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【めまいと頭痛、肩こり・腰痛】大阪府在住、60代女性、鍼灸治療の例

2017年8月3日10:22 AM カテゴリー:めまい,症例

めまいを中心とした頭痛、肩こり・腰痛へ鍼灸治療:患者さまの感想「おかけでめまいと、腰痛から解放されました」

肩こりや首のこりより、めまいが起こることがあります。このような場合は、耳鼻科を受診しても、「異常がない」といわれることが良くあります。

今回の患者さまもそのような例です。

このような形でめまいや頭痛などに苦しんでいる方のために、今回の症例をご紹介します。

〇来院されるまでの経過

・めまいが2~3週間、続いている
・疲れがひどくなると、めまいが起こるような気がする
・耳鼻科を受診したが異常なし、気のせいでしょうと言われた
・最初はびっくりした
・頭の中に「うに」が入っているような感じがする
・頭痛が起こり、次にめまいが起こる
・右側の股関節のあたりに限局した痛みがあったが、ふくらはぎのほうへ移動した
・7年前に大腸がんになり、がんは治ったが、腰痛と背中の痛みがなかなか治らない
・最近、大阪に引っ越してきた
・座っていて、立ち上がる際にめまいが起こることが昔はよくあった
・血圧、上:110、下:70
・肩こりがありマッサージに行くが、モミ返しを起こしやすい
・鍼治療は初めて

初診時の考え

血圧が比較的低く、立ち上がる際にめまいは、起立性の低血圧によるものと考えられます。

また、大腸がんが治った後も、背中や腰の痛みが続いていますので、痛みストレスがかかり、交感神経の過緊張を引き起こしたようです。

交感神経は、筋肉に入り込んでいますので、この神経が興奮しますと、筋肉も緊張し、固くなっていきます。

このことにより、肩こりや頭痛、足の痛みなど、いろいろな痛み、こり感が生じてきたと考えられます。

首や頭の筋肉が緊張しますと、頭を締め付けるために頭痛が起こります。

首頭の筋肉が緊張することで生じる頭痛ですので、頭へ行く血流が悪くなります。

脳の血流悪化により、めまいが生じることはよくあります。

血液不足で、一過性に酸欠となり、ふらふらするからです。

今回の患者さまは、疲れるとめまい、頭痛がするとめまいが生じることから、上のような原因でめまいを起こしている可能性があります。

 

めまいへの鍼治療と変化の記録

初回の鍼治療

うつ伏せの状態で、肩・首に左右4か所ずつ、腰に左右2ヶ所ずつ、直径0.18ミリ、長さ40ミリの鍼を、約7ミリ程度刺し、そのままの状態で15分ほど寝てもらいました。

その後、すべての鍼を抜き、こり感が残っているところに、ゆっくりと鍼を刺し、こりを取り除きました。

次に仰向けの状態で、血圧をコントロール、脳への血流を良くするツボを足から5か所選び、直径0.16ミリ、長さ15ミリの鍼を使用して、5ミリ程度刺しました。

鍼を刺した後、神経や血流に働きかける操作を行い、20分程度、寝てもらいました。

その間、1度、体の状態を確認し、鍼の操作を加え、より効果が出るようにしました。

治療後、肩こり感、頭痛、腰痛はすっかり消えており、気持ちが良いと仰っていました。

 

2回目の鍼治療

初回の鍼治療の後、頭痛はなくなったとありました。腰痛と肩こりは、まだ、少し残っている感じということでした。

肩・腰に対する鍼治療は、前回と同じようにしました。

頭痛がすっかりと消えているということでしたので、神経や血流に働きかける鍼治療を少し変えました。

頭痛に対し効果的なツボを除き、腰痛・肩こりに対し効果的なツボを加えました。

使用した鍼、鍼の操作、鍼治療の時間などは、初回と同じです。

鍼治療後は、腰痛・肩こりと感じなく、すっきりとしているということでした。

 

3~5回目の鍼治療

頭痛に関してまったく起こらず、めまいもしなくなったと仰っていました。

写真を撮るのが趣味で、カメラ・三脚を担ぎ、遠方まで出かけるので、首の痛みや、肩こりは、その都度に感じるとありました。

コリに対するアプローチを増やしたいと思い、少し鍼治療を変化させようとしましたが、刺激に敏感に反応されたので、前回と同じ鍼治療を行いました。

鍼治療の後は、首の痛みやこり感は全くないと仰っていました。

 

