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【アトピー性皮膚炎】大阪府、30代、女性、鍼灸治療のケース

2013年5月13日5:53 PM カテゴリー:アトピー性皮膚炎,症例

大阪府の患者様:15歳からの湿疹を改善したい!

湿疹が出始めると皮膚が痒くなり、我慢できずどうしても掻いてしまいます。
それが更なる悪化につながるとわかっても、あの痒さは我慢することが難しい。
今回の症例の女性は15歳の時に湿疹が出始め、次第に広がりアトピー性皮膚炎とまで悪化したケースでした。
施術時にヒアリングしたところ、アトピーによるもので下記の症状が発生したとのことでした。

・学校で体育の後、汗をかくと痒みがひどくなり耐えられなかった。
・受験の前に緊張すると痒くなり、試験中に集中し難かった。
・社会人になってからも、プレゼンなどで緊張すると、よく痒くなる。
・ストレスからも痒くなり、掻いてはいけないと思いながらも掻き、出血することがある。
・皮膚科でステロイド外用剤を出してもらい、塗っているが、あまり症状に変化がない。
・スキンケアにも心がけ、乾燥しないように、清潔にしているが、なかなか上手くいかない
・社会人になってから、肩こりを感じるようになり、また、最近は腰痛も感じることがある。
・最近になって、今まで、正確だった生理が時々、乱れることがある。
・食事にも気を使っているが、疲れたり、イライラすると甘いものを食べ過ぎ、痒くなることがある。
・今は、顔には出ていないが、顔もなったらどうしようかと思うことがよくある。
・常に、清潔にと言われ、衣服や部屋も清潔にしなければならないという思いが強くある。
・長くステロイド剤を使っているので、不安。

施術前に鍼灸による効果で一番期待したものは「湿疹が消えきれいな肌になりたい。」
症状を改善するためにも、鍼灸治療を行うことになりました。

来院当日の様子と初回治療

肌は乾燥気味で、触れると多少、熱っぽく感じました。手や足を中心に肌が、赤みを帯びた状態で、皮膚から少し盛り上がったブツブツ状の赤味が強い湿疹が見られました。

よく掻くせいか、カサブタがところどころにありました。ストレスがかかると痒くなるようでしたが、それがないと痒みは生じないとのことでした。最近、肩こりがひどくなったようで、首や肩の筋肉の緊張が強くありました。

腰痛もあるようでしたが、腰の筋肉の緊張はそれほどでもありませんでした。何事もやり始めると集中し、素早く、きちんとする性格とのことでした。


初回の治療ではまず、肩こりを解消することを目的に、うつぶせの状態で、首と頭の付け根、肩、背中に、直径0.20ミリ、長さ30ミリの鍼を左右に7本ずつ刺し、約15分くらいそのままで寝てもらいました。
次に、仰向けで、皮膚のバリア機能を高める目的とストレスの解消を目的とするツボを5か所選択し、直径0.20ミリ、長さ15ミリの鍼を刺し、全身の調整をした後、30分くらいそのままで寝てもらいました。

その間、1度、全身の調整具合を確認し、必要な個所の調整をしました。


治療による効果を実証

今回のケースでは半年の期間で定期的に施術を行いました。
下記が施術時の都度の効果となります。
初回の治療後 肩こり感はかなり解消していました。皮膚の赤味はかなり薄くなっており、熱っぽさも消えていました。

・2回目~11回目の治療

初回と同じような治療をしました。肩こりに関するアプローチは大きく変わりませんが、全身の調整のツボは、毎回、異なりました。ただ、ストレスに関係するツボは、左右どちらを選択するかの違いでした。

肩こり感は、鍼治療するごとに良くなっていきました。腰痛も感じなくなったとのことでした。
湿疹の数も少なくなり、赤みも薄くなってきました。
 

12回目の治療

順調に改善されていましたが、生理が少し遅れたことと、仕事のストレスとが重なり、かなりイライラしたようで、痒みがひどくなり、掻きむしったようです。掻いたという罪悪感から、ストレスがよけいにひどくなり、症状が悪くなっていました。
肩こり感はあまりありませんでしたので、全身の調整をする鍼治療のみとし、ストレス緩和のツボを多く選択しました。
直径0.20ミリ、長さ15ミリの鍼を7か所のツボに刺し、「気」の流れを整え、そのまま50分程度、寝てもらいました。その間に、1度、確認をし、更に「気」が良く流れるようにしました。

