度台で過ごす日が多くなってきていました。

痛みや胃腸の具合も安定してきましたので、今回で、一度終了し、様子をみることにしました。

〇現在、低体温症は解消しています。

仕事をし過ぎ、ストレスから、からだ全体に痛みが生じ、内科の先生に線維筋痛症と診断され、その治療に、また、鍼治療をと通院されています。

施術者の感想

低体温症は、厳密にはからだの中心部の温度が35度以下の場合をいいます。

低体温症の人体図
この患者さまの場合は、からだの熱を作る力が落ち、体温が低くなっていました。気温が急激に下がると、体温も下がり、厳密な意味での低体温症を引き起こしていたようです。気温の変化にかなり左右されていましたので、体温調節がうまくいっていなかった可能性もあります。

体温が下がり始めた時の調節は、主にからだの震えと皮膚の血管の収縮(鳥肌が立つ状態)により行われます。震えにより、熱を作っています。体温が35度以下まで下がりますと、からだは緊急事態と判断します。緊急の際にからだを活性化させる物質を分泌し、末梢の血管が縮こまり体熱が逃げないようにします。また、筋肉が震えて熱を作ります。

血管が収縮していますので、震えとともに、全身の痛みも生じます。この患者さまも初回の時が、このような感じでした。

血流が悪くなることから、呼吸をコントロールする神経の働きも、鈍ります。息苦しさや、場合によっては、過呼吸におちいるのもこのためです。

今回の例でも、よく見られていました。体温が30度近くまで下がりますと、さすがに鍼灸治療でというわけにいきません。ただちに専門医への受診が必要になります。

この患者さまの場合は、下がっても34度台で、緊急を要す症状は出ていなかったので、鍼灸治療ができました。からだの熱を作る働きが落ちていたのと、体温調節がうまくいっていなかったのが、この患者さまの原因のようでした。

血流が悪いことにより、肩こりや痛みが生じていましたので、まず、凝りや痛みを取り除き、物理的に血液が流れやすくしました。次に、手足のツボから脳へ刺激を与え、体温調節を正常にしたり、からだが熱を多く作れるようにもっていきました。

体温調節やからだの熱を作る働きも、「機能」ですので、鍼灸治療は、意外に効果があります。鍼刺激により、乱れている機能や信号のやり取りを正常化することにより、改善されていくわけです。

急激な温度変化についていかれずに、体調が悪化した際に、温灸を加えましたのは、お灸の熱で体を温めることと、免疫力を上げることを目的にしました。この患者さまの場合は、低体温が続き、血流が悪化し、免疫力も落ちていたようですので、効果的でした。また、患者さまご自身も、温灸が気に入られたということで、更に、効果があったようです。

鍼治療を始められてからは、1度も夜間に救急車を呼び、入院することなく過ごされていますので、少しはお役に立てたのではと、思っています。

東洋医学からの視点

低体温症は、一言で言いますと「陽気不足」になります。

よく鍼灸や漢方で「気」という言葉が出てきます。この症例紹介サイトでもよく使っています。さまざまな「気」があり、一言で説明するのは不可能です。今回は低体温に応じた「気」として説明しています。

気には大きく、陽気と陰気があります。陽気は活動している状態、陰気は活動を助ける物質といえます。からだの活動が低下しているために、十分に熱を作ることができず、低体温を引き起こしたというところです。

この患者さまの場合は、低体温といえども、からだの活動を助ける物質は十分にあったので、鍼灸治療がよく効きました。食べられないこともありましたが、普段はきちんとした食生活を送っておられ、栄養面では問題が無かったということです。

ストレスや過労により、得ていた栄養をうまく生かすことができず、熱が作られず低体温になっていたわけです。鍼灸治療で、得ていた陰気(栄養源)を上手く変化させ、陽気(活動エネルギー)を増やし、この症状を改善していきました。

陰気に偏っていたからだの状態を、陰気を陽気に変え、陽気を増やし、そのバランスを平衡にしていったわけです。

「熱」という面から、陰気と陽気をみますと、陰気は「寒」で、陽気は「熱」となります。からだに陰気が多いことは、「冷え」を意味しています。体温も必然的に下がってきます。

このようにからだのバランスの乱れは、低体温だけでなく、さまざまな病気を引き起こします。このバランスの乱れによる病気には、鍼灸治療は特に効果を発揮できます。

実際のお客様の声:【低体温症】大阪府、50代 女性、鍼灸治療のケース

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