不妊治療は、非常にストレスが掛かる治療です。
そのストレスが妊娠には好ましくないと分かっていても、感情が付いていかないため、対処法が難しいものです。
鍼灸治療は、鍼灸刺激自体が脳に影響を与え、脳ストレスを和らげるだけでなく、担当の鍼灸師と不妊治療についての会話をすることで、カウンセリング効果も期待できます。
ストレスを緩和する鍼灸治療のご紹介です。
【妊娠に対するストレスの影響】
妊活をしているカップルなら、妊娠できないストレスや出産できないストレスが、
非常に大きいことは実感として感じていらっしゃると思います。
そのストレスの影響とはどのようなものでしょうか?
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27026099
こちらは、インドの Banaras Hindu大学での研究です。
こちらの研究では、脳がストレスを感じることで、副腎から分泌されるコルチゾールというホルモンが分泌され、卵胞の細胞にコルチゾールが影響を与えることで、卵の質が低下するとしています。
更に、卵巣内で発生した活性酸素が、卵母細胞に影響して、アポトーシスを引き起こすとしています。アポトーシスとは、成長することなく自然死していく細胞のことで、卵巣内にある卵子を減らすことにも、ストレスが関係しているというのです。
ストレスが、まだ成長を始めていない卵母細胞にまで影響を与えるとは、ストレスが妊活に与える影響は想像よりも大きいようです。
【男女のストレスの違い】
不妊治療の話というのは、あまりプライベートで誰かにする話題ではありません。女性同士であれば、同じ悩みを抱えている方同士で情報交換はしていますし、同僚と共に来院される方もいらっしゃいます。
ところが男性が同僚と来院というケースは絶対にありません。不妊というものに対する男女のイメージには、かなりの隔たりがありようです。
不妊治療のストレスの大きな原因は、この『人に相談できない辛さ。」であると言われます。どこに相談して良いのか分からないし、一般の方なら相談された側も適切なお話はできないでしょう。
「そうなんだ……大変だね。」
としか言いようがありません。それでも女性のように相談できる方がいれば、まだ良いのですが、男性の場合、相談の場もなく、仕事や酒に逃げていく男性も多いように思います。
女性に不妊の原因がある場合には、女性は必死にその解決を図りますが、男性の場合には、あまりその傾向がありません。それは、「方法が分からない。」ということと、「仕事以外で時間を使う余裕がない。」ということ、更に「自分の非を認めたくない」、ということもあるようです。
男性に関しては、行うべき妊活についての正しい知識・情報があまりなく、最終的には体外受精なら、精子が少なくても、運動率が低くても良いと、勘違いしている方もいらっしゃいます。
同程度の原因を持つ場合、男性の方がダメージは受けやすいが、問題から逃げやすく、女性の方が正面から取り組もうとします。そのギャップがすれ違いを生み、不妊治療をきっかけにして、離婚される方もいらっしゃいます。
【不妊鍼灸専門治療院の新たな役割】
私は今まで、不妊鍼灸の現場で、色々なご夫婦を見てきました。
・ご夫婦で熱心なカップル
・男性側が非常に熱心で、辛くて止めたいのに治療を断れない女性
・男性は無関心で女性一人で頑張るけれど、実は男性不妊というカップル
・ご夫婦ともに酒タバコが止められないカップル
当然ながら、同じ目標に向かって努力しているご夫婦は、良い結果が出ました。
努力するよと言いながら、酒タバコが止められないご主人のところは、やはり苦戦しました。
仕事が忙しく、女性のみの治療でも、よく話し合いながら食事だけは工夫したり、お休みの時には一緒に散歩したりというご夫婦も上手くいく確率が高くなりました。
ご夫婦のご希望やからだの状況を考え、お二人にとっての最善の選択とは何かを話し合いで決定します。カップルそれぞれで努力できること、努力すべきことをご提示して、それもお二人に選んで頂きます。
・食事指導
・運動指導
・自宅でのお灸
・当院での鍼灸治療
・病院での治療法
こうした妊活全てを話し合いで決定し、納得のいく妊活をすることで、後で後悔しない妊活を実現します。
できるだけ当院での妊活を、最後にして頂きたいのです。
或いは、色々とやりきれない思いをしてきたカップルに、納得のいく妊活をして頂きたいのです。