治療後の症状は、11回目終了時と同じ程度までに回復しました。イライラや罪悪感などは消えており、すっきりとした感じを取り戻したとのことでした。

13回目~21回目の治療

肩こり、腰痛はほとんど感じなくってきていましたので、アトピー症状だけに焦点を絞り治療しました。
 
治療後は肌の赤味は、ほとんどなくなり、湿疹も減ってきました。また、肌の潤い感が戻ってきました。
ストレスを感じてもかゆみは生じることもなくなってきました。
同時に、生理の周期も安定してきました。

21回目~27回目

アトピー性皮膚炎は症状が良くなったり、ひどくなったりを繰り返しやすいので、月に1,2回のペースで、定期的に通院してもらいました。

約半年ほど観察し、症状は改善され、安定してきましたので、一旦、終了しました。



院長による今回のケースの施術感想


今回の患者さまは、アトピー性皮膚炎の重症度から言いますと、中等度でした。
 
アトピー症状が、受験前、プレゼン前など、ストレスを感じられると悪くなっていました。
ストレスを解消したり、強くなるような鍼治療も加えたのが、効果的のようでした。この方法は、「もし、顔にアトピーが出たら。」という恐怖感も同時に解消できます。
 
今回のように、アトピー性皮膚炎では、肩こり、腰痛を伴うことはよくあります。

この患者さまの場合は、テキパキと物事をこなすタイプですので、交感神経が緊張しやすい傾向にあります。
交感神経の過緊張は、血液の流れを悪くし、筋肉を固くします。また、社会人になり、デスクワークとなったことは、筋肉の緊張を引き起こします。

これらのことにより、肩こり、腰痛が生じてきたと、考えられます。

アトピーの治療しながら、このような症状を取り除くことは、大切なことです。

肩こり,腰痛などを感じ、憂鬱になりますと、アトピー症状が悪化することはよくあるからです。
 
この辺りが、アトピー性皮膚炎の治療の難しさともいえます。
 
この患者さまの場合、肌が赤みを帯び、熱っぽかったことから、からだに「熱」が余っている状態です。「熱」には、物質を動かす力や正常な働きを乱す力があります。
 
社会人になり、学生時代よりストレスを感じることが多くなり、この熱の力がそこに上乗せなる状態が続いたことが、生理不順を引き起こしたと考えられます。
長年のアトピーによる「熱」が生理不順を生じさせたとも「肝」す。
 
アトピー症状だけに焦点を絞り、鍼をしても、生理不順が解消されたのは、このようなことによります。
 
アトピー性皮膚炎は症状が良くなったり、悪くなったりすることがよくあります。
今回のように、改善されても、定期的に通院しコントロールすることは大切なことです。




東洋医学からの視点

今回の患者さまは、からだに余った「熱」が、皮膚から出ようとしてアトピー性皮膚炎になったといえます。熱を持ったアトピーですので、肌が赤みを帯びたり、熱っぽかったりし、また、湿疹も盛り上がり赤かったわけです。

この患者さまの場合、何かやり始めると集中し、テキパキと行うタイプです。このような方は、「肝」の働きが強い傾向にあります。
ただ、働きすぎますと、オーバーヒート状態となり、「熱」を持つようになります。この熱が、時間とともに多くなりますと、「肝」はそれをどうにもできなくなります。

そして、熱が溜まり、大きなエネルギーとなり、外に出ようとしたのが、今回の事例といえます。
東洋医学では、からだをバランス論として考えます。今回のように、「熱」が多く作られ、それを回収できず、外に出ますと、当然、からだの熱は、アンバランスになります。

からだの熱がアンバランスになったことにより、筋肉に行く熱が不足し、肩こり、腰痛が生じたといえます。
凝りや痛みは、筋肉が固くなったものですから、最初に、そこに鍼をし、それを緩めました。

その後、全身の調整をする鍼により、凝り、痛みの部分に「血(栄養源)」を送りますと、すでに緩んでいますから、抵抗なく「血」、即ち、「熱」を取り込めます。これにより、凝り、痛みが改善されます。
最初の10数回の鍼治療では、あまった「熱」を全身に回すことを目的にしました。余った熱といえども、からだにある大切なエネルギーですので、循環させ、本当に必要なところに運んだわけです。
これにより、からだのエネルギー不足が改善され、全体的に元気になっていきます。

12回目の治療時は、ストレスが重なり、急激に悪化したこと、これまでの治療で、からだの力が戻っていることなどから、余った熱を放出する治療をしています。
この方法も「古典医学」に基づいた方法です。体力が十分にあるときは、大変、有効な方法で、「切れ」のある治療法です。

13回目以降は、もともとアトピーを引き起した原因である「肝」の興奮を抑える治療が中心となっています。この方法で、生理周期も安定したのは、「肝」は子宮と密接に関係があるからです。
生理不順を問わず、女性の病気に関しましては、必ず、この「肝」の調整をします。

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