体外受精が成功するかどうかは、大きく3つの要素が影響を与えます。その体外受精の結果を左右する要素を整えれば、あなたの体外受精は成功に近付くはずです。
1.卵の質
2.精子の質
3.着床能力
この3つの条件を整えれば、あなたの体外受精は成功に近付きます。
1.卵の質
卵の質は、年齢と共に劣化し、改善することは無いと言われますが、私の経験ではそんなことはありません。
確かに条件は厳しくなりますが、それでも
卵の質は改善することができます。
卵の質に最も関係が深いのは、
卵巣周囲の血流と栄養の摂取です。
卵巣周囲の血流は、卵胞が育つ時の栄養供給や、ホルモンの供給に関わります。
卵胞が育つためには、適切な卵胞刺激ホルモン(FSH)の分泌が必要です。体外受精での排卵誘発では、FSHの補充を投薬で行いますが、血流の状態が悪ければ、FSHを薬で足しても意味がありません。栄養やホルモンは、卵巣に届いてこそ意味があるからです。
AMHは、育ちかけの卵胞から分泌されるホルモンです。もし卵巣周囲の血流が悪く、卵胞に必要な物質が届かなければ、卵胞の成長が障害されAMHは低くなります。育ちかけの卵胞が少ないと、排卵誘発剤を使用しても卵は多く育ちません。
こうした
卵巣周囲の血流を、ピンポイントに上げる方法があります。
それが
鍼灸治療です。鍼灸治療は、自律神経を刺激して、卵巣の血流をピンポイントに上げる作用があります。
鍼灸治療により卵巣周囲の血流が良くなると、卵胞の成長が促され、成長し始めからしっかりと栄養やホルモンを届けることができるため、
質の良い卵が育ちます。
また育ちかけの卵胞にもしっかり栄養が届くため、卵胞から分泌される
AMHの値も高くなり、排卵誘発剤に対してしっかり反応するようになります。
その結果、今までは採卵が難しかった方でも、
複数の採卵ができる可能性が高まります。
2.精子の質
精子の質を上げるには、幾つかの方法があります。
・数多く射精する。
・精巣の血流を改善する。
・圧迫を加えない。
・栄養の摂取に気を配る。
精子を長く精巣に留めておくと、
古くなった精子から活性酸素が発生し、新しい良質の精子を傷付けます。
そのため、できるだけ早く中身を入れ替えることが重要です。体外受精の場合には、あまり数は関係ないため、質の良い精子を作る方が重要です。
そのためには、できるだけ早く中身を入れ替え、新鮮な精子で体外受精に挑むようにして下さい。
精巣は、静脈の逆流が起こりやすく、静脈瘤を作ることがあります。こうした逆流を防ぐためには、常に血液循環を良くしておく必要があります。静脈血の逆流が起こると、動脈の流入もし難くなり、精巣に栄養が運ばれないようになります。
また血液が鬱滞することで、精巣温度が上がってしまい、精子の質が悪化する恐れがあります。精巣温度の上昇を防ぐには、血流を改善させて、血液の鬱滞が生じないようにする必要があります。
鍼灸治療は、精巣の血流を改善し、精巣静脈瘤を防ぐ効果があります。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26791438
こちらの研究論文では、鍼灸治療と精巣の静脈瘤の手術療法の効果を調べています。
この論文では、鍼灸治療と手術の効果を比べた結果、妊娠率では同程度の33%上昇ですが、精液の濃度は鍼灸の方が治療効果が高かったとあります。
3.着床能力
精子や卵の質が良いと、良い受精卵ができることは確かです。ただ質の良い卵ができても、着床障害があると妊娠はできません。
着床に関することは、現在の不妊治療においては、まだまだ未知の分野です。そのためオプション検査も病院により差がありますし、医師の知識にも差があることは否めません。
この着床という部分にも、鍼灸治療は影響を与えます。鍼灸治療が関わるのは、子宮内膜で着床を左右する免疫に関してです。
子宮内膜には、異物を除去するために最低限の免疫機能は発揮しながらも、過剰に免疫が働きすぎないように、免疫寛容という働きがあります。
免疫寛容に関係が深いとされているのは、リンパ球の働きです。その中でも、Th1/Th2のバランスと、TregとTh17のバランスは、適切な免疫寛容が働くためには欠かせません。
鍼灸治療は、この免疫のバランスを取ることで、適切な免疫寛容を働かせ、着床しやすい子宮内膜を作る手助けをします。