6,7回目の鍼治療

風邪をひかれ、胃腸炎にもなったとありました。

首、肩、腰に対する鍼治療は、前回と同じです。

胃腸炎や風邪に対する、鍼治療を加えました。

使用しました鍼は、直径0.16ミリ、長さ15ミリの鍼です。

手や足のツボから、風邪に効くツボと、胃腸炎に効果的なツボを3か所選択し、鍼を刺し、炎症を抑える操作を鍼にしました。

2回の治療で、風邪、胃腸炎ともにすっかり良くなったとのことでした。

 

8,9回目の鍼治療

頭痛やめまいを起こすことは全くなくなり、腰痛もすっかり良くなったとありました。

ただ、肩こり感は、あったりなかったりということでした。

鍼治療は、初回と同じです。

治療後は、すっかり良い、これが続いてくれればということでした。

 

10回目の鍼治療

肩こり感以外の症状は、何もなくなったということでした。

カメラや三脚を担いで、写真を撮りに遠方へ出かけることが多いので、肩こり感は起きることがあります。

他の症状は全て、消失し、日常生活に支障をきたすことが、まったくなくなりましたので、今回の鍼治療で、一応、終了としました。

 

担当鍼灸師の感想

今回の患者さまは、もともと、起立性低血圧を持っていらしたようです。

また、大腸がんは完治したようですが、その後、背中や腰痛が続いていました。

このような場合における、背中の痛みや腰痛は、がんの再発によるものではないと確実に判断できるまでは、がんの再発を考える必要性があります。

ただ、この患者さまに場合は、定期検診を受けておられ、異常はないということでしたので、安心して鍼治療ができました。

また、鍼治療によく反応され、背中の痛み、腰痛が比較的早く消失していますので、その点からも安心できました。

もし、がんによる背中の痛み、腰痛であれば、鍼治療に反応せず、痛みがなかなか消えないからです。

今回の突然起きためまいに関しましては、痛みが長く続くことにより、「痛み過敏」が生じ、交感神経の感緊張から起きたと考えられます。

また、首・肩のコリは、脳への血流を悪化させます。交感神経の過緊張はからだ全体の血液の流れを悪くします。

この2つに事により、脳へ十分に血液が往かず、酸欠状態になりめまいが生じたようです。

頭痛からめまいとなるのは、首・肩のコリや交感神経の過緊張により、まず、頭の筋肉が緊張し、頭を締め付け頭痛となります。

その後、血液が十分に脳に行き渡らない状態が生じ、めまいとなったと考えられます。

このようなことは比較的、よくあります。

西洋医学で検査をしても、異常が見つからないため、治療のしようがなく、困っている方が多いようです。

鍼灸治療の特徴としまして、西洋医学(現代医学)が苦手している症状に効果があることが多いというのがあります。

特に、神経や筋肉の働きに問題がある場合や、免疫作用に問題がある場合などに、その傾向が強く出ています。

今回の症例も、筋肉の緊張や、交感神経の過緊張により、脳への血流が悪化し、脳が一時的に酸欠状態になり生じたものと判断できます。

比較的早く、頭痛やめまいが解消したのは、上のようなことによると考えられます。

肩こり感の改善が一時的で、あまり効果が持続しませんでした。

これは、重い荷物をもって移動することが多く、筋肉が疲労を起こし、筋肉自体が硬くなってしまったことによります。

このような場合は、こりの中心点まで鍼を刺す必要があります。

今回の患者さまに、一度、そのような鍼の刺し仕方をしたのですが、刺激が強すぎたようで、中止しました。

筋肉のコリに軽く鍼を当てる方法で、鍼治療を進めましたので、鍼治療の後はコリがなくなったが、すぐにコリを感じるという結果を招いたようです。

このあたりのさじ加減は、正直、難しいところです。

刺激に関する感受性は、個人差が大きくあるからです。

緊急性のある場合は、「痛くても我慢してください」として、鍼治療を進めることはりますが、肩こりなどでは、患者さまと相談しながらとなります。

今回の場合は、その点について患者さまも納得された上で、鍼治療をしましたので、特に問題は生じませんでした。

腰痛に関しましては、筋肉自体に問題があったのではなく、交感神経の過緊張により引き起こされていたようです。

このような痛みであれば、軽い鍼刺激で十分、改善されていきます。

このように、同じような痛みやコリであっても、その成り立ちが異なれば、鍼治療の方法は異なります。

そこをどう判断して、鍼治療を進めていくかが、大切な点となります。

 

