不妊鍼灸はなぜ効くのか?
「不妊鍼灸はなぜ効くのか?」この質問に明確に答えることができる方は、今のところいません。
自分勝手な理屈を語る人は沢山いますが、それがエビデンスということになると、未だ実証されていないのが現状です。
ただエビデンスが完璧である医学の方が少なく、実証されたものを後で検証するというのは、西洋医学も同様ですから、今後研究者が解き明かしてくれることを期待します。
私自身はと言うと、ある程度「こういうものかな?」という考えはあります。
【鍼灸治療はからだと頭を繋ぐもの】
私が考える鍼灸治療の正体とは、鍼灸刺激が
頭とからだを繋ぐルートを作る作業をしているというものです。
これは、別に怪しげな理屈ではなく、東洋医学にも西洋医学にも通じる概念です。
生命の中枢である脳は、全身から送られる様々な情報を解析し、それに対応できるように、からだを変化させる命令を出しています。
これを妊活に喩えると、思春期になり赤ちゃんを身籠るだけの体力や生理的要素が整うと、初潮が起こります。男性の場合は、精通です。
女性の場合には、皮下脂肪がある程度の量になり、生殖器の機能が整う時期になると、皮下脂肪から分泌される、
レプチンと言うホルモンが、脳の視床下部に働きかけます。
視床下部は、レプチンを感じると、同じく視床下部からキスぺプチンと言うホルモンを分泌します。
更にキスぺプチンは、視床下部にGnRHというホルモン分泌を誘発し、そこから生理周期に必要なホルモン分泌が次々に起こります。
ここからは、このブログでも度々登場する、この図の通りです。男性の場合も殆ど同じですが、男性は脂肪細胞はあまり関係ありません。
こうした一連の流れは、脂肪細胞から分泌されるレプチンから起こりますが、もしレプチンを受取る受容体が働かないと、その時点で初潮は起こらないか、起こり難くなってしまいます。
からだが発した情報を、脳が受け取ることができるかどうかは、様々な要件が絡みますが、脳が正常に機能していないことや、脳に繋がるルートが、確立していないことが大きな原因になることは、間違いありません。
鍼灸治療では、こうした
からだから脳へつながるルートを、再構築することが大きな目的になると考えています。(逆のフィードバックもです)
つまり、鍼を皮膚に刺すと、刺されたという情報が脳に伝わります。これを繰り返すことで、からだから脳へ情報が伝わるということを、復習させているわけです。
ただ、「どこを刺しても良い」ということではありません。その時その時で、必要な場所に、必要な量を刺激することが大事なのです。
妊活の場合には、生殖器から脳へのルートを作るツボを刺激します。或いは、脂肪から脳や、筋肉から脳へのルートです。
それを体系的にまとめたものが、東洋医学(鍼灸医学)だと言えます。
昔の人たちは、何千年もかけて実験を繰り返し、特定のツボを刺激することで、脳が活性化して、再び正常なルートを作ることができる刺激点(ツボ)を見付けたのでしょう。
【ツボの刺激は丁度いい加減が大事】
一般的には知られていませんが、鍼灸治療は非常に多くの流派に分かれています。
その流派に属する人たちは、互いに自分のところが一番鍼灸を理解していて、一番いい治療法だと主張します。
ある流派では、鍼を皮膚に刺しません。皮膚に当てるだけの施術で、どんな人も治るはずだと主張します。
ある流派の人は、皮膚を傷付けて、血を出すことで治るのだと主張します。
ある流派の人は、鍼は響きが大事だから、しっかり患者が感じるほどに、時には苦痛で顔を歪めるほど刺激します。
当院の鍼灸治療はと言うと、そうしたものを全て受け入れています。というのは、刺激量や刺激の仕方は、その人により違うと考えているからです。
これは、その人の状態や体力、気力などで変えています。例えば、鍼が怖いという人に、強い痛みを感じるほどの刺激はしません。
こうした刺激量の違いは、その人のからだと頭が繋がるには、どの程度の刺激量が必要であるかを基準としています。
基本的には、怖がりで知覚過敏の人は、ごく軽い刺激で大丈夫ですし、痛みが長期間続いており、外部からの刺激に鈍くなっている人には、しっかり刺激する方がよく効くようです。
ある一定の刺激量や刺激法だけでは、様々な状態で来院される患者さまの治療はできません。(正確には、私にはできません)
あなたのからだと頭を繋ぐには、どの程度の刺激が必要なのかは、診て見ないと分かりません。
特に妊活は、ホルモン分泌や血流など、視床下部の働きが強く影響します。フィードバックと呼ばれる、情報の連鎖が正常に働くと、あなたの妊活は成功するはずです。
妊活に鍼灸治療が効果を発揮するのは、情報のやり取りをスムーズにする、鍼灸治療独特の効果のせいかもしれません。