AMHの数値は、卵巣予備機能とも言われ、不妊治療をする際の大きな指標となっています。
病院の検査でAMHが低い人は、卵巣機能が低いと評価され、排卵誘発をしても反応が出にくいため、少しでも早く体外受精するように勧められます。
その一方で、多嚢胞性卵巣症候群という排卵障害では、AMHの数値が非常に高いことが知られています。
AMHは増えることなく、年々減っていくと勘違いしている方が多くいらっしゃいますが、AMHは周期によっても変動しますし、条件を整えると上昇することもあります。
このAMHを調節することで、あなたの妊活に役立てる方法をご紹介します。
【AMHとは】
AMHとは、抗ミューラー管ホルモンとも呼ばれ、育ちかけの卵胞から分泌されるホルモンです。
上の図で言うと、胞状卵胞になる前までの、未発達な卵胞から分泌されるホルモンということです。
卵巣の中では、胞状卵胞になるまでは、複数の卵胞が育っており、殆どの卵胞は成熟することなく成長が止まります。最終的には1個の卵胞が成長し、毎月排卵されることになります。
この未発達な卵胞から分泌されるのがAMHですから、多嚢胞卵巣症候群のように、複数の未熟な卵胞が存在する場合、AMHが高くなります。
AMHは卵巣年齢の指標とされることがありますが、直接妊娠しやすさとは関係しないため、自然妊娠を目的に妊活をするだけなら、あまり気にすることはありません。
またAMHには、卵胞の成長を阻害する働きがあるため、多嚢胞性卵巣症候群のように多くのAMHが分泌されると、卵胞の成長は悪くなります。
【ビタミンDを補うとAMHが正常化する】
AMHが高すぎる場合には、多嚢胞性卵巣症候群の可能性が高くなります。
多嚢胞性卵巣症候群は、卵巣内に、成長しきれない複数の卵胞があるため、排卵が起こりにくく、結果として生理不順になります。
生理不順になると、いつ排卵があるか分からないため、タイミングが取りづらく、妊娠しにくい状態になります。
AMHが低くても、毎月排卵がある場合には、それほど障害にならない場合もありますが、不妊治療を受ける際には、排卵誘発剤の効果が出にくく、体外受精の採卵がしにくい傾向があります。
排卵の方法を間違うと、排卵誘発をする度に採卵数が減り、最終的に採卵自体ができないくなることもあります。
こうしたAMHが高すぎる人や低すぎる人の中には、血中ビタミンDの数値が低い人がいらっしゃいます。ビタミンDは卵胞の成長に必要な栄養素で、一般的には骨のビタミンとして有名です。
ビタミンDは、血液検査で簡単に調べることができるため、不妊専門病院にかかっている方なら、「25-OHビタミンD」の検査をすれば分かります。
血液中のビタミンD濃度が増えれば、卵胞の成長が良くなり、AMHの数値が高くなることが実験で分かっています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28698476
<ビタミンDを服用することで、AMHの数値が回復>
googleで直訳したため、少々文章がおかしいですが、意味としては分かって頂けると思います。
特に最近の女性は、体内でビタミンDを作るために必要な紫外線を殆ど浴びないため、慢性的なビタミンD不足になっている可能性があります。
上の論文でも、初春にはAMHが最も低いとありますが、これは冬場の紫外線量が少ないため、ビタミンDの貯蔵量が減ってしまった結果だと想像されます。
ビタミンDは、子宮内膜の着床能力にも関係するため、複数回胚盤胞移植をしても妊娠しないような、着床障害を抱えている方も、一度検査してみると良いかもしれません。
【ビタミンDを卵巣や子宮に届けるためには鍼灸治療】
せっかく体内でビタミンDを増やしても、血液を通して卵巣や子宮に届かなければ、卵胞を成長させたり子宮内膜を着床しやすい状態にすることはできません。
ビタミンDを始めとして、多くの栄養や酸素、そして女性ホルモンを、卵巣や子宮に送るためには、鍼灸治療が最も効果的です。
鍼灸治療は、脳の視床下部に働きかけることで、ホルモンバランスを整え、妊娠に必要な女性ホルモンの分泌を調整することが分かっています。
さらに鍼灸治療は、副交感神経の働きを強めることで、子宮や卵巣を栄養する血管運動の働きを活性化します。
その結果、必要な栄養やホルモンが十分に行き渡り、卵胞の成長が早まり、子宮内膜が肥厚し、妊娠しやすいからだが作られます。
栄養指導をしながら鍼灸治療を受けて頂いた方では、成長する卵胞の数が増え、採卵数の増加が見られることがよくあります。
成長する卵胞の数が増えるため、AMHも結果的に上昇し、妊娠もしやすくなります。