今回の鍼治療の作用

1.首の痛み・肩こり、腰痛

筋肉には、運動神経と交感神経が入り込んでいます。

運動神経により、私たちは筋肉を動かすことができます。

交感神経はストレス対応の神経でもあります。

この神経が筋肉の入り込んでいるのには理由があります。

古代の代表的なストレスは、猛獣などに出会った時です。

この際に、戦うか逃げるかを決めなければなりません。決めた後、すぐに体が動かないと、猛獣にやられます。

決めた直後、動けるようにと交感神経が入り込んでいるわけです。

ここから、肩こり・腰痛などは、筋肉自体の疲労から生じる場合と、ストレスから起こる場合があることが理解できます。

もちろん、両方から起こることも、よくあります。

鍼治療は、このどちらの状態にも対応することができます。

筋肉自体が疲労し、変化が生じコリや痛みがある場合は、そのコリや痛みのあるところに直接、鍼を刺すのが効果的です。

コリとは筋肉的には、筋肉が縮こまっているじょうたいです、緊張しているとも言えます。

この部分にダイレクトに鍼を刺すことにより、筋肉に軽い傷が生じます。

この傷に対して、からだの免疫物質が反応し、その傷を治そうと、そこに向かいます。

免疫物質が出向くには、血液が必要です。

コリの部分に鍼を刺すことにより、その場所の血流が増えることになります。

鍼刺激により神経に反射が起きますので、交感神経の興奮が収まり、そのことによっても血流が増えます。

これは、血管の壁に交感神経が入り込んでいるからです。

交感神経の緊張が取れることにより血管壁が緩み、血流が良くなります。

血流が増えれれば、筋肉は栄養されますので、緩むことができます。

食事をしたら、ゆったりとした気分になり、緩むのと同じです。

筋肉が緩めば、こり感は感じなくなります。

また、免疫物質が鍼による「傷」に作用することで、痛みが改善されるわけです。

鍼治療により、コリや痛みが取れるのは、このような働きによります。

交感神経の緊張だけでこり感が生じた場合は、手や足のツボに鍼をするだけで、こり感を取り除けます。

筋肉が疲労したりして凝った場合は、凝った筋肉にも鍼を刺し、緩める必要があります。

そして、両方の鍼治療が必要な場合もあります。

今回の患者さまは、両方の鍼治療が、必要でした。

 

2.頭痛からくるめまい

頭痛には大きく分け、片頭痛と緊張型頭痛があります。

ほとんどの場合は、緊張型頭痛です。今回の患者さまも、緊張型頭痛でした。

緊張型頭痛は、肩こりや首の痛みから起こることがよくあります。また、吐き気を伴うことはありません。

肩・首の筋肉が硬くなり、それが頭の筋肉にもおよび、頭の筋肉が硬くなります。

筋肉が硬くなり、頭を締め付けるので頭痛となるわけです。

今回の患者さまは、頭痛からめまいが生じています。

これは、首の筋肉が硬くなりますと、首から頭へ血液を送っている血管が圧迫され、血流が悪くなります。

頭の筋肉の緊張は、脳の表面の血管を圧迫し、血液の流れを悪化させます。

一過性に酸欠状態になり、めまいが生じたりします。

また、大腸がんの後、原因不明で背中の痛み、腰痛が続いたことにより、交感神経が緊張したままのようでした。

このことにより、自律神経の働きが乱れたこともめまいを起こす要因となっていたようです。

鍼治療により、硬くなっていた首・肩の筋肉を緩めたことにより、脳への血流が改善したこと。

また、自律神経の働きを改善したこと。

この2つの鍼治療の作用からめまいを解消できました。

このように鍼治療は、様々な原因から生じる症状に、同時に対応することができます。

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