「不妊治療で薬を貰ったのですが、その薬を飲んでからずっと吐き気や頭痛が止まりません。」
こういった相談はかなりの頻度でお聞きします。
不調を病院で訴えても、更に胃薬が出るだけで、薬をあまり飲みたくないのに、かえって飲む薬の量が増えてしまう。
こうした時には鍼灸を併用してみて下さい。
【不妊治療の投薬と副作用】
不妊治療の投薬で起こる重い副作用としては、OHSS(卵巣過剰刺激症候群)で起る、腹水や血栓症が有名です。
吐き気や頭痛、イライラなどは、命に別状はないものの、非常に高い頻度で起こりますので、症状が出た方にとっては辛いものです。
特に黄体ホルモンの補充や、高プロラクチン血症で処方される、ドーパミン製剤などで起こりやすく、日々こうした訴えを耳にします。
黄体ホルモンの補充で起こる、吐き気やイライラ、頭痛などは、月経前症候群で起こる症状と同じです。
そのため医師は、副作用というよりは、黄体ホルモンそのものの作用であり、黄体期の症状そのものであると考えています。
つまり、副作用ではないと考えている、いうことです。
またドーパミン製剤は、胃腸にドーパミンの受容体があることから、高い頻度で吐き気などの不調が出やすくなっています。
こうした胃の不調に、病院では、プロトンポンプ阻害薬などが処方されます。
プロトンポンプ阻害薬は、胃酸を強力に抑えるため、消化機能が制限され、小腸の粘膜障害が発生しやすくなります。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/manms/10/2/10_38/_pdf/-char/ja
<プロトンポンプ阻害薬は小腸の炎症を増強する 藤森 俊二 坂本 長逸 日本医科大学消化器内科学>
また胃酸での殺菌機能が低下した結果、雑菌が腸内へ侵入やすくなり、腸内細菌叢の変化などが出ることもあります。
こうした変化は、更に別の体調不良につながる可能性もあるため、注意が必要です。
【中には投薬のストレスによるものも】
消化器症状や頭痛などは、精神的ストレスの影響でも表れます。
投薬や不妊治療のストレスが元になって、胃腸のトラブルを発症することもあります。
こうした精神的なストレスが原因の吐き気には、投薬も効果を示さないこともあり、対処が難しくなります。
また妊娠を希望していることもあり、あまり多くの投薬自体ができなことや、投薬自体がストレスの元であることから、西洋医学では手の打ちようがありません。
【鍼灸治療の吐き気を軽減する効果】
鍼灸治療は、抗がん剤による吐き気の軽減にも利用されるくらい、胃腸症状には高い効果を示します。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25449310
こちらの臨床試験では、婦人科系の癌患者が抗がん剤による副作用を軽減するために、デキサメタゾンという抗炎症剤と鍼灸治療、デキソメタゾンと制吐剤(吐き気止め)の薬剤を用いた2パターンでの効果を比較しています。
制吐剤とデキソメタゾンを用いるよりも、デキソメタゾンと鍼灸治療の方が高い効果を認めたとのことでした。
またデキソメタゾンの量も少量で済み、鍼灸治療の高い効果と共に、他の投薬量を減らすという素晴らしい作用が見られました。
鍼灸治療は自律神経の調整をする効果と共に、精神的なストレスを軽減したり、悪い記憶として残さない効果があります。
不妊治療を受けている方は、勉強熱心な方が多いため、薬の副作用についてもよくご存知です。
副作用の知識があると、薬を飲む際に良くないイメージが最初からありますので、副作用が起こりやすくなります。
こうした負のイメージから起こる吐き気にも、鍼灸治療の抗ストレス作用や抗不安作用は効果を示します。
副作用が強い薬としては、最も有名な抗がん剤の副作用でさえ、鍼灸治療では軽減させることができるのですから。
お薬を飲むと色々な症状が出てしまうという方は、是非一度ご相談下さい。