体外受精や顕微授精と鍼灸を組み合わせる場合、どういったタイミングで来院して治療を受ければ効果的かをご紹介します。
1.採卵前にご来院される場合
2.凍結胚の移植前にご来院される場合
この2つのパターンで、効果的に鍼灸治療を受けて頂くタイミングや頻度をご紹介します。
【採卵前にご来院される場合】
一口に採卵前にご来院されるといっても、その目的により通院頻度は変わります。採卵前に鍼灸治療をする目的は、大きく次の2点です。
1.複数の質の良い卵胞を育てて、質の良い卵を採卵するため。
→週1回で3ヶ月通院
2.採卵後の体調回復を早めるため。
→採卵後1~2回来院
1の目的でご来院される場合には、卵胞が育ち始める、3ヶ月程度前から鍼灸治療を受けて頂くのが、よりベターな方法です。
卵胞の成長は1ヶ月周期だと思っている方は多いですが、実際には毎月排卵される卵胞は、排卵の3ヶ月以上前から成長を始めています。
排卵誘発剤は、複数の卵胞が一気に育ちますが、質の良い卵胞を育てるわけではありません。
からだに負担を掛けて採卵をするのですから、確実に質の良い卵を採卵できるよう準備期間を設けましょう。
来院を決めたのが採卵の直前だったという方は、2の目的に切り替えるか、採卵後の胚移植前に備えて治療を受けて下さい。
鍼灸治療を受ける時期に関しては、早すぎるということはありません。
もし最小限の頻度で効果を出したいと考えているなら、余計に初診だけは早めに受診して下さい。
その上で相談をすれば、最も効果的な方法や、最も負担の少ない方法や頻度などを話し合うことができます。
あくまでも決定権は私どもではなく、患者側にありますので、無理に治療方針や頻度を決定することはありません。
【凍結胚の移植前に、ご来院される場合】
胚移植前の鍼灸治療を受ける場合にも、大きく分けて2つの目的があります。
1.子宮内の免疫環境を整えて、着床や妊娠維持をするため。
→移植前1カ月間 週1~2回
2.ストレス軽減や、ホルモン剤の効果を高めるため。
→胚移植当日1回のみ
子宮内には、非常に高度な免疫系があります。感染症などから身を守るために発達しているのですが、この免疫が妊娠には大きく関わっています。
子宮内の免疫が過剰にならないように、適度な免疫状態を保つための鍼灸治療を行えば、着床率だけではなく、妊娠の継続にも効果的です。
着床率を上げるためには、移植をする1か月前に、週1~2回の鍼灸治療を行うと効果的です。
2の、移植当日の鍼灸治療も、確かに着床率を上げますが、準備期間を長く取った場合には敵いません。
ただ、どうしても治療頻度を少なくしたいのなら、胚移植当日のみでも、妊娠率は高くなります。
ストレスの軽減効果は、実は馬鹿にできないくらい大きな、妊娠する要素です。ストレスが掛かっているだけでも、あなたの妊娠率は大きく下がってしまいます。
そのストレスを、物理的な刺激で軽減すると、あなたの妊娠率は確かに変化します。