古くから日本では、民間療法として、お灸というものが普及していました。
このお灸を利用して、自宅でお気軽に妊活の補助をする方法をご紹介致します。
お灸は、「もぐさ」というヨモギの葉を乾燥させたものに火を点けて、ツボに熱刺激を与えることで、からだの働きを正常化しようとするものです。
<ヨモギの葉>
私たち鍼灸師は、本当は、「はり師」と「きゅう師」という二つの国家資格を取ることで、鍼灸師を名乗っています。
つまり、お灸の国家資格を持っているということです。
このお灸という治療法は、他人にするのには国家資格がいるのですが、自分でするだけであれば、特に資格がいるわけではありません。
そこで市販品を使って、自宅で妊活のためのお灸をしてみましょう。
【お灸の効果】
・からだの冷えを取る。
・血液循環を良くする。
・子宮の運動性を高める。
・免疫活動を活性化する。
・痛みを緩和する。(場合によって)
【お灸の種類】
一般的に普及しているのは、せんねん灸に代表される製品化されたものと、艾(もぐさ)と言われるそのままの状態のものです。
皮膚への熱の伝え方により、直接灸、間接灸に分かれますが、せんねん灸は間接灸で、艾はどちらにも使用できます。
<せんねん灸:もぐさが直接皮膚には付いていないタイプ>
<艾:これは直接皮膚に付いているタイプ>
下の艾は直接皮膚に引っ付いていますので、このまま燃やし切れば大やけどをします。
妊活で使用する場合には、上のせんねん灸ライプを用いるか、艾をショウガの輪切りなどの上に置いて、間接灸として用いるのが良いと思います。
<生姜の隔物灸>
ただせんねん灸は、熱さにクラスがあり、皮膚の弱い方でしたらレギュラータイプでも、やけどをすることがありますので、ご注意ください。
【お灸の準備】
自分一人で行う場合のご紹介です。1人で行う場合には、予め幾つかの準備が必要です。
・火を点けるライター。
・灰皿もしくは耐熱皿
・お灸もしくは艾(もぐさ)
こうしたものを手が届くところに置いた状態で、お灸を始めましょう。
お灸や艾に火を点けたまま、「灰皿がない!」となってしまっても、やけどの危険があるため、移動ができません。
また床や畳に陽が落ちても大変ですので、必要なものは身近において始めましょう。
お灸や艾は、ネット上でも簡単に手に入れることができますし、大きなドラッグストアなら必ず販売されています。
艾を使って生姜の間接灸(隔物灸)をする場合には、温灸用と書かれたものを購入して下さい。
点灸用と書かれたものでは、燃えたときの熱量が少なすぎて、あまり熱を感じません。
【妊活のためのお灸】
鍼や灸には、ツボの取り方に2種類あります。
1.本治法:根治治療を目指した治療法
2.標治法:対症療法を目指した治療法
本来は1と2を掛け合わして行いますが、一般の方が行うには、2の方法が適しています。
1の方法は、実際のところプロでもあまりできていません。ほとんどの鍼灸師は根治療法と思いながら、標治法を行っています。
逆に言うなら、それだけ標治法は効果が出やすく、色々な症状を改善できるのです。
標治法は、治療対象に対して、直接的に刺激を与える方法です。つまり妊活においては、お腹や腰などの、子宮や卵巣に近い部位にお灸をすることになります。
細かいツボの場所にこだわらず、へその周囲や下腹部を中心に温めて下さい。お灸をしている時に、お腹が「ぐーっ!」と鳴り始めたら、効いている証拠です。
もしくは、お灸を付けている周りの皮膚が赤くなってきたら、止めてもらって結構です。
艾で温める場合には、生姜を2~3mm程度にスライスして使用します。生姜で肌荒れする場合には、あまりお勧めできません。
生姜以外でも、小さいお灸ならニンニクでも代用できます。また塩を盛った上に行うお灸や、味噌の上に置くなど色々な温灸が古来から行われてきました。
色々とバリエーションを変えながら、楽しんで行っても良いと思います。
もしパートナーガ手伝ってくれる場合には、うつ伏せに寝た状態で腰に行って頂くと更に効果的です。
<お灸をする上でのご注意>
・お灸は火を使いますので、くれぐれも火災にはご注意下さい。
・温灸の場合には、大量の煙が出るため換気設備がないところではできません。
・肌が弱い方は、低めの温度でもやけどをすることがあります。
・効果は人により違いますので、妊活の一環として楽しみながら行って下さい。
・さらに効果を上げるためには、専門家の指導の下行ってみて下さい。