【こんな人は甲状腺機能が低下かも?】
☑ 体温が低い
☑ 声が枯れる
☑ 意欲がわかない
☑ 便秘
☑ むくみが強い
☑ 脱毛
☑ 体重増加
☑ 皮膚の乾燥
☑ 生理不順
甲状腺は内分泌腺として非常に重要なものですが、一般的にはあまり認知されていません。
妊活とも深い関係がある甲状腺のお話をご紹介します。
甲状腺は、喉元にある内分泌腺で、甲状腺ホルモンであるチロキシン(サイロキシンともいいます)を分泌しています。
チロキシンの働きは、新陳代謝を上げることです。そのためチロキシンが増え過ぎると、新陳代謝が上がり過ぎて動悸や息切れ、痩せなどの症状がでてきます。
チロキシンが働きすぎる状態をバセドウ病といい、眼球突出や喉元の腫れなどの特長的な症状が出てきます。
ただ、今回ご紹介する甲状腺機能低下症では、目立つ症状があまり出てきません。
そのため見逃されたまま当院へ受診される方も多く、慌てて甲状腺専門医にご紹介することもあります。
【甲状腺機能と妊娠】
甲状腺機能低下症の方には、特徴的な血液像が見られます。それがTSHという数値の上昇です。
TSHは甲状腺刺激ホルモンのことで、甲状腺にホルモン分泌を命令するホルモンです。チロキシンは、脳の下垂体から分泌されています。
甲状腺からチロキシンが分泌されないため、それを感知した脳からの命令で、甲状腺にホルモン分泌を命令するために分泌されます。
逆にチロキシンが十分に出ていると、それを感知した脳からは、下垂体に命令が出ないためTSHは低くなります。
チロキシンは新陳代謝を上げるホルモンです。またTSHの分泌が多い女性は、卵胞の発育が悪く、排卵もしにくいことが分かっています。
また子宮内膜の受容性にも関係するようで、TSHが高い女性は、妊娠しにくく流産しやすい傾向があります。
つまり甲状腺機能と妊娠や出産は、非常に密接な関係があるのです。
【不妊専門病院でも見逃す場合が】
甲状腺機能低下症は、検査上直ぐに発見できるのですが、甲状腺の知識が無ければ放置されることもあります。
甲状腺の治療は専門病院に任されることが多く、医師と言えども専門医以外には対処する知識がありません。
国際的には、甲状腺機能低下があれば、TSHの値を2.5μIU/mlにするというのがガイドラインですが、不妊専門病院ではそれ以上でも放置されることがあります。
それどころか、TSHの数値を調べない病院すらあります。上のチェックリストを見て気になる方は、是非専門医に調べてもらって下さい。
【甲状腺機能を調節すれば直ぐに妊娠することも】
TSHの高値が見られた方でも、甲状腺ホルモンであるチロキシンを投薬で補えば、卵胞の成長や内膜の成熟などが正常に行われるようになり、不妊治療なしでも妊娠出産することは珍しくありません。
統計では、甲状腺機能低下症と診断された不妊患者の内、甲状腺ホルモンの投薬により、約8割が妊娠に至ったという報告もあります。
これは、通常の不妊治療と比べても、非常に高い確率と言えます。
しっかり調べもせず、不妊治療だけを繰り返していて、実は甲状腺機能が低下しているという人も、潜在的にはいらっしゃるのかもしれません。
【甲状腺機能低下症の鍼灸治療】
甲状腺ホルモンは、新陳代謝を司るホルモンです。そのため、生命現象全てに関りを持ちます。
だから水分代謝が低下してむくみが出たり、からだ全体のだるさや、脳機能の低下により、倦怠感ややる気の無さが出てしまうのです。
こうした働きは、東洋医学では「肝の疏泄作用」や「腎の陽気」などと関連して考えます。
鍼灸や漢方薬でも治療は可能ですが、最も早く確実なのは、甲状腺ホルモンを投薬で補いながら、体力の回復を鍼灸で行う方法です。
妊活は、西洋医学と東洋医学の良いところを取り入れることで、早く確実に効果を出すことができます。