混合型頭痛へ5回の鍼灸治療「頭痛が起こることがほとんどなくなりました!」
頭痛といっても、症状は様々で風邪のような単発的な痛みの他、慢性的に痛む頭痛もあります。
今回の症例の患者様は小学生の頃から頭痛に悩まされていました。
また頭痛が他の症状の引き金にもなっている様子。
5回の鍼灸治療による頭痛の緩和と、ボディコンシェルジュによる体の歪みから改善できた例を紹介します。
・今までの経過
15年位前からの頭痛持ちで内科クリニックで、混合型頭痛と診断される。
その後週1回、頭痛がする感じだったが、最近は、毎晩、頭痛がするようになった。
頭痛のせいかから肩こりから片頭痛となり、脈が打つように痛み、痛む所の感覚が鈍くなっている感じ。
また右の側頭部から頭全体に痛み、顔が痙攣するなどの症状も。
症状を和らげるために昼間は薬を飲むなどするが、夜になると頭痛と吐き気が起こる。
初回来院は夜の来院でしたので、頭痛がひどくなっているようで、憂鬱な感じでした。
頭痛の痛さとしてはドクドクと脈打つように痛みがあったようです。
また最近は、毎日の頭痛でよく眠れないようで、疲れている様子。肩こり感もあり筋肉の緊張も見られました。
混合型頭痛への鍼灸治療と施術後の状態について
初回の鍼治療
初回の治療ではうつ伏せの状態で、首、肩の凝り感の強いところ左右5か所に、直径0.18ミリ、長さ39ミリの鍼を刺し、約20分間、そのままで居てもらいました。
鍼治療が初めてでしたので、1回、1回、確認しながら鍼を刺しました。
その後、すべての鍼を抜き、凝り感がまだ残っている所に鍼を刺し、丹念に、優しくコリを取り除いていきました。
次に、仰向けになってもらい、片頭痛やからだに状態に応じたツボを4ヶ所選択し、鍼を刺しました。使用した鍼は、直径0.20ミリ、長さ15ミリです。
「気(エネルギー)」の調整をした後、約30分間、そのまま寝てもらいました。
治療後は頭痛は解消しており、肩凝り感もなくなっていました。
鍼治療も、思ったほど痛くもなく、気持ちが良い時もあったとのことでした。
2回目の鍼治療
新入社員として大阪市内の事業所に勤務されているので、忙しいせいか約2ヶ月、間隔が空きました。
頭痛がひどくなり、右の首から肩、腕にかけても痛く、我慢できないので、忙しい中、無理に来院されたようです。
うつ伏せの状態で、治療に、肩甲骨回りと腕のツボを4ヶ所選択し、加えました。使用した鍼は、初回と同じです。
次に、仰向けの状態で、初回の治療に、手のツボと頭のツボを加えました。使用した鍼は初回と同じです。
鍼の刺し方も、初回と同じですが、手のツボと頭のツボに「気」が行き来するような手法を加えました。
治療後は頭痛も腕の痛みも解消していました。
すっきりとしたいい感じの顔つきになっておられました。
3回目の鍼治療
今回は1週間ぶりでした。前回の治療後、右腕の痛みは感じないが、左の痛みを感じたようです。ただ、2日で痛みは消えたとのことでした。過去、マッサージで同じようなことがあったようです。
治療は前回と同じにしましたが、手のツボと頭のツボの「気」の行き来は、左右、同じになるように気をつけました。
治療後は頭痛、腕の痛みともに解消し、特に首と頭の付け根辺りのコリ感がすっきりとし、気持ちが良いとのことでした。
4回目の鍼治療
3か月ぶりの来院でした。前回の治療後、頭痛を感じることがほとんどなかったようですが、同僚が1人退社し、忙しく休みがなかなか取れず、来院できなかったそうです。
昨日、久しぶりに頭痛が起こり、ズキズキして痛くて耐えられなかった。今朝は、少しましになっているようでした。
右腕全体が鈍く痛み、ぼんやりとしびれもあると訴えられていました。
2回目と同じ治療をしました。また、特に、手と頭のツボの「気(エネルギー)」の行き来は、しっかりと調整しました。
治療後は頭痛はすっかり取れており、腕の痛みも改善されていました。
頭、首の疲労感や詰り感も取れていました。
5回目の鍼治療
4回目からの鍼治療から1週間後でした。頭痛は前回の治療後、全く起きないとのことでした。ただ、右腕に違和感と鈍い痛みが残っているとありました。
治療の考え方は、前回と同じです。ただ、前回、治療終了後に、ボディコンシェルジュという検査機で姿勢を分析しましたところ、からだ全体に大きな歪みがありました。
この歪みを矯正する治療を加えました。
治療後は腕の違和感や鈍い痛みは解消していました。治療後に立った時に、いつもよりすっと立っている感じとありました。
頭痛が起こることはほぼ無くなってきており、腕の痛みも改善されてきました。
今後も、体調管理のため、休みの日に来院したいとありました。
施術者の感想
前回の片頭痛の患者さまと同じように、片頭痛と緊張型頭痛を合わせた頭痛の患者さまです。
このような頭痛を混合型頭痛とか変容性頭痛と呼んでいます。近年、特に増えているとされています。頭痛の診断を難しくしている、要因の一つでもあります。
この患者さまは、内科クリニックで、混合型頭痛と診断されています。
この患者さまの場合は、毎晩、頭痛がしたり、腕の痛みや顔の痙攣などがあることから、緊張型頭痛の割合が強いかもしれません。
片頭痛は発作的に痛み、痛みが続いても2日間程度で、緊張型頭痛は1週間以上、痛みが続くことがあります。また、生理周期と頭痛とも関連が無いようで、このことも緊張型頭痛の割合が強いことを示唆しています。
2回目の治療時にからだを観察したときに、背中に蜘蛛状血管腫が多くありました。これは、古い血液と新しい血液の交換が上手くいっていないことによります。これにより筋肉の緊張が強くなり、コリが生じます。
仕事の忙しさとストレスにより、交感神経が興奮したままになり、血流が悪くなったからと考えられます。
この患者さまの場合は、からだ全体の姿勢の悪さが、更にそれを悪化させていたようです。
また、仕事が終わり、ほっとする夜になると頭痛がするのは、片頭痛の特徴といえます。
これらのことから、子供ころからの片頭痛持ちに、社会人となり仕事によるストレスや姿勢の悪さからくる筋肉の緊張による頭痛が重なったと考えられます。
そして、徐々に片頭痛より緊張型頭痛の割合が強くなってきたというところのようです。
頭痛より右腕の痛みが強くなってきたことからも、このことが窺えます。
右腕の痛みは、仕事でパソコンに入力する作業が続き、素早く作業しなければならないのが、原因のようです。
集中して、細かい作業を繰り返し行うことは、強いストレスであり、時間に追われればその度合いは強くなります。
また、交感神経の過緊張となり、筋肉のコリや血流の悪さを引き起こします。
これらのことを考えますと、初診時は混合型頭痛で来院されていますが、時間の経過とともに、いわゆるVDT症候群に移行していった感じです。
VDT症候群はパソコン作業などによる、腕の痛み、肩凝り、腰痛、頭痛などを総称した病気です。
2回目の治療以降に、手と頭のツボの「気」の行き来を重点的に治療しましたのは、このことによります。
この治療法により、この患者さまの主な訴えである、頭痛の改善が著しくなり、また、腕の痛みの解消にもつながりました。
東洋医学からの視点
今回、使用しました手と頭のツボは、ツボの流れとしてつながっています。また、このツボの流れと同じ属性のツボの流れが、足から頭へと走っています。
これらのツボの流れは、からだの側面を支配しており、座った状態で、パソコン作業などをする時に負担がかかります。
開き戸における蝶番の役割をしているとされるからです。特に、手のツボは、腕の真ん中を走り頭へと向かいます。椅子に座っている状態ですので、前後の動きはある程度固定されています。パソコンなどの入力は、大きくはからだの側面が主に動いて作業していることになります。
このことにより、からだの側面のツボの流れに負担がかかり、腕から顔、頭にかけて痛みが生じたわけです。
また、このツボの流れを支配している臓器は、判断や行動か正しいかどうかなどを決めるのに関係していると古典の医学では定めています。
この患者さまの場合は時間に追われながら、正しい判断を瞬時に行う作業が続き、腕の痛みや頭痛を引き起こしたと考えられます。
そして、このツボの流れを支配している臓器と表裏関係にある臓器は、筋肉の働きに強く関係するとしています。
また、ストレスに対応する臓器ともされています。
ベースにあった片頭痛に、この両方のツボの流れに影響を及ぼすことが重なり、複雑な症状を引き起こしたといえます。
鍼治療では、筋肉の緊張を取り除くことと、この2つのツボの流れを良くすることを主とし、上手く改善できました。
→
実際のお客様の声:【混合型頭痛】大阪市在住、20代女性、鍼灸治療のケース