栄養の摂取は、妊活にとって非常に効果的なのですが、その一方で、体調の改善に時間が掛かるということも知っておくべきです。
葉酸をサプリメントで摂る場合も、妊娠後に慌てて摂っても、本当に必要な時期に間に合いません。
こうした栄養の摂取と鍼灸治療の関係について学んでみましょう。
【栄養摂取の目安は3か月】
栄養の摂取を妊活に役立てるには、約3か月の余裕が必要です。
消化吸収された栄養が、実際に目的とした細胞や組織に行き届き、新しい細胞の材料となり、古い細胞と入れ替わるります。
それがある程度からだに影響を与えるには、やはり3か月程度は必要です。
私たちはこうした体内の変化を、血液検査でチエックしていますが、3か月程度で、しっかり数値が変化してきます。
卵の質の変化にも、同程度の時間が掛かりますので、妊活は3カ月が一つの目安になるかもしれません。
【栄養の働きはからだ任せ】
あなたが必要な栄養素を、食事やサプリメントで摂取しても、その栄養素がどの細胞に使われるかはからだ次第です。
例えば、肌が荒れてきたことが気になって、ビタミンCや亜鉛、たんぱく質を、食事やサプリメントで摂取したとします。
ところが、たまたまその時、あなたは風邪の治りかけの状態でした。
すると、あなたのからだは、風邪のウイルスで傷付いたのどや鼻の粘膜を補修するために、多くの栄養素を細胞に送り込み、肌荒れの為に摂った栄養素は、優先順位の高い、のどや鼻の粘膜の補修のために使われてしまいます。
こうした優先順位は、一部の例外を除いて、あなたのからだの状態と、体質で決定されます。
「せっかく妊活のために摂取した栄養が、他の部位に使われるなんて。」とガッカリしないで下さい。
栄養を目的の妊活に使われるようにする方法が、2つあります。
【栄養を目的の子宮や卵巣に送り込むには】
栄養を目的の卵巣や子宮に送り込む2つの方法とは、次の2つです。
1.栄養を全身に行き渡っても良いように十分量摂る。
2.鍼灸治療で卵巣や子宮の血流を選択的に増やす。
1の栄養を必要十分量摂るというのは、最も効果的なやり方です。ただしこの方法では、あなたの必要十分量が分からなければいけません。
あなたにとって必要な栄養の量がどれほどなのか、それは何で見分ければ良いのでしょうか?
私たちは、栄養の必要量を、血液検査を見せて頂くことで予想します。あなたの血液に、どの程度の栄養素が含まれているのか、内臓器でどのような変化をいているのかを見せて頂きます。
病気の診断とは違い、あなたの血液がどの程度満たされているのかと、内臓器がどの程度働いているのかを診るのです。
その上で、あなたのかただに必要であると予想した栄養素について、栄養指導を行います。
ただ血液には十分な栄養素が入っていても、目的とした卵巣や子宮の血流が極端に悪ければ、その効果は薄まります。
2の鍼灸治療は、2つのルートで子宮や卵巣の血流を促します。1つは、骨盤から子宮や卵巣に向かう、交感神経の働きをブロックすることです。
鍼灸治療では、骨盤周囲に鍼を刺すことで、脊髄レベルで交感神経の働きをブロックし、副交感神経優位の状態を作ります。
副交感神経が優位になると、血管は拡張し、卵巣や子宮への血流量は増加します。
もう1つのルートは、手足の末梢にあるツボを刺激して、脳を通して指令を出すことで、目的の臓器の血流を増やすルートです。
こちらのルートでは、脳を介して血流量を増やすため、いわゆる遠隔治療になります。
遠隔治療では、脳の特定の部位に働きかけるため、子宮や卵巣の血流を増やすだけではなく、ホルモン分泌などに影響を与えることもできます。
脳を介するルートの場合には、強い刺激よりも正しい取穴の方が大切になります。
どこに鍼をさせば目的の部位に影響を与えるかを知ることで、特定の部位を選択的に働かせることができます。
またこうしたツボは人によっても多少違うため、局所的な骨盤周囲の鍼刺激に比べると、経験や技術がモノをいうことになります。