2017年5月、米国ペンシルバニア州立大学病院での多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)に対する分析です。
この報告では、多嚢胞性卵巣症候群の女性は抑うつ症状を起こし易く、年齢、テストステロン分泌、多毛症、インスリン抵抗性と弱く関連するとあります。
抑うつ症状以外に関しては、こちらのブログでも何度か書きました。
今回は、多嚢胞性卵巣症候群と抑うつ症状の関係、更に、その解消法をご紹介します。
【多嚢胞性卵巣症候群と抑うつ症状】
多嚢胞性卵巣症候群と抑うつ症状や気分障害、精神的不安感などは、世界中で様々な報告があります。
今回ご紹介するペンシルバニア大学の分析でも、「中程度および重度の抑うつ症状および不安症状の確率が、有意に上昇している。」としています。
同じような報告は、イタリアやポーランドなど、複数の国でされています。
私たちの臨床的にはどうかというと、確かに多嚢胞性卵巣症候群の患者さまは、比較的神経が細やかで、色々なことを気にしやすい傾向があると感じることが多々あります。
そのため、鍼灸治療をする際にも、私たちや鍼灸治療に対して、不安感や不信感を抱かないように気を配ります。
元々気にしやすい性格の上に、排卵障害という不妊傾向が出たことで、より不安感が増してしまい、ストレスによる不妊傾向が出てしまいます。
【ストレスと不妊傾向】
PCOSの患者さまが強いストレスを受けることで、更に不妊傾向が強まるとは、どういうことでしょうか?
ストレスを受けると、私たちの脳の中では、視床下部という部分が反応します。視床下部は、ストレスに対抗するために、下垂体に命令を出し、下垂体から副腎皮質刺激ホルモンを分泌させます。
副腎皮質刺激ホルモンは、副腎皮質から副腎皮質ホルモンを分泌させ、ストレスに対して対抗しようとします。
副腎皮質ホルモンが分泌されると、その情報は視床下部に伝わり、同じ視床下部から分泌されるGnRHの分泌を抑制することが分かっています。
GnRHは、性腺刺激ホルモン放出ホルモンとも呼ばれていて、生理周期の始まりに分泌されるホルモンです。
GnRHが分泌されると、その刺激で下垂体からLHとFSHが分泌され、卵胞の成長や子宮内膜の肥厚が起こります。
GnRHが分泌されないと、そうした働きが全て起こりませんので、不妊になってしまいます。(視床下部性不妊)
多嚢胞性卵巣症候群からのストレスが、視床下部性の不妊に繋がってしまうのです。
【多嚢胞性卵巣症候群と鍼灸治療】
多嚢胞性卵巣症候群は、LHが高いという特徴があります。
鍼灸治療には、LHを下げ、FSHとのバランスを調節する働きがあるため、多嚢胞性卵巣症候群を鍼灸治療で改善することができます。
また鍼灸治療には、ストレスを軽減する働きもあるため、ストレスを感じやすい多嚢胞性卵巣症候群の女性が、更なる不妊になるのを防ぐことができます。
多嚢胞性卵巣症候群にお悩みで、自覚的にもストレスを溜めやすいと感じているあなたは、鍼灸治療を受けて頂くと、妊娠に近付くのかもしれません。