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胚盤胞移植を目指した女性に対する不妊鍼灸の症例

2018年5月15日11:08 AM カテゴリー:不妊症,症例

「胚の質は良いのになぜ妊娠しないの!?」


大阪市内在住  30代前半女性  販売業

 

来院患者さまは、30代前半の女性でした。ご主人の精子に異常があり、自然妊娠は難しいと専門病院で診断されたため、少しでも早くお子さんが欲しかったこの女性は、体外受精を選択されました。

 

・高刺激で排卵誘発を行い、13個の受精を確認したため、そのまま培養。
・胚盤胞が8個できたため、生理周期を整えて胚盤胞移植を行った。
・当院に来院するまでに3個移植したが、妊娠反応すらでなかった。
・体調は冷え症や肩こりが常にある。
・胚移植の前に体調を整える目的で来院

来院時の患者さまは、質の良い胚盤胞を戻しているにも関わらず、妊娠反応すら出ないことで、非常に神経質になっていらっしゃいました。

少しずつ凍結卵が減っていくことに焦り、何か補助的に妊娠率を高める方法がないかと考え、当院を受診されました。

 

【初診】

 

成人女性としてはかなり小柄で細身な女性でした。身長は150cm前後、体重は40kgもないと仰っていました。妊娠後は退職予定でしたが、初診時はまだ店舗販売の職員をされていました。

女性の多い職場で、販売ノルマもあり、非常にストレスの掛かるお仕事だと仰っていました。

 

<自覚症状>

・冷え症
・肩こり
・生理痛
<今後の予定とご希望>

・1か月後に胚移植の予定
・それまでに少しでも体調を良くしたい。
・胚移植当日の鍼を受けたい。

 

<初診時の所見>

・ストレスが強いため、頭頂部の髪が薄くなっている。※1

・お腹が固く冷たい。※2

・痩せすぎで皮下脂肪が極端に少ない。※3

 

※1 ストレスが高いと、副腎という臓器から副腎皮質ホルモンが分泌されます。副腎皮質ホルモンの分泌が増えると、同時に副腎からは、アンドロゲンという男性ホルモン分泌が増えます。男性ホルモンの分泌が高まるため、抗ストレスの方は、男性型脱毛症の頭頂部が薄くなる現象が現れます。

※2 お腹が固く冷たいのは、交感神経の緊張により、内臓の血流が悪くなっていることが考えられます。リラックス時に働く、副交感神経の働きを強めると、お腹が柔らかくなり、内臓器の働きも良くなります。

※3 皮下脂肪からは、レプチンというホルモンが分泌されています。レプチンの分泌量が減ると、脳の視床下部がそれを感知し、キスぺプチンというホルモン分泌を減らします。キスぺプチンは、GnRHを分泌するきかっけになるホルモンですから、生理周期の乱れや不妊に繋がります。

【治療】

 

<施術方針>

1か月後に胚移植ということで、治療に掛けられる時間が少ないことから、幾つかにターゲットを絞って鍼灸治療を施しました。

1.免疫のバランスを整え、着床しいやすい子宮内膜を作る。

2.卵巣の血流を上げることで、女性ホルモンの分泌を促す。

3.ストレスによるアンドロゲン分泌が減るように、ストレス緩和の施術をする。

 

<実際の鍼灸治療>

 

[初診]

ストレス緩和のために、背中と首の後ろ側に3か所鍼を刺しました。

<イメージ写真>
また子宮や卵巣の血流を増すために、お尻の上あたりにも鍼を刺しました。

両方ともあまり響かず、痛みを感じないように注意して刺しました。

妊活の為の鍼灸治療は、痛みが少ないことが大きな条件です。

苦痛を感じながらの施術では、効果が出にくいことがあります。

次にお腹と足首に、全体のバランスを取るための鍼を3か所刺しました。
<イメージ写真です>
施術後は、からだが温かくなり、全体に緊張感が緩んだ気がすると仰っていました。施術後は、あくびをしながらお話を聞いていらっしゃいました。

[2診目]

初診後は、自宅に帰ってすぐに昼寝をしたそうです。眠気が強かったため、自分の疲れが予想以上に溜まっていたことを、改めて実感されたと仰っていました

配穴は前回と同様としました。施術後は、やはり眠気とからだが温まるのを感じたそうです。

[3診目]

移植に向けて投薬が始まりました。前回よりも体調がよく、あまりストレスを感じないということでした。次週の末に移植予定です。

[4診目]

4診目が、胚盤胞移植当日の鍼灸治療になりました。午前中に移植のため、移植後の昼過ぎから来院して頂きました。鍼灸院の中には、移植の3時間前などの細かい指定を行う施設もありますが、当院ではそれまでにある程度の準備をしているため、細かい時間をこだわりません。

最低限、胚移植の当日か、その1日前に来て頂けば、効果はあることが分かっています。移植後数日してからの施術は、あまり妊娠率の向上には働かないようで、海外の文献でも同様の結果が出ています。

[5診目]

4診目から2週間後に来院して頂きました。鍼灸治療開始後、初めての胚移植でしたが、無事陽性反応が出ました。患者さまは、あまりにもあっけなく妊娠反応が出たことと、妊娠後も全く体調の変化がないため、妊娠の実感が全くないということでした。

妊娠前から施術をしている場合、あまり体調の変化が起きず、つわりなどもないため、実感がないことが多いようです。今回は施術開始1ヶ月でしたが、鍼灸治療の反応の良い方だったため、早く施術効果が出ました